退職届を出した次の日から有給を消化するのは正当な権利なので問題無し

記事内に広告が含まれています。

退職届を提出した次の日から有給消化する際の注意点、申請の仕方について解説します。

スポンサーリンク

退職届の次の日から有給を消化することは可能

有給の取得は在職中であればいつでもできます。そのため、退職届を提出した翌日から有給を取得することは可能です。

退職届をだしてから有給もできる

有給の取得は「いつ取るのが正しいのか?」という制限はありません。労働者側の裁量で決めることが出来ます。

時季変更権(会社側が労働者の有給のタイミングに調整を書ける権利)の問題もありますが、時季変更権は退職が決まっている場合や産後休業や育児休業の期間に重なる場合には効力は無効となります。そのため、退職を念頭に置いた有給の申請に対しては会社は拒否することができません。

そのため、退職届をだしてからの有給取得も問題ありません。

退職届提出後よりも有給は事前に伝えておく方が良い

ただし、退職届提出後よりも事前に伝えておいた方が混乱はおきにくく心証も良いので、可能な限り予め事前に伝えて置いた方が好ましいです。

自己都合退職での有給消化の書き方

自己都合退職であれ会社都合であれ有給は労働者の権利なので、辞め方によって書き方が変わることはありません。退職日までに有給休暇の完全消化もしたい旨を退職届の中に記載しておきましょう。

具体的な記載項目としては以下となります。

  • 退職する旨
  • 退職希望日
  • 有給消化日
  • 氏名
  • 所属部署名
  • 申請書の提出日

具体的には以下の書き方で提出してください。

退職届に有給休暇消化の旨まで同時に伝える際の書き方

退職届兼有給休暇消化申請書

令和〇年×月△日

●●県▲▲市■■1-1-1
株式会社〇〇
代表取締役 □□ □□殿
●●県▲▲市××2-2-2
(自分の氏名)(印)

私(自分の氏名)は、先に令和〇年〇月〇日に上司である(上司の名前)に申し出ました通り、一身上の都合により、令和〇年〇月〇日をもって退社しますことを、ここに届出いたします。

また、令和〇年〇月〇日から令和×年×月×日までの間、会社の休日である土日祝祭日を除く〇日間を、年次有給休暇の消化として申請させて頂きますことをお伝えいたします。

  • 退職をしたい旨
  • 有給を申請する旨
  • 退職日と有給消化する期間(日にち)

それぞれを明確に記載して上司に退職届権有給消化申請書を渡してください。普段から円滑な人間関係が築けている場合は以上の流れになります。

一方、お互いの関係が崩れている場合、もしくは会社側から理不尽な対応を受けている場合は上記に加えて

  • 退職前の消化のため、時季変更権は行使できない旨
  • 有給の取得を妨げる場合、労働基準法第119条で罰せられる恐れがある旨
  • 賃金からの相殺は認めない・有給消化による損害賠償等を支払うつもりはない旨

も合わせて記載していただき、記載した書面を内容証明郵便で郵送しましょう。

退職時に有給消化する際のタイミングや注意点

1.有給消化は法で定められた労働者の権利

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索

社員やパート問わず、

  • 雇い入れの日(正式に入社した日)から6ヶ月経過している
  • 期間の全労働日の8割以上出勤している

以上の条件を満たしていれば最低でも年間で10日の有給休暇を保有している、と法で定められています。

そのため、有給を消化することに後ろめたい気持ちになる必要は一切ありません。

自己都合、会社都合どちらの退職理由でも有給は取得可能

なお、自己都合、会社都合、どちらの場合でも有給は取得できます。「自己都合だから~、」などと気にする必要もありません。

うちやま
うちやま

自己都合退職における有給消化についてより詳しく知りたい方は以下の記事もご参考になさってください。

2.パートでも自己都合退職時に有給消化は可能

退職の理由が自己都合でも会社都合でもパートの方でも有給取得の条件を満たしていれば有給消化することができます。 これは就業規則ではなく労働基準法の規定です。

そのため、会社に退職時の有給消化は出来ないと言われたとしても従う必要はありません。

うちやま
うちやま

有給の取り消しでお困りの際は以下の記事もご参考になさってください。

3.いきなり退職届を出して有給を主張するのは避ける

いきなり退職届を提出し、そのまま有給を取得することも法的に言えば可能です。ただし、相手側からの心証は良くありませんし、中には別の理由を付けて動きを抑制されることもあります。(就業規則上の問題など)

そのため、原則としては事前に退職や有給の相談をしておく方が好ましいです。

いつまでに退職届と有給申請をすべきか?

会社規定で前日までに有給の申請すればいいことになっている場合、引継ぎの日程等を考慮して早めに申請しておきましょう。余裕を持って一ヶ月前から申請しておけば問題は起りにくいでしょう。

4.事前の有給日数の確認

勤務した期間にもよりますが、有給は最小で10日、最大では40日迄取得できます。(※1度も有給を取得していない場合)

退職日まで有給消化できるか?を確認しておく

ご自身の勤務日数を照らし合わせて残っている有給の期間を予め算出し、退職日まで有給消化できるか?を確認しておきましょう。

日数の計算について詳しくは「退職で使える有給消化は最大で40日」をご参照ください。

5.引き継ぎと失業手続き

引き継ぎは有給消化の前に済ませておきましょう。また、失業手続きの申請も忘れてはいけません。

最終出社日の後に有給を消化をすると有給消化日=退職日(離職した日)となります。失業手当の手続きは原則として離職した日の翌日から1年間となっていますので、離職した日の理解が抜けていると申請が遅れて所定給付日数分すべての基本手当が受給できない場合もあります。

失業手当の申請に影響が出ない為にも、退職日がいつになるのか?を忘れないようにご注意ください。

6.退職日まで有給を消化している際の給与やボーナスの扱い

有給消化期間中の給与やボーナスは受け取ることができますので、もし期間中の支払いが未払いとわかったら会社側に賃金不払いとして不足額の請求を行ってください。

それでも会社が対応してこない場合は労働基準監督署に相談しましょう。

なお、会社への請求時は書面やメールなどで会社側に申請した旨の証拠を残しておきましょう。加えて、有給休暇を申請した際の書面も用意しておけば法的に給与・ボーナスを受け取ることができる期間の話であることを証明できます。

7.退職届を出した後は、有給の残り日数消化のために退職日の延期はできない

退職届は会社側に届いた時点で効力を発揮し、その後は原則として取り消し・変更が出来ません。

「退職届で定めた退職日では有給をすべて消化できない」となったとしても退職届の内容や退職日の取り消し・変更が出来ないため、残りの有給消化日数から逆算して有給が完全に消化できる日に合わせて退職日を決定し、退職届にその旨を記載してください。

8.買取は会社と協議

原則として有給の買取は禁止されています。ただし、本来発生するはずだが退職によって無効となってしまう有給であれば買取は認められています。

そのため、必要に応じて有給の買取も検討に入れましょう。ただし、原則禁止である以上、絶対に有給の買取ができる保障も無ければ買取金額が定められているわけでもありません。

買取は会社と協議した上での判断となるので、場合によってはご自身で納得できない金額を算出されることもある可能性だけは予め理解しておきましょう。

退職時に有給を認めてくれない時の対策

A.労働基準監督署

有給の取得を認めてもらえない場合、各地の労働基準監督署へ相談しましょう。

労働基準監督署は労働法に違反する会社を指導する役割があるので、有給が取得できないという労働トラブルに対して相談窓口を開いています。

ただし、労働基準監督署は会社側に指導をするだけであり必ずしも個々人の問題を解決してくれるわけではありません。また、相談するにせよ用意すべき必要書類も多岐に渡ります。

そのため、予めこれらを考慮に入れた上で必要に応じて相談を進めてください。

B.労働組合による退職代行に相談する

労働基準監督署への相談が難しい場合、労働組合が運営する退職代行サービスへ相談して辞めてしまいましょう。

なぜなら、確実に退職が成立するだけでなく有給交渉も代わりに行ってくれるからです。

退職代行はお手持ちのスマホからLINEで申込み相談が可能、希望があればその日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡・交渉する必要もなくなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。また、その人の内に有給の交渉も行ってもらえます。

具体的な動きとしては

  • 確実に退職が成立する
  • 有給や未払いの交渉をしてもらえる
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

などがあり、希望者には退職後の転職相談にも乗ってくれるので退職代行費を支払ってでも利用するメリットがあります。

そのため、もしあなたが

  • 有給交渉が自分では難しい
  • でも、泣き寝入りして辞めたくない

等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。

自分で対応できる方は相談する必要はありません
24時間対応相談を受け付け!追加料金もありません



有給消化してから退職することは問題無い/まとめ

有給は労働者の権利なので活用することに問題はありません。

出来る限り円満にしたいなら早めに退職の申し出と有給申請を進めておきましょう。

ご自身で進められるならそれが一番ですが、どうしても会社が認めてくれない等の場合は第三者機関である労働組合による退職代行を利用して有給を取得しつつ早々に退職処理を進めてしまいましょう。

うちやま
うちやま

会社が有給を認めてくれない!という有給消化トラブルにあった際は以下の記事も参考になさってください。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

うちやま(内山智明)をフォローする
退職
スポンサーリンク
スポンサーリンク
\ 別部隊の仲間たちにも伝える /