仕事ができないからと迷惑を感じて辞める必要はない理由について解説します。
また、トラブルなく確実に辞める際の注意点も併せてお伝えていますので必要に応じてご参考になさってください。
仕事できないからと迷惑を感じて辞める必要は無い理由
「仕事ができない」にもいくつかの解釈の仕方と理由があります。
一生懸命やった結果なら致し方が無い
どうしても仕事には合う・合わないがあります。
一生懸命やった結果であればその仕事がご自身に合わなかっただけであり、仮にそれで何か言われるのであれば管理責任者である上司のマネジメント不足に過ぎません。
つまり、責任はむしろ上司にあります。
自身の適性を検討し直すタイミング
悔しい気持ちや申し訳ない気持ちはあるかと思いますが、無理に我慢し続けるよりも自分の適性に合った仕事を選ぶように切り替えた方が良いです。
- 同じ職場内であれば別の仕事に変えるよう上司に相談する
- 異動届を出して別部署に活躍の機会を求めにいく
など、を検討し、それも難しい時は転職も検討し始めると良いでしょう。
【ポイント】
仕事に対する適性の問題は実際に体感してみないとわかりません。
体感した上での判断であれば、逃げではなく「正しい適性を検討し直した」というだけのことです。
ハラスメントの場合が多い
仕事ができないことに対して
- お前は会社のお荷物だ
- どこに行っても通用しない
- 何でお前は出来ないんだ
などの発言・対応をされた際はすべてハラスメントに該当します。
現在では「パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)」があるように、パワハラはれっきとした違法行為です。
この手の発言が影響して「わたしは仕事ができず、周囲に迷惑をかけているから辞めよう」などと感じているなら誤解であり、違法行為を繰り返す相手側(上司・会社)が悪いだけなので気にする必要はありません。
ハラスメント上司に対する考え方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【補足】労働者は法的に守られている
(懲戒)
労働契約法
第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。
(解雇)
労働契約法
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
上記は労働契約法15条、16条の条文ですが、要するに客観的に見て辞めさせるに値する合理的な理由が無い限りは会社は労働者側を解雇することが出来ない、ということです。
客観的に見て辞めさせるに値する合理的な理由としては、例えば以下が該当します。
- 無断欠勤を繰り返す
- 正当な理由のない遅刻や早退をする
- 離席が不相当に多い
- 周囲の同僚にセクハラやパワハラを行い社内の秩序を乱す
- 他の従業員に比べて著しく能力が低く、基本的な業務さえ満足にこなせない
- ささいな会社の不手際を声高に言いはやす
なお、「他の従業員に比べて著しく能力が低く、基本的な業務さえ満足にこなせない」の場合、仕事に慣れていないというだけなら改善の余地があり、再三にわたる指導や研修を受けさせることで改善すれば良いだけです。
そのため、何度も指導や研修を受けたにもかかわらず改善しないなら労働者側に非が生まれますが、指導や研修を受けることすらない放置状態の職場環境であれば会社側に非があるので労働者側が退職の責任を感じる必要はありません。
要するに労働者側は余程の職務怠慢や迷惑行為を行わない限り辞める必要は無く、その責任は会社側にあるということです。
自分に客観的な非がある・明らかな日がある場合を除いて自分が迷惑だからと感じて辞める必要はありません。
周囲の協力が無い場合は話が別
新卒の場合はもちろん、中途の場合であっても勤務先でスムーズに活動できるようある程度のサポートは必要です。
サポートは一から研修期間をとらずとも、OJTでも構いません。ですが、そういったサポートすら無い環境であれば組織が組織として機能出来ていないことの証明です。
よって、長くいても消耗するだけなので異動もしくは退職・転職を検討した方が良いです。
なお、中にはOJTという名の「実質放置」もありますが、同様に退職・転職を検討した方が良いと言えます。
辞めるべき会社の見極めとして以下もご参考になさってください。
仕事ができないから辞めるのは逃げではない
以上を踏まえた上で仕事が出来ない場合、それを逃げと感じる必要はありません。
いち社員の勤務体制に支障が出る職場環境、つまり会社組織として未成熟もしくは機能していないだけのことです。
ご自身が会社の社長で「自分の会社をこれから発展させるぞ!」という野望があるなら別ですが、いち社員としては未熟な組織に身を置いて疲弊してしまう義理も義務もありません。
よって、ご自身のキャリアのためにも辞めてしまい、まともな会社に入り直した方が良いです。
「逃げ」と「適切な判断」は別物です。今の会社を辞めるべきかどうか?の見極めについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
仕事できないから辞めると言う前に試して欲しい対処法
1.辞めたい理由の言語化
辞めたいと感じている理由を言葉にしてください。
これは精神的な話では無く、頭の中身や今自分が感じていることを正確に理解するためです。
- なんとなくダルくて辞めたいのか?
- 辞めざるを得ない理由があって辞めたいのか?
- どうしても耐え切れない理由・原因ががあって辞めたいのか?
同じ「辞めたい」でも意味合いが異なります。
感情的に判断すると後で後悔することが多いので、「辞めたい理由」を明確にし、『なんとなく』なのか?『明確な理由がある』なのか?を正確に理解してください。
理解した上で「やはり辞めたい」となれば退職の手続きを進めてください。
なお、言語化する際は頭の中で考えるのではなくノートやメモ帳などに書いて言語化するのがおすすめ。言葉を書いて可視化できるようにすることが頭の整理・正しい理解の促進においては大事なことになります。
2.改善できないか?の検討
「仕事ができない」という言葉は抽象的な言葉なので、『何が出来ないのか?』を具体的にピックアップしてください。
洗い出すとわかりますが、仕事に関する全ての行いが苦手・出来ない、ということでは無く、出来ることと出来ないことに分かれるハズです。
出来ることはそのまま活かしつつ、出来ない・苦手なことをどう改善するか?と検討してみましょう。
忘れっぽいのであれば付箋にメモ書きをしてデスク周辺に貼っておき、タスクが完了するととともに付箋を外していく。
自分では処理できない問題への対処の仕方がわからない、であれば10分悩んで解決しないものはすぐに上司に質問する、といった出来ない時の代替案を事前に設定する。
など、悩みに応じて改善出来ないか?を工夫・検討してみましょう。
人と比べるよりも過去の自分と比べた方が良い
仕事の悩みで多いのが他人との比較です。「あの人はできるのに自分は・・・」という悩みですね。
人には得手不得手があり、経験値も異なります。つまり、自分と他人はそもそもの前提条件が異なります。よって、他人と比較する意味がありません。比較するなら昨日の自分よりも改善・向上できたかどうか?だけを意識して、過去の自分と比較すると良いでしょう。これだけで心理的な負担が下がります。
3.転職すべきか?の見極め方
a.ハラスメント
ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反となり法律違反となります。
ハラスメントは被害者の心身に対して危険を及ぼす行為となります。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
使用者である会社側が労働者の安全を確保できていない環境を作っていることになるため労働契約法5条に基づき違法行為に該当します。
よって、ハラスメントが横行する職場であればご自身の身を守るためにも辞めた方が良いです。
ハラスメントによって退職を検討する際は以下の記事もご参考になさってください。
b.業務内容の相違
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
e-gov法令検索(労働基準法)
雇用時に会社側からいただいた雇用契約書の内容と実際の業務内容・就業条件が異なる場合は労働基準法第十五条違反となり違法行為に該当します。
この場合は即時退職も成立します。
なお、相違があった場合は一度会社側に確認をとり内容の是正をしてもらいましょう。それでも対応してくれない場合は即時辞めてしまた方が良いです。
労働条件の相違について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
c.異動願いを出す
同じ部署に悩みの種がある場合は部署異動によって問題を避けることも選択肢。
ただし、異動できる部署が無い、異動が認められない、という場合は問題が解決しないので転職を検討した方が良いです。
会社の辞め時、見極め方についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【補足】迷惑かけるから辞めると感じる前に
中には仕事が出来ないことに「自分がいたら迷惑をかけるだけだから辞めた方が良いのでは?」などと感じる方もいますが、決してそんなことを感じる必要はありません。
- ご自身で感じているほど周囲は迷惑に感じていない
- 今は慣れてもらう期間だからと理解している。むしろ期待している
というケースもありますので「考え過ぎ」の場合が往々にしてあります。
どうしても気になるようでしたら素直に相談して助け舟を出してみてください。
そこまであらゆることをやった上で「難しい」と判断した場合は、以下の内容を元に辞めることを検討してください。
トラブルなく会社を辞める際の5つの注意点
- 何度やっても仕事ができない
- 周囲からのサポートも一切ない
ということであれば我慢して職場に居続ける必要は無いので適切な機会を求めて退職しましょう。
退職はネガティブなイメージを持たれがちですが、ただの選択肢に過ぎません。
今いる場所で心地よく労働が出来ないなら別の環境を検討するのは至って自然な判断です。
1.損害賠償は気にする必要は無い
迷惑をかけているのでは?と考える方は辞める際に損害賠償を危惧しやすいものですが、原則として退職時の損害賠償を気にする必要はありません。
(賠償予定の禁止)
労働基準法第16条
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されており、且つ損害賠償は客観的に見て明らかに会社側に迷惑を掛ける(長期の無断欠勤、退職時に社員を多数引き抜く、など)行為をしない限りは発生しません。
退職は労働者の権利でしかないので余程特殊な状況でない限りは退職時に損害賠償を気にする必要はありません。
2.当面の生活費の確保する
失業後の生活費のアテとして失業手当がありますが、失業手当は通常3ヶ月しか受け取ることが出来ません
そこで失業手当とは別に失業中の方の支援を目的とした「給付金(社会保険給付金サポート)」という国の制度があるので申請しておきましょう。給付金なら最大28ヶ月に渡って給付してもらえる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので申請してしまいましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日が本日から『14日以上、90日未満』
- 年齢が20歳~54歳
- 現時点で次の転職先が決まっていない
一般的には給付金制度はまだ知られていないことが多いので不明な点もあるかもしれませんが、少しでも該当しそうと思えたら「自分が該当するのか?」と一度問合せてみてください。それが一番確実です。(すでに退職してしまっている人でも対象になります。)
退職後の生活費に対する不安を少しでも無くすためにも退職時は必ず申請しておくことをおすすめします。
3.バックレはしない
バックレで辞めることだけは本当に止めた方が良いです。モラルやマナーなどの道徳的な話云々の問題だけではなく、ご自身の身の安全を守るためです。
バックレは法的に認められていない行為になるので、辞めた後で万が一にも損害賠償請求や呼び戻しなどのリスクが残ります。
安全、確実に辞めるのであればこそバックレではなく法に基づいた辞め方に徹してください。
より安全に辞めたい時は以下の記事もご参考になさってください。
4.法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
退職は労働者の権利として民法で定められています。よって、解約の申し出として退職届を用意して辞めてしまいましょう。
また、辞める際は原則として社内規定を元に退職処理を進めましょう。
5.辞められない・すぐにでも辞めたい場合
- 簡単に辞めさせてもらえない
- 自分で退職を切り出すのが難しい
- でも、もう耐えられないからすぐにでも辞めたい
という場合は労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)で申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
退職代行の具体的なメリットとしては、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的な問題やトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
などがあります。
そのため、もしあなたが
- 辞めたいけど言い出しにくい
- 職場の人と顔を合わせずに辞めたい
- トラブル無くすぐにでも辞めたい
等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
まとめ
退職は労働者の権利であり、ただの選択肢にすぎないため、逃げる・逃げないの話ではありません。
自分を過度に自分を追い詰め過ぎることなく、どうしてもの場合は退職も選択肢に入れてご自身の今後を検討してみてください。
今の職場がホントに辛い、、、という方は以下の記事もご参考になさってください。