即日退職できる方法は雇用形態ごとに違うので手順と条件に注意

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即日退職を成立させるための条件や手順、注意点を解説しています。

正社員、派遣、バイト・パートなど雇用形態ごとに合わせて解説していますので、ご自身のご状況を踏まえた上でご参考になさってください。

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即日退職できる7つの方法

【原則】退職は民法第627条を元に判断する

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法第627条

雇用の期間を定めがない正社員は民法第627条が退職の原則となります。

民法第627条より退職は労働者の権利として定められており、会社には労働者の退職を拒否する権限はありません。そのため、辞める2週間前に退職の意思を伝えれば辞めることができます。

仮に就業規則に1ヶ月前と記載があったとしても就業規則よりも法律を優先することができるため最短2週間での退職は変わらず成立します。

正社員は即日退職ができないので例外条件により成立させる

言い換えると、原則としては民法第627条があるので退職の際は2週間前に辞める旨を告知する義務があるため即日退社はできません。

そのため、即日退職を成立させるには下記でお伝えする例外的な条件に該当している必要があります。

1.やむを得ない事由(双方の合意)

特例として、労働者側からの即日退職の意向を会社側が認めれば双方の合意として即日退職が成立します。

合意の有無は会社側の判断になりますが、

  • 病気や怪我をして仕事が出来ないレベルの重症を負った
  • 親の介護
  • うつ病・適応障害
  • 妊娠・主産

などがやむを得ない事由に該当します。

(産前産後)
第六十五条 使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。

労働基準法 | e-Gov法令検索

妊娠に関しては労働基準法第65条からも就業に関する規定があるので、よりやむを得ない事由になりやすいと言えます。

うちやま
うちやま

「もうどうしても耐えられない」という時は以下の記事もご参考になさってください。

2.うつ病や適応障害

うつ病や適応障害にかかり医師からの診断書があれば即日退職が認められる可能性が高いです。

鬱病は病気であり、働くことが出来ない状況であるため「1.やむを得ない事由(双方の合意)」にも該当することから即日退職が認められやすい傾向にあります。

うちやま
うちやま

うつ病による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

3.労働条件違う場合は即日退職が成立する

「求人内容と実際の内容が異なる」「仕事が聞いてた話と違う」など『労働条件が事前の情報と異なる』場合、即座に労働契約を解除(即日退職)できます。

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働基準法 | e-Gov法令検索

本来雇用契約(=労働契約)の解約については民法627条1項で解約の申入れから2週間の期限の経過が必要となりますが、労働基準法15条2項は使用者の労働条件明示義務違反については「即時に労働契約を解除することができる。」旨を規定しています。

そのため、労働基準法15条2項に違反する場合は労働者に契約解除権が発生します。

うちやま
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労働条件が異なることによる退職についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

4.ハラスメントも即日退職に該当

「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」が成立されているので、パワハラは明確な違法行為にあたります。

(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない

労働基準法 | e-Gov法令検索

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法 | e-Gov法令検索

加えて、労働基準法と労働契約法違反にも該当します。そのため、「身の安全を確保できない」と会社側に伝えて出社を拒否してしまいそのまま退職してしまいましょう。

厳密にはハラスメントしたからといって即契約解除(即時退職)になるわけではありませんが、身の安全を確保できない環境で仕事は出来ません。そのため、出社拒否によってそのまま退職すれば即日退職と同じ状況を作ることが出来ます。

ハラスメントによる物理的な被害(殴る・蹴るなど)はもちろん、心理的被害に関しては心療内科で診断書を用意してもらうことで客観的な事実が証明でき、辞める理由として成立します。

うちやま
うちやま

ハラスメントが原因で退職する際は以下の記事も合わせてご参考になさってください。

5.派遣社員が即日退職する条件

第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働基準法137条

正社員と違い派遣社員のような期間の定めのある雇用契約の場合は労働基準法137条が適用されます。

労働基準法137条より勤務期間が1年以上経過している場合に限り労働者側の希望するタイミングでいつでも退職ができるため即時解約(即日退職)が成立します。

ただし、あくまでもこの規定は契約期間が1年を越える場合を想定したものであり、3ヶ月、半年という1年未満の契約を繰り返して累計1年という場合は適用外である点にご注意ください。

うちやま
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派遣社員の即日退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

6.パート、アルバイトの即日退職は契約内容次第

パートやアルバイトは契約内容によって条件が異なります。

  • 「雇用期間に定めがない」場合、正社員の条件と同じ
  • 「雇用期間に定めがある」場合、派遣社員の条件と同じ

となります。

そのため、採用時に受け取った雇用契約書を確認して該当する形態に合わせて退職の仕方を検討してください。

7.有給消化を利用する

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索

退職と同様に有給も法で定められた労働者の権利、会社は労働者の有給の権利を拒否することがでません。

有給は雇用形態問わず一定の条件を満たせば有給の権利が発生します。また、有給は労働者の希望日から稼働させることができます。

そのため、退職を申し出るとともに有給を申請し民法第627条をもとに2週間を経過させることで実質的な即日退職を成立させることが可能です。

【補足】

会社には労働者の有給取得時期を変更させる「時季変更権」という権利があります。ただし、「有給休暇の取り消しは違法!労働者の権利なので堂々と使おう」の記事でも解説してますがこれから退職する相手には時季変更権は通らないため退職前提で有給を消化するなら労働者側の希望が通るので問題ありません。

うちやま
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なお、有給の権利が無い、もしくは退職成立まで日数が足りない方は「欠勤扱い」にしてもらい代用しましょう。詳しくは下記の記事もご参考になさってください。

【事実】即日退職した人はいる

即日退職が良い・悪い、安全・危険などの人情やモラルではなく事実としての話になりますが、即日退職している人はいます。これは事実です。

本当に悩んで切羽詰まっている人は気持ちが追い込まれて会社に潰されてしまう前に「即日退職という事実もある」ことを知っておいてください。

あらかじめ逃げ道の存在を知っておくだけでも気持ちの負担は多少減りますので。

うちやま
うちやま

即日退職の手順や実際に行った人の体験談について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

仕事を即日で辞める際の注意点

退職意思は証拠として残しておく

退職の意思を相手に伝えた証拠がない場合、後になって言った・言わないトラブルになります。そのため、口頭で伝えるだけでなく証拠も残して伝えましょう。

具体的には以下の方法で辞める意思を証拠として残してください。

  • 退職届を内容証明で送る
  • 電話で伝える際は電話内容を録音しておく
  • メールで伝えて置けば送信履歴が証拠として残る

などが証拠を残す手段となります。

即日で辞める際は退職願ではなく退職届を提出する

ご自身の中で辞めることが確定し、退職の意思を示す場合は証拠として退職届を提出してください。

退出願は会社に辞めることを承認してもらう相談資料となるので会社側からの返事がない限り退職の進捗が進みません。一方、退職届であれば「撤回は不可能で上司の合意は不要」という意味合いで、自分が辞めることを突きつける役割を持ちます。

そのため、必ず「退職届」を提出してください。

うちやま
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退職届の書き方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

ブラック企業なら即日退職した方が良い

「ブラック企業」だけだと解釈が人によって分かれますが、下記の具体的には違法行為を行っている場合であればブラック企業となります。

  • 給料の未払い
  • 有給を認めない
  • 暴力を振るわれる
  • その他法に反した仕事を要請される

退職代行ならブラック企業も即日で辞めることができる

ブラック企業に勤務している場合、ご自身の身の安全を守るためにも法に則って即日退職しましょう。

どうしても難しい場合は退職代行会社があなたに代わって即日退職を成立させてくれます。

うちやま
うちやま

ブラック企業の特徴について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

損害賠償になることはほぼあり得ない

即日退職に対して損害賠償を心配される方もいますが、現実問題としてはほぼ気にする必要はありません。

(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法第16条

損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されており、且つ損害賠償は客観的に見て明らかに会社側に迷惑を掛ける(長期の無断欠勤、退職時に社員を多数引き抜く、など)行為をしない限りは発生しません。

退職は労働者の権利でしかないので余程特殊な状況でない限りは退職時に損害賠償を気にする必要はありません。

うちやま
うちやま

損害賠償と即日退職についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

バックレや無断欠勤は危険しかないのでやらない

現実問題としてバックレや無断欠席で退社する方も存在しますが、無断欠席やバックレによる退職は違法行為に該当します。

万が一の際、会社から訴えられる・損害賠償・何かしらの理由をつけて呼び戻される、などの可能性があるので決して行わないようにしてください。

モラルやマナーなどの道徳的な話をしたいのではなく、違法・危険の事実があるので辞めた方が良い、というお話です。

引き留めに屈しない

退職時は引き留めが入りやすいものですが、本気で退職を心に決めているなら決して屈しないこと。

一番多いのは「人手不足」や「引き継ぎ」による訴えです。

  • 人手不足だから辞められると困る
  • 人手不足だから後任が来るまで待ってほしい
  • 人手不足なのに辞めるだなんて、みんなに迷惑だと思わないのか!?
  • 後任が居ないから引き継げないので認められない

などと言われることがありますが、人手不足はあなたの責任ではありません

会社の人事・採用の問題であり、問題を先延ばしにしてきた会社の責任です。

責任の区分は明確に分かれています。

会社の責任にもかかわらず、さもそれらしい言い方であなたの責任と誤解させられないようにご注意ください。

うちやま
うちやま

引き継ぎがいない時の辞め方については以下もご参考になさってください。

会社から退職に必要な書類を受け取る

  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 源泉徴収票
  • 離職票
  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 給与振込先届
  • 健康診断書

など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうように伝えましょう。

退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。

うちやま
うちやま

退職時の必要書類について詳しくは以下の記事にある「辞めた後にすべきこと」も合わせてご参考になさってください。

備品は返却する

スマホ、PC、制服、社章など会社から借りているものは必ず返却しましょう。

まとめて直接返却しても良いですし、それが難しければまとめたものを郵送で会社に送っても問題ありません。

即日退職する流れ・手順

お伝えしてきた「即日退職できる7つの方法」や「仕事を即日で辞める際の注意点」を元に実際に即日退職する流れを解説します。

1.上司に退職の意思を伝える

退職の意思を伝える相手は直接の上司となります。

退職希望日と合わせて退職の意思を伝え、退職届を提出してください。

正社員の場合は辞める2週間前、契約社員やパートなどの場合は雇用状況(期限があるのか?ないのか?)に合わせて退職を申し出ます。

2.有給を消化する

辞めることを伝えると同時に有給を申請します。退職が法的に成立する日を退職日とし、退職日まで有給を消化させることで実質的な即日退職と同じ状況を作ることが出来ます。

なお、有給の権利が無い、もしくは退職日まで足りない場合は不足分を欠勤扱いにしてもらいましょう。

3.退職後の手続きを進める

備品は返却する」を参考に会社から借りた備品類をすべて返却。また、「会社から退職に必要な書類を受け取る」を参考に退職後に必要な書類を受け取ります。

どうしてもの際は退職代行に依頼する

  • 自分から退職を切り出すのは難しい
  • でも、すぐにでも辞めたい

という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

確実に退職が成立します。

退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)で申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。(=実質的な即日退職)

具体的には、

  • 確実に辞めることができる
  • 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

などがあり、他にも未払いや有給消化も代わりに交渉してもらうことも可能です。

そのため、もしあなたが

  • どうしても辞めたい
  • でも、自分から退職を切り出すことが難しい

という状況であれば労働組合による退職代行サービスの活用をおすすめします。

※自分で辞めたいと言える人は相談する必要はありません
24時間対応相談を受け付け!追加料金もありません



仕事を即日辞める方法はある/まとめ

正社員、派遣、パート、バイト問わず「労働者」という括りになります。

労働者には退職の権利があるので必ず退職が出来ますし、お伝えした条件や手順を踏めば即日退職を成立させることもできます。

そのため、ご自身でできる方はご自身で退社をしていただき、「自分から切りだすのは難しい」という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスを利用して確実に辞めましょう。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

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