休職のまま退職する際の引き継ぎは義務ではないので対応せずも可能

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休職のまま退職する際の引き継ぎの扱いについて解説します。

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休職のまま退職する際の引き継ぎは必須では無い

引き継ぎに法的な義務は無い

引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。

よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。

円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。

急な休職で引き継ぎができなくとも問題は無い

休職により急遽引き継ぎが出来なくても法的な問題はありません。

うつ病で引き継ぎできない時もある

うつ病によってどうしても業務対応が難しい・引き継ぎが出来ない、というやむを得ない状況になることもありますが、こちらも同様に引き継ぎができなくとも問題は起こりません。

休職で引き継ぎしたくない、という人も多い

今日、心療内科に行ってきたところ「適応障害(職場不適応)」と診断され、一ヶ月の自宅療養を要する、と診断書を書いていただきました。

この診断書は、明日上司に渡そうと思うのですが、即日休職できるのでしょうか。
自分勝手ではありますが、引き継ぎ期間をなるべく短くしたい、できれば引き継ぎもしたくないです。

Yahoo!知恵袋

体調不良で休職しています。退職願を出すつもりですが、引き継ぎで出社しないといけないでしょうか。

体調悪いので引き継ぎリストだけ作成して上司に渡すのは良くないでしょうか。
回答宜しくお願いします。

Yahoo!知恵袋

マナーと法律は別の話

中には引き継ぎをしないことに対して「一般的にはダメ~、」などと厳しく言及してくる方もいます。

確かに一般的なマナーとしては間違ってはいませんが、「本当にどうしても嫌・度しようも無い状況」であるときには、その理屈は事情を知らない人のただのエゴです。

法による定めがない以上は、引き継ぎをしないことでアレコレ言われる道理はありませんので、どうしてもの際は無理せず事情を伝えて退職し、ご自身の身の安全を第一に行動してください。

対応するなら引き継ぎマニュアルを渡せばOK

休職するぐらい消耗している状態なら直接会って引き継ぐのは難しいかと思います。

そんな時は引き継ぎマニュアル(引き継ぎリスト)を用意して、上司もしくは引き継ぎ担当者に渡せば問題ありません。

引き継ぎ資料には以下を記載してください。

  • 業務の社内での位置付け
  • 業務の流れ(フローチャートなど)
  • 業務に関わる社内外の関係者
  • 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
  • 顧客情報など必要なデータ

見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。

引き継ぎを強要された場合

強制労働やパワハラに該当する

(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

労働基準法 第5条

引き継ぎ業務ができない・拒否しているにも拘らず引き継ぎを強要された場合は労働基準法第5条の強制労働に該当します。

労働基準法第5条より使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。そのため、会社の要請に従う必要はありません。

加えて、就業が難しい状態での労働の強制は労働者の心と体の安全に影響がある行為でありハラスメント対象となります。そしてハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反に該当します。

いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側の要請に従う必要はありません。

うちやま
うちやま

退職にまつわるハラスメント被害について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

損害賠償は原則気にする必要はない

(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法第16条

原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、退職に際して損害賠償を義務付けることは出来ません。

そもそも引き継ぎには法的な義務もありませんので、引き継ぎをせずに退職をしたとしても違法行為にはなりません。

合法の範疇での退職であれば賠償請求の正当性は成立しませんので、仮に損害賠償と言われても原則気にする必要はありません。

未払いに応じる必要はない

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

労働基準法第24条

労働基準法第24条では、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない、と規定されています。 従って、働いた分はその全額が支給されなければなりません。

よって、仮に引き継ぎをしないことで給与の未払いを脅されたとしても会社側の要求に正当性はありません。不払いが発生した場合は給与を会社側に請求してしまいましょう。

ハラスメントを訴えて辞める

強制労働やパワハラに該当する」でもお伝えしたようにハラスメントは違法行為に該当します。

そのため、「ハラスメントにより身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。

民法第627条より2週間で辞める

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法第627条

民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。

仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。

雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば(=退職届を提出する)必ず退職が成立します。

  • どうしても引き継ぎハラスメントが止まらない
  • どうしても今の職場に居続けるのが難しい
  • でも、どうしても休職のまま引き継ぎすることなく辞めたい

というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。

退職届を受け取ってもらえない場合

事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。

会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。

また他にも

  • 退職の旨を記載したメールを送る
  • 録音しながら口頭で伝える

等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。

口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。

うちやま
うちやま

なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

どうしてもの際は退職代行に相談する

  • 自分で退職を切り出すのが難しい
  • 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

などのご状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

確実に退職が成立します。

退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。

具体的には、

  • 確実に退職が成立する
  • 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

等があります。

そのため、あなたが

  • 自分で退職を切り出すのが難しい
  • 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

※自分で退職を切り出すのが難しいという方だけが相談してください
24時間対応相談を受け付け!追加料金もありません



まとめ

引き継ぎに関して詳しく考える人も少ないので、引き継ぎ=義務と考えている人も少なくありません。

ですが、本記事でお伝えしたように引き継ぎには法的な義務や規制はありませんので、どうしてもの際は引き継ぎをせずとも問題は起こりません。

マナーとしては可能な限り対応すべきですが、どうしても難しい際は事情を伝えて引き継ぎをせず退職という選択肢も用意しておきましょう。

うちやま
うちやま

休職のまま辞める際の注意点について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

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