仕事でメンタルが持たない人が退職前にすべき処置と注意点を解説しています。
「今の辛い環境からトラブルなく退職したい」という時のご参考になさってください。
本記事のまとめ
- 結論:メンタルが持たない時は我慢しない
- 体の異変を感じたらすぐに身を守る動きを
- 我慢できない時は退職も選択肢
- 辞めさせてもらえない時・自分で退職を切り出せない時は労働組合が運営し、弁護士監修体制もある退職代行トリケシに相談する
仕事でメンタルが持たない時の対処法と注意点
我慢し続けない
メンタルが持たないと感じるほどの状況で一番の問題になるのがその状況を我慢し続けることになります。
我慢し続けるとストレスの影響で鬱や適応障害になる可能性もあり、会社云々ではなくそれ以上の影響が出てしまいます。
加えて仕事でメンタルが持たない状態だと「出勤困難症」の恐れがあり、我慢し続けると体を壊すだけです。
出勤困難症について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
「精神的な理由で仕事を休みたい人は多い」の記事でも解説していますが、昨今はメンタルヘルス不調で休職・退職する人は多くいます。そのため、ご自身が無理なく働けることを第一に考えてください。
いずれにせよ「我慢し続けないこと」が第一優先となります。
うつや適応障害になっても会社は責任をとらない
鬱になることはあなたの責任ではないのであなた自身は何も悪くありません。ですが、うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、再就職・社会復帰への不安を感じ続けることにもなりますが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、鬱になる可能性を感じたなら我慢していまの職場に留まることなく、異動や退職を最優先に検討してください。鬱になるリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。
上司に相談
本来、問題があれば直属の上司に相談する者ですが、直属の上司が問題の原因となっている場合は更に上の上司に相談してください。もしそれが難しい場合は人事部に相談しましょう。
どうして嫌いなのか?その原因は何か?を客観的に相談相手に伝えることで解決に繋げます。
うつになる前に退職した方が良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
上司が苦手で相談できない人は以下の記事もご参考になさってください。
外部機関に相談する
社内の人間に相談するのが難しい時は社外の相談窓口に助けを求めましょう。
問題解決に向けて第三者機関が悩みに対するアドバイスをしてくれます。
目標設定
仕事だけの話ではありませんが人は目標が無いと気持ちが続かないものです。
そのため、ご自身が仕事を通じて達成したい目標(大目標)と普段の業務に対していつまでに終わらすのか?という行動目標(小目標)をそれぞれ設定してみましょう。
大目標は必要ですがすぐに達成出来ないことが多いもの。そこで日々達成感を味わうために小目標として「○○の作業は10分で終わらせる」「××さんにお願いするのは〇時までにする」など都度小目標を設定します。
小目標と大目標がそれぞれ存在することで仕事の効率が上がるだけでなくメンタルを保つ助けにもなってくれます。
自分へのご褒美を用意する
- 設定した目標を達成した
- 何か嫌なことがあったけど乗り切った
などがあった際に自分へのご褒美を用意しておきましょう。
「ご褒美がある」とわかっているだけで気持ちの落ち込みを押さえる助けになります。なお、ご褒美は必ずしも高額なものである必要はありません。値段の大小よりも「ご褒美がある」とご自身で理解し、実感し続けられることが大事になります。
運動する
数多くの研究が、有酸素運動はうつ病や不安気分の改善に有効だと報告しています。 有酸素運動は強度や時間をコントロールしやすく、運動の実施という点から有利です。 運動強度が高いほうが抑うつ症状はより軽減する傾向がありますが、低強度であって も効果があります。
ストレスで気が滅入っている際は運動をすることで気分が和らぐことが研究でわかっています。
ウォーキングや軽めのランニングであっても一定の効果を実感出来ますので、鬱屈とした気持ちを抱え込まないよう、嫌なことがあっても運動をして気持ちを整えてみてください。
医師に診てもらう
ご自身がどれだけメンタルで追い詰められているのか?を診てもらい、状況を客観的に理解します。本当にどうしようもない時はドクターストップがかかり対処法が明示されます。
診断書
精神的なトラブルが認められない、自分では正しく伝えて会社側に理解してもらうのが難しい、という際は心療内科で診断書を用意してもらいましょう。
医師による診断書を用意することで症状の正当性を証明できます。
特にパワハラを始めとして人間関係のストレスが心身に影響を与えてしまっている場合は労災認定されることもあります。労災認定には医師からの証明書が必要になるので診断書の取得も検討してください。
精神的にしんどい時の振舞い方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
有給で休む
仕事で受けたメンタルトラブルは気持ちの問題で解決する話ではありません。どうしても耐えられない時は物理的に今の職場から距離をおいて自分だけの落ち着ける環境を整える必要があります。
そのため、有給を利用して休みを設けましょう。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。また、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生します。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、
有給休暇の付与日数|厚生労働省
一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければな
りません(労働基準法第39条)。
そのため、有給を申請して休みをもらい上司と会わない時間を作って気持ちを整えてください。
なお、どうしても休む説得が難しければ心療内科で診断書を出してもらい客観的に休まなくてはいけない状況であることを証明して休みを取得してください。
休職
有給とは別に休職を申し出ることも可能です。
休職は自分だけの時間を確保して休みを取得できるだけでなく、条件にもよりますが休職中に傷病手当金も申請しておけば働いていなくても給与が入ります。(傷病手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬日額の2/3です。)
なお、「会社に行けなくなった時の退職する方法と出勤困難症への対策」でも解説しましたが、休職を成立させやすくするためには心療内科から診断書を用意してもらいましょう。
【補足】傷病手当金の申請
休職中は給与が止まってしまうので傷病手当金を申請しておきましょう。なお有給を使うと傷病手当金の対象外になるので、傷病手当金の場合は休職扱いにしてもらいましょう。
詳しくは「傷病手当金の申請」をご参考になさってください。
キャリアコーチに相談する
- いまの職場だけが自分のキャリア形成なのか?
- もっと他に自分にとっての活躍の場があるのでは?
- 仮に転職しても、そもそも一般的な職場環境で勤務するのが合わないかも
など、今の現状に疑問を持つ方はキャリアコーチングに相談して別のキャリア設計を検討してみると良いでしょう。
なぜなら、キャリアコーチは学校や親では教えてくれなかった個人のパフォーマンスを最大化させるキャリア設計を相談することができるからです。
- 転職
- フリーランス
- 動画編集
- ライター
- 独立
など、現在は選択肢が数多くあります。
こうした選択肢の中から「本当に自分のパフォーマンスが発揮できる選択肢は?」を専門のキャリアコーチがアドバイスしてくれます。
中でもキャリアアップコーチングは転職以外のキャリア作りの相談に乗ってくれる数少ないサービス。転職やそれ以外の選択肢を含めてご自身にとって最適なキャリアづくりを検討してみたい方は一度無料相談を利用してみるのが良いでしょう。
異動願いを出す
部署異動ができる規模の会社であれば退職の前に異動という選択肢もあります。
異動することで現在の職場とまったく関りが無くなるようであれば異動も視野に入れてみましょう。
ですが、異動制度が無い、異動しても前の職場と関りが続く、という職場環境であれば異動ではなく退職を選択した方が良いです。
退職する
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職は労働者の権利として定められており、会社にはその権利を拒否する力はありません。
よって、民法に従って労働者の権利を行使して退職してしまいましょう。
なお、原則として退職は社内規定に従って退職届を提出して退職処理を進めてください。辞める1、2ヶ月前に退職申請するのが一般的な基準と考えられます。また、必要があれば引き継ぎを行い、有給があれば退職までの残り日数は有給を消化して退職すると良いでしょう。
ただし、1、2ヶ月も今の職場に耐えるのはどうしても難しいという場合は民法に従って14日で辞めてしまいましょう。仮に社内規則があったとしても民法が優先されるので14日で退職は成立します。
場合によっては会社との双方合意により即日退職になるケースもあります。
仕事でメンタルが持たない時に出る兆候
こころのサイン
不安や緊張が高まって、イライラしたり怒りっぽくなる
ちょっとしたことで驚いたり、急に泣き出したりする
気分が落ち込んで、やる気がなくなる
人づきあいが面倒になって避けるようになる体のサイン
ストレスのサイン|厚生労働省
肩こりや頭痛、腹痛、腰痛などの痛みが出てくる
寝つきが悪くなったり、夜中や朝方に目が覚める
食欲がなくなって食べられなくなったり、逆に食べすぎてしまう
下痢したり、便秘しやすくなる
めまいや耳鳴りがする
メンタルが持たない時は心と体から何かしらの兆候・サインが出始めます。
集中できない
- 離席が増える
- ケアレスミスが増える
- 同僚とのコミュニケーションが嫌になる
- デスク周りの者が片付けられなくなる
- 電話の受け答えが出来ない
など。
これまでは当たり前に出来ていたことが急に出来なくなることが増えてきたらら精神的な影響を受けているサインです。
遅刻が増える
遅刻が増える、もしくはそれに伴って休みが増えてきた場合も注意。本能的に体が職場に向かわなくなっている可能性があります。
体に異変が生じはじめる
- 眠れない
- 頭痛・めまい・便秘など身体的な症状がでる
- 食欲が増えた
- 疲れがとれない
- 肩こりがひどくなる
- だるい・吐き気がする
- 落ち着かない
- 常に不安に感じる
- 家から出たくない
など、体に異変が起こり始めるとメンタルに影響が出ている証といえます。
やりがいを一切感じなくなる
仕事に対するやりがいが感じられないことも精神的なSOSのサインの1つ。
やりがいの有無は必ずしも必須とは言えませんが、自分の人生の大半の時間を費やす仕事という領域で変化がまったく起きないことは、必ずしも健全な状態とは言えません。
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として
- 仕事の内容に興味をもてなかった
が男女問わずに一定の割合を占めています。
つまり、仕事へのやりがいを感じなくなったら辞めることを感じるほどのストレスが起きているとも言えるわけです。
朝起きると涙が出てくる
朝起きて仕事のことを考えるだけでも泣いてしまう状況であれば、あなたの体と心がSOSのサインを出しています。
決して今の状態を我慢し続けてはいけません。
この場合、いまのご自身の状況を強制的にでも変えなければ回復は見込めませんので、拒否反応が出ている時はすぐに休んでください。(もしくは辞める)
拒絶反応が出るほど追い込まれているときは以下の記事もご参考になさってください
回避性パーソナリティ障害の可能性
職場で嫌いな人に対して動悸や震えなどの拒絶反応が起こったら回避性パーソナリティ障害であることを疑ってください。
回避性パーソナリティ障害は、拒絶、批判、または屈辱を受けるリスクのある社会的状況や交流を回避することを特徴とします。
回避性パーソナリティ障害(AVPD) – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
回避性パーソナリティ障害はその対処法として認知行動療法、他の精神療法、抗不安薬や抗うつ薬が有益とされていることから「うつ病に近しい状態にある」と理解した方が良いでしょう。
拒絶反応が強く出れば出るほど自分で自分の感情コントロールが出来ないほど疲弊していることになります。
家に帰っても不安がぬぐえない、仕事のことを考えると震えてしまう、などプライベートにも影響が出てしまい、放置してしまうと更に症状が悪化してしまうので心療内科や精神科等に早々に診てもらう必要があります。
仕事の辞めどきがわかるサインについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
退職する際の5つの注意点
1.転職は一旦忘れる
精神的に追い詰められているときに次の転職先の心配までできる余裕はありません。次が決まっていれば良いとは言われますが、いま第一に検討すべきは現在の職場を離れ、ご自身の心の静養に努めることです。
転職について考えるなら退職後、落ち着いてから検討するぐらいが良いでしょう。
2.バックレはしない
突然バックレるのだけは止めましょう。「社会的なモラルが~、」といった話ではなく(もちろんそれもありますが)、退職のルールが退職意思を伝えてから最短で2週間と定められている以上、急なバックレ退職は法的に認められていない行為になります。つまり違法行為です。
バックレた後、万が一にも法に基づき会社側から賠償請求など求められるリスクが残ってしまうため、ご自身の身の安全のためにも退職時にバックレだけは控えてください。
3.必要書類の確認
会社から借りているもの(制服、PC、スマホ、社章、など)は返却し、退職後に必要になる書類は郵送してもらう必要があります。
健康保険被保険者資格喪失証明書 | 勤務先の健康保険から脱退済であるという証明書。国民保健に加入する際に必要 |
厚生年金基金加入証明書 | 会社が厚生年金基金に加入していた場合 |
源泉徴収票 | 転職先での給与計算や確定申告の手続きで必要になる |
退職証明書 | 退職後、家族の健康保険上の扶養者になる場合 |
離職票 | 失業手当の手続きに必要 |
会社に年金手帳を預けていた場合は年金手帳も忘れずに受け取りましょう。
4.給付金の申請
退職後は当面の生活費問題に直面しますので、最寄りのハローワークで失業手当の申請は必ず行ってください。
ただし、失業手当は基本的に2ヶ月しか支給されません。
その間に気持ちが回復して次の職場に行けるなら問題ありませんが、気持ちの問題は回復の目途が立つまでどれぐらいの期間がかかるのか?予想が難しく、2ヶ月以上の期間が発生する可能性もあります。
そのため、失業手当と並行して国から支給される「給付金制度」にも申請しておきましょう。
給付金は最大28ヶ月に渡って給付金を受け取ることができる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので、退職を検討する際は必ず申請しておきましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日まで2週間以上ある
- 次の転職先が決まっていない
- 20歳以上
退職後の給付金は自分で申請しなければ受け取ることが出来ない制度です。
退職後の当面のお金(生活費)に対して心配な方は忘れずに申請して受け取っておきましょう。
5.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 自分から切り出すのが怖い
- 相談しても辞めさせてくれない
- でも、もう耐えられないからどうしても辞めたい
という時は労働組合が運営し、弁護士監修体制もある退職代行トリケシに依頼して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホからLINEで申込み相談が可能。また、希望すれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するのでトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
などがあります。
そのため、もしあなたが
- 辞めさせてもらえない
- 辞めたいけど自分では言い出しにくい
- でも、どうしても辞めたい
等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
まとめ
仕事を介して精神的なトラブルを抱える人は増えており現代病の1つと言っても過言ではありません。
本当に苦しい時は我慢することなく職場から離れる決断をし、ご自身を守ることを第一に考えてください。
ご自身の職場が離れた方が良い職場かどうか?を客観的に判断したい方は以下の記事もご参考になさってください。