実際の仕事内容が求人内容と違う時の考え方や取るべき処置・対処法を解説しています。
入社後に仕事内容が違うとわかった場合、状況によっては違法行為に該当します。あとで泣き寝入りしないためにもご自身のご状況と照らし合わせて対策を検討してみてください。
求人内容と違うことが違法になるとは断定できない
求人情報に提示された条件と実際に取引条件が異なっていても必ずしも違法とは言えません。
求人票と違うだけでは法律では違法と認められにくい
求人内容として掲載される条件はあくまで「見込み」扱いとなり、求人内容=労働条件とはならない為です。
能力に合わせて求人内容が調整されることもある
面接時に能力に合わせて求人内容を調整されることもありますが、面接時に提示された労働条件が最終的な内容となり、その内容に合意して契約を結んだのであれば仮に求人内容と最終的な労働条件に相違があったとしても契約は成立します。
これは僕自身経験したことです。事前に聞いてた内容と違うので素直には納得出来なかったですが、法的に言えばその行為自体には違法性はありません。
求人情報と違う明らかな虚偽があれば違法にはなる
職業安定法では、「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を呈示して労働者の募集を行った者又はこれらに従事した者は6カ月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられる」としています(法第65条第8号)。
第六十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する
八 虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者
職業安定法
職業安定法65条8項より、虚偽の記載をした募集広告を出したものは違反対象となりますので、明らかに実際の条件と求人内容に乖離がある場合は指摘することも可能ではあります。
ですが、実際問題として職業安定法65条8項違反として摘発されるケースは少なく違反行為として成立させるのは難しいのが実情です。
業務内容が雇用契約書と違う場合は違法なので退職も検討すべき
(労働条件の明示)
労働基準法第15条|労働基準法 | e-Gov法令検索
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働条件を明示した雇用契約書がある上で実際の業務内容が異なる場合は労働基準法第15条違反となるので違法に該当し、労働者は明示された条件通りにするよう会社に条件の修正を要求する権利があります。
それでも会社側が応じない時は条件の相違を理由に退職することは合法です。
事前の条件と相違がある際の退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
雇用契約書と業務内容が違うトラブルは多い
雇用契約書と業務内容の相違が違法行為に該当するにも拘わらず、入社後の仕事内容と相違によるトラブルの影響を受けている人が多いのが実情です。
労働条件通知書と業務内容が違う時は企業側に申し出る
内定決定後、雇用契約書や労働条件通知書の内容で相違に気づいたときは企業側に申し出てください。
それでも改善されない場合、内定辞退も考えましょう。元がハローワークの求人であればハローワークに相談するのも手ですが、相談したからと言って必ず是正されるわけでは無いので、基本的には退職を第一に考えた方が良いです。
【補足】労働条件通知書がない場合は即日退職が可能
もし就職先の会社が労働条件の書面通知書を用意してくれない場合は「雇用期間の定めがない」と解釈出来ます。
雇用期間の定めがない職場は民法627条(※)に従って、14日前に退職したいことを会社に知らせれば退職可能となります。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
労働条件通知書という基本的な書面ですら用意をしない会社側の不誠実な対応に対して不満がある場合、我慢し続ける必要は無く退職を検討して問題ありません。
契約書が無いときの辞め方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【参考】雇用契約書と基本給が違うことでの求人詐欺による判例
例えば、「基本給22万円と事前に説明されていたが、実際は『基本給18万+◯◯手当4万円』でその手当が固定残業代である」といった場合は詐欺求人と言えます。
より悪質なものであれば、入社後に改めて悪い条件の契約書に署名・捺印を迫るケースもあります。
ただし、入社後に際して事前の求人票と異なる労働契約を提示されて署名・捺印してしまったとしても「その内容は成立しない」と法的に判断された判例もあります。
雇用契約書と業務内容が違うからといって泣き寝入りする必要は無い
そのため、詐欺求人に当たってしまった時は泣き寝入りする必要はなく「会社側に再度条件を見直してもらうか」「もしくは退職する」といういずれかの選択肢で対応すれば問題ありません。
求人票と違う仕事内容や労働条件だから退職したいと悩む方へ
【注意】バックレは辞めた方が良い
業務内容が異なるからとバックレて退職だけは控えてください。
退職の法的なルール(民法第627条)が『退職意思を伝えてから最短で2週間』と定められている以上、急なバックレによる退職は違法行為となります。
バックレた後、万が一にも法に基づき会社側から賠償請求など求められるリスクが残ってしまうため、ご自身の身の安全のためにも退職時にバックレだけは控えてください。
辞めるなら法に基づき辞めた方が結果として安全で確実です。
雇用契約書(労働条件通知書)と仕事内容が違うなら退職する
雇用契約書と実際の仕事内容に相違があるなら労働基準法第15条違反となるので法的に退職が認められます。
法に則って退職をすればこちらに非はありませんので、自主的に早期退職して次の仕事探しに切り替えてしまいましょう。
どうしてもの際は退職代行に相談する
- どうしても自分から退職を切りだすことが出来ない
- 退職届を出しても一向に受理されない
- でも、すぐにでも辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
お手持ちのスマホからLINEで申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
などがあり、希望者には退職後の転職支援の相談にも乗ってくれるので退職代行費を支払ってでも利用するメリットがあります。
そのため、もしあなたが
- 退職を切り出してもどうしても辞めさせてくれない
- これ以上は自分で辞めるのが難しい
- でも、すぐにでも辞めたい
等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
どうしてもご自身では退職が難しい、とお悩みであれば一度相談してみてください。
求人内容や契約内容と違う仕事であることは退職理由になる
事前の求人内容は入社の決め手の1つですから、業務内容や労働条件に相違があるなら十分な退職理由になります。
本記事を参考に明確な違法行為に該当すると思えば労働基準法第15条を元に退職してしまいましょう。
また、どうしても自分から切り出すのが難しい場合は労働組合が運営する退職代行サービスに相談して退職処理を進めてしまってください。
なお、「明日の朝にでも辞めたい!」というぐらい追い詰められている際は以下の記事もご参考になさってください。