仕事に不公平を感じて辞めたくなった時の退職の手順と注意点について解説します。
仕事が不公平で辞めたい!と退職を考える人は多い
仕事の不公平さにイライラする
パートで仕事量が同じなのに給与が違うのは不公平
このように、職種や立場・状況は異なれども職場や仕事内容に不公平さを感じている人は少なくありません。
仕事で不公平を感じる具体的な原因
仕事の量が自分だけ不公平
自分だけが他の社員と比べて仕事の割り振られる量が多いにも拘わらず給料や労働条件は皆と同じだと不公平さを感じます。
仕事の割り振りが不平等
労働条件が同じなのに仕事の割り振りが不平等だと自分だけ損をした気持ちになり、実際問題として自分だけ苦しい中で頑張っているのがバカらしく感じるようになります。
「自分が他の人よりも優秀だから」「頼りになるから」という理由もあるかもしれませんが、そうであればその分給与や待遇全般の改善が行われないと納得は出来ないものです。
労働条件の変更なく、労働量だけ増えるのであれば頼りにされているのではなく会社側が甘えているだけであり、
労働者側からすれば不平等としか言えません。
社内政治やお気に入りだけ評価される
仕事の内容ではなく、「上司のお気に入りだから」「社内政治が上手いから」という理由で評価される人間は少なくありません。
仕事が不公平でモチベーションが上がらない
お気に入りを優遇する職場では、能力を発揮している労働者がモチベーションを挙げるのはほぼ無理です。
仮にしばらくは我慢できたとしても退職や転職などに移るのも遠くないでしょう。
不公平な仕事量に対してパワハラと感じる
あまりにも公平性の無い仕事量を割り振られることはパワハラ6種型に該当する職場のパワーハラスメントとして認められることもあります。
能力や経験を超える無理な指示で他の社員よりも著しく多い業務量を課す、もしくは逆にあまりに過小な仕事内容を命じる、など公平性を欠いた業務の指示はそれ自体がハラスメント行為として見られやすく、指示を受けた当事者(労働者)も同様に精神的な苦痛を感じやすいものです。
更に業務上のミスについて周囲に人がいるところで叱責されたり見せしめ的扱いを受けるとほぼ確定と言えます。
不公平な状況を改善する方法
1.直接相談の機会を設ける
自分の置かれた環境に不公平さを感じたら、上司に直接相談を持ちかけてみましょう。
- 今の状況と素直な気持ち
- どうして不公平に感じているか?
- その根拠となる事例
などを正直に伝えて現状の改善を訴えてください。
直接の上司が動かない時は更に上の上司に相談を持ちかける、もしくは社内の労働問題の窓口に相談を持ちかけてください。
2.異動する
「直接相談が難しい」もしくは「直接相談しても状況は改善されない」という場合、不公平な状況そのものと物理的に距離をおくしか身を守るすべはありません。そのため、不公平感を出す現在の職場、もしくは職場の上司がいない武将への部署異動を申請し、新しい職場環境に身を置いてください。
なお、異動しても前の職場と関りが続く・そもそも異動制度が無い、という職場環境であれば状況は変わりにくいと言えるので異動ではなく退職・転職を検討した方が良いでしょう。
3.転職する
「2.異動する」と同様に、今の職場環境から物理的な距離を置く方法として転職も視野に入れてください。
社内のごますり環境や好きでも無い職場に我慢して居続けるのはご自身のキャリア形成としても無駄です。辞めた後すぐに転職先に移籍できるよう、転職エージェントを利用して在職中から転職活動を進めておきましょう。
新卒やそれに準じた方が転職するなら「第二新卒(新卒入社で2~3年)」として見られるため、第二新卒に特化したキャリアスタートに登録しておくとご自身に合った転職先を探しやすいです。
【第二新卒に強い転職エージェント】
4.【補足】キャリアコーチングに相談する
- 次の職場では不公平を感じないようにしたい
- 転職以外の選択肢もあるのではないか?
- もっと自分にあった働き方を再検討したい
- これを機に、自分だけのキャリア形成を再検討したい
など、より幅広い視点で今後のご自身のキャリアを検討したい場合はキャリアコーチングに相談してみましょう。
なぜなら、キャリアコーチングは学校や親では教えてくれない、転職・就職だけでは無い別の選択肢(独立・フリーランスなど)も含めたあなた自身にとって最適なキャリア構築の仕方を一緒になって考えてくれます。
その為、嫌になるような職場で働くリスクが再度起こらないようご自身にとっての働きやすさ・キャリアの作りやすさが明確になるからです。
変化が急激な時代です。
価値観や働き方などが多用に広がる中で、
- 本当に自分がやりたいこと
- 本当に自分にあったキャリア形成
をいま一度再検討する事は非常に理にかなっています。
- 会社勤めだと「違う」気がする
- 今の内に自分だけのキャリアを再検討したい
という方はキャリアコーチングに相談してご自身の今後のキャリア形成に活かしてください。
トラブル無く確実に退職する方法と注意点
a.バックレは避ける
民法第627条があるため、一部の条件を除き原則として即日退職は認められていません。そのため、バックレによる即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
以上のことからバックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
b.人手不足
- 人手不足だから辞められると困る
- 人手不足だから後任が来るまで待ってほしい
- 人手不足なのに辞めるだなんて、みんなに迷惑だと思わないのか!?
- 後任が居ないから引き継げないので認められない
などと言われて辞めないように要請してくることもありますが、人手不足はあなたの責任ではありません。
会社の人事・採用の問題であり、問題を先延ばしにしてきた会社の責任です。
そのため、人手不足があったとしてもそれが労働者であるあなたを引き留めて良い理由にはならないので会社の要請に応じる必要はありません。
人手不足と退職について詳しくは以下もご参考になさってください。
c.引き継ぎは義務ではない
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。
退職時の引き継ぎについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
引き継ぎを行う場合
会社と決めた退職日までの中で有給消化などの期間を調整し、退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない・後任がいない、という場合はいずれ入社するであろう後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
d.損害賠償は原則気にする必要は無い
(賠償予定の禁止)
労働基準法第16条
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、相手側が辞めることに対して損害倍層請求などの脅しをしてきたとしても、正規の手続きに則って退職を申し出たことに対して損害賠償を義務付けることは出来ません。
【補足】
損害賠償は第三者が見ても辞めることで会社に多大な悪影響を残したときに検討されます。例えば退職時に多くの同僚を一緒に引き抜いて辞めた、退職時に会社のインサイダー情報を公開した、などが該当しますが、ただ退職するだけであれば会社に多大な悪影響を残したとは認められにくいので原則として退職時の損害賠償は気にする必要はありません。
e.法に則って退職する
- 辞めるまでの期間が長すぎる
- もっと早く辞めたい
という時は退職の法律である民法第627条に従って退職処理を進めましょう。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず2週間で退職が成立します。
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
- 辞めるまでの期間が長すぎる
- もっと早く辞めたい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
f.労働条件の相違を指摘して辞める
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
仕事が不公平だと思ったら入社時に会社からもらった労働条件通知書と異なる労働条件・仕事内容でないか?を確認してください。もし業務内容や労働条件に相違があればその旨を会社に伝えて即日退職してしまいましょう。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
g.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
仕事に不平等を感じる機会は少なくありません。ですが、不平等な状況を変えるのは簡単ではありません。
会社の体制に抗ってでも状況を変えてみせる!という目標がある方は別ですが、そうで無い場合は異動や退職・転職などの選択肢を用意して、効率良くご自身のキャリアの軌道修正を進めてみてくださいね。
納得できない職場を辞めることについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。