鬱になるぐらい追い詰められいるなら無理せず退職した方が良いです。
会社よりもご自身の身の安全が第一。
本記事では鬱になるぐらいなら退職した方が良い理由、退職時の手順(退職方法)や注意点について解説しています。
うつになる前に退職した方が良い理由
- 仕事ができない
- 仕事ができないので収入が途絶える
- 再就職時に仕事が限定される可能性
- 仕事だけでなくプライベートにも影響
- 会社はプライベートやあなたの人生を保証してくれない
病気の回復や再就職・社会復帰への不安、プライベートへの影響など、鬱になることで様々な懸念が発生します。
鬱になることはあなたの責任ではないのであなた自身は何も悪くありません。ですが、鬱になったことでの影響は仕事だけではなくご自身のその後の人生にも影響する問題です。
そのため、鬱になる可能性を感じたなら我慢して会社にいることなく、その前に退職した方が良いです。
鬱になるリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。
退職の傾向-厚生労働省のデータより
鬱や精神的トラブルの原因になりやすい労働条件や人間関係の問題が退職理由として挙げられています。
このことからもわかるように多くの労働者がうつ予備軍という状況です。
鬱は働く人にとって身近な問題、だからこそ軽視してはいけません。ご自身の身を守るためにも、少しでも自分に可能性があると感じたときは退職という選択肢も用意してください。
辞める前の確認事項は9項目
1.精神的に無理な場合
- ハラスメント
- 人間関係
- もう修復のしようがない職場環境
など、どうしようもないほどに追い込まれている場合はご自身の身の安全を第一に考えて直ぐに辞めましょう。
後述する 辞めさせてくれない時でも確実に退職を成立させる方法 でも解説しますが退職は労働者の権利です。退職に後ろめたさを感じる必要もありませんし、辞められないなどという理不尽も法的に通用しません。
2.上司や社内窓口に相談
自分が悩んでいる状況を上司や社内窓口に相談し、改善が図れるか?を相談してください。
3.配置転換の申請・相談
現在の職場環境が原因であれば配置転換の相談も選択肢の一つ、職場環境が変わることで負担が軽減することもあります。
「本音を言えば会社を辞めずになんとかしたい」という気持ちがある方は配置転換の相談・申請してみましょう。
4.短時間勤務の申請
鬱は長時間勤務が影響した発症することもあるため、時短勤務で環境を変えることで症状が回復することもあります。
上記の「配置転換の申請・相談」と同様、「本音を言えば会社を辞めずになんとかしたい」方であれば時短勤務の申請を相談してみてください。
5.社外の窓口に相談
社内の人間に相談するのが難しい時は社外の相談窓口に助けを求めましょう。
6.医師、もしくは産業医面談で相談して退職を判断する
鬱をはじめとしたメンタルトラブルは理解してもらうのが難しいため、心療内科の医師、もしくは勤め先に産業医がいれば診断してもらい、医学的にご自身の状態を証明してください。
産業医面談の結果、退職したいときは診断書を用意してもらう
診断結果から鬱や適応障害などとわかったら診断書を用意してもらいましょう。診断書があれば退職や休職の正当性を証明することができるので退職や休職が成立します。
7.「うつ病ネット」で調べる
「うつ病ネット」というサービスでもご自身のうつ状態の一端を理解することができます。
うつ病ネットは産業医大学の名誉教授が提供している診断サイト。16問の簡易診断ができ、自分自身の状態を点数で表示してくれます。
心療内科に行く前に、大枠でも自分の状態を知りたい時はお試しください。
鬱になりやすい職場の特徴
- 長時間の残業が続いている
- 職場環境が合わない(人間関係)
- ハラスメントをはじめとしたプレッシャーがかかる環境
鬱になりやすい人の特徴
- 真面目と言われる
- 几帳面(もしくは完璧主義者)と言われる
- 責任感が強い(もしくは自分に厳しい)と言われる
こうした特徴に当てはまっている方は、一度はチェックした方が良いです。
8.休職の申請
「まだ退職までは検討していないが、一旦職場と距離を置いて心を落ち着けたい」という時は休職を申請してください。
また、条件にもよりますが休職中に傷病手当金も申請しておけば働いていなくても給与が入ります。(傷病手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬日額の2/3です。)
なお、「会社に行けなくなった時の退職する方法と出勤困難症への対策」でも解説しましたが、休職を成立させやすくするためには心療内科から診断書を用意してもらいましょう。
9.有給消化
「休職が認められない、でも職場から一旦離れたい」という場合は有給を申請してください。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
要約すると、正社員やパート問わず
- 雇い入れの日(正式に入社した日)から6ヶ月経過している
- 期間の全労働日の8割以上出勤している
以上2つの条件を満たしていれば最低でも年間で10日の有給休暇を保有していることになり、その権利を行使することできる、ということです。
「ブラック企業だから有給なんて~、」という人もいますが、有給は労働者の権利として法で定められているため必ず権利を行使できます。
鬱で仕事を辞める、と決めた際に取るべき行動12項目
1.家族に相談
家族がいる方の場合、誰よりも優先してまずはご家族に鬱によって退職する旨を報告をしてください。辛い状況では素直に自分の状況を伝え、家族で共有した方が良いです。
家族に伝えずご自身で抱え込んでしまう方がストレスが悪化する恐れがありますし、家族に相談しないまま万が一にも突然の鬱になってしまったら家族を困惑させてしまうことになります。
以上のことから鬱で辞める際はご家族に真っ先に伝えるようにしてください。
2.退職届の提出
退職代行の利用時は退職願ではなく退職届を郵送することでも解説しましたが、退職届は自分の退職を通告するための書類となります。
民法第627条より、退職時は解約の申し出を用意する必要があります。退職届はその役割を果たしてくれるため、忘れずに退職届を会社に提出してください。
3.退職理由がうつの時は嘘をついてでも辞めることを優先する
法的に退職時に退職理由の用意は必要ないのですが、退職理由がないとどうしても辞めさせてくれない時は嘘をついても辞めることを優先してください。
仮に後日嘘がバレたとしても、そもそも退職時に退職理由の用意は必要ないので問題はありません。
どうしてもの場合は「自分が辞めること」を第一優先にしてください。
退職理由の用意の仕方に関しては以下の記事もご参考になさってください。
4.【注意】次の動き(転職)は急がないこと
「辞めたら次の仕事を探さないと~、」という話は確かに正論です。
ですが、本当に鬱になるレベルで疲弊しきっているなら『気持ちを切り替えて次の仕事で~、』と考えるのはかなり困難。むしろ、「転職活動しなくてはいけない」というプレッシャーで苦しんでしまうことすらあります。
次のことを考えられる元気や余裕がある方は別ですが、そうではないぐらいに消耗しきっているならまずは辞めることだけ考えてください。
転職をはじめ、次のことを考えるのは退職して気持ちも落ち着いた後の方が良いです。
5.私物の持ち帰り/備品の返却
後々トラブルにならないよう、職場に持ち込んでいる私物があれば忘れずに改修。また、会社から借りている備品(PC、スマホ、制服、など)も忘れずに返却してください。
6.労災を申請して治療費を補償
うつ病をはじめとしたメンタルヘルスは退職後に発症することもあるため、退職後に労災を申請することも可能。労働基準監督署長宛に必要書類の提出して申請します。
労災が認定されると治療費や休業損害について補償を受けることも出来ます。
なお、精神疾患の場合は労災認定の審査が厳格なため、申請したからと言って必ずしも労災が降りるわけではありませんが、可能性があるなら申請はしておいた方が良いでしょう。
7.傷病手当金
労災が認められるまでは時間がかかるので、その間は傷病手当金を受給しましょう。
なお、労災と傷病手当金は同時には受けることができませんのでうつ病と判断され労災が認められた場合、労災に切り替える流れとなります。
8.うつ病の治療費や慰謝料を会社に請求
うつ病の原因に職場のハラスメントがある場合、裁判で会社や上司を訴えることも可能。
ただし、ハラスメントで訴える場合は証拠を揃える・会社との交渉、等が必要になるので、いざという時の対応は個人ではなく弁護士など専門家に相談して対応してもらいましょう。
9.未払い賃金・残業代の請求
うつになるぐらいのブラックな職場環境であれば「賃金の未払い」が行われている可能性も0とは言えません。サービス残業が過剰、且つ定期的に発生しているなら疑ってかかった方が良いでしょう。
なお、未払い賃金の請求権は2年間の消滅時効期間があるので請求を検討している方は早々に動きだしてください。また、対応は個人ではなく弁護士に相談して立ち向かう方が良いです。
10.社会保険の切り替え
退職時に次の職場が決まっていない場合(空白期間が生じる場合)、ご自身で社会保険から国民健康保険への切り替え手続きを行う必要があります。
国民健康保険の加入手続きは「退職後14日以内に行う必要がある」と定められているので、2週間以上空白期間が空く場合は一時的に国民健康保険に加入することになります。
他にも、
- 国民年金の切り替え手続きも同様に退職後14日以内に行う必要がある
- 天引きされていた住民税を自分で支払う必要がある
など、個人として対応する事務内容もあるので併せて覚えておきましょう。
11.失業保険の申請
失業保険(失業手当)は退職後に条件を満たしていれば一定期間受け取ることができます。ただし、失業保険はご自身で申請を行わなければ受け取ることは出来ませんので退職後は忘れずに申請を行ってください。
うつ病が原因で退職した場合、仮に会社からもらった離職票に「自己都合退職」と書かれていても「会社都合退職」扱いにして失業保険を受給できる可能性もありますので「どうしても納得いかない」ときはハローワークで審査請求を行ってください。
もし審査請求の結果が納得出来ないのであれば弁護士を通じて裁判も検討に入れましょう。
12.給付金の申請
失業保険とは別に「給付金」という制度があります。
失業保険は通常3ヶ月しか受け取ることが出来ませんが、給付金なら最大28ヶ月に渡って給付してもらえる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので申請してみましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日まで2週間以上ある
- 次の転職先が決まっていない
- 20歳以上
一般的には給付金の制度はまだ知られていないことが多いので、少しでも該当しそうと思えたら「自分が該当するのか?」と一度問合せてみると確実です。
退職後の生活費に不安になることなく過ごすためにも退職時は必ず申請しておきましょう。
辞めさせてくれない時でも確実に退職を成立させる方法
1.法律を理解して自分で申請する
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職は労働者の権利として定められています。
会社には労働者の退職を拒否する力をありませんので、退職意思を明示して辞めましょう。
退職理由を鬱で申請する場合の伝え方
うつ病で退職理由にする際は直接的に「うつ病が理由」と伝えるのではなく、「自己都合」や「療養に専念するため」などの表現で伝えることになります。
伝え方によってはご自身と会社との間に解釈の齟齬が発生してトラブルになることもあります。よって、無難に「自己都合」や「療養に専念するため」などで伝えた方が良いです。
2.労働組合が運営する退職代行に相談する
- 自分で退職を切り出すのが難しい
- 辞めたいのに辞めさせてくれない
- でも、もう我慢できないので辞めたい
という場合、労働組合が運営する退職代行サービスへ相談して辞めてしまいましょう。
お手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)で申込み相談可能、希望すれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 引き止めが発生しないので心理的な負担もない
- 法律に則って退職処理するのでトラブルはない
- 有給消化や未払いも代わりに交渉してくれる
などがありますのであなたが代行サービスに支払う代金以上の利用メリットがあります。
そのため、もしあなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、もう今の職場に居たくないし直ぐにでも辞めたい
などの場合は迷わず労働組合による退職代行サービスを利用することをおすすめします。
鬱になる前に辞めるのは身を守るための当然のこと
鬱になるぐらいなら我慢せず退職しご自身の身の安全を第一に考えた方が良いです。
どうしても場合は、無理せず退職して一度ご自身の状況をリセットし、気持ちも回復してきた段階で次の人生について考えていきましょう。
条件反射的に「退職は怖い」と思う方もいると思うので、そういう方は僕の体験にはなりますが以下の記事もご参考になさってください。
【初めて勤務した会社をやめた主な理由】