派遣を半年で辞めても問題が無い理由、および辞める際の注意点について解説します。
派遣を半年で辞めるのは問題無い理由
契約期間を守っていれば問題は無い
半年間の派遣契約、もしくは3ヶ月の契約で1回だけ更新して以降は更新しなかった、という具合で契約期間を守っていれば派遣を半年で辞めることに問題はありません。
なお、派遣は3ヶ月更新が一般的ですので3ヶ月契約を繰り返し更新することも問題はありません。
派遣を半年で辞めるからといって次の仕事に影響するわけでは無い
半年で辞めたとしても辞め方さえ問題がなければ次の仕事に影響することはありません。
バックレ・無断欠勤・トラブルを自ら引き起こした・不平不満が多い、などが多いと派遣会社も紹介しづらくなります。
次の仕事に影響するかどうか?は勤務期間ではなく勤務実態に影響される、ということです。
派遣を半年で辞める人は知恵袋やSNSでも少なくない
派遣先を半年で辞めるときの切り出し方。
派遣先を半年で辞めるときの切り出し方。 – 先々月から派遣で事務職について… – Yahoo!知恵袋
先々月から派遣で事務職についていますが、先日公務員試験に合格し来年の4月から採用となる予定です。
知恵袋やSNSなどでも派遣先を半年で辞める方の体験談は少なくありませんが、派遣はあくまで期間の定められた雇用形態です。そのため、雇用期間が半年以内で定められているなら派遣を半年で辞めることはおかしな話ではありません。
派遣を半年で辞める際の有給の取得は可能?
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給休暇は労働基準法第三十九条で定められた労働者の権利です。
- 入社から6ヶ月間継続して働いている
- 労働日のうち8割以上出勤している
以上の条件を満たせば正社員・派遣・バイト・パート問わず有給を取得できます。よって、派遣を半年以上勤めあげれば有給の権利が発生しますので有給は取得できます。
派遣は正社員と比べて解釈がわかりにくい面もあるのですが、派遣の雇用元は「派遣元」となります。派遣先ではありません。
そのため、仮に派遣先を短期間で退職を繰り返していたとしても派遣元に所属して派遣業務を行っていれば入社から6ヶ月間継続して働いていることになります。つまり、派遣元の在籍期間が有給の権利に影響するわけです。
派遣元の会社を辞めることになった場合は辞める前に有給を消化してください。
派遣先を辞める際の注意点
契約更新のタイミングで辞める
雇用期間が定められている派遣契約は契約期間を全うすることが原則。そのため、辞める際は契約更新のタイミングで「更新しない」と伝えて辞めましょう。
なお、退職の切り出しは早ければ早いほど好まれますが、マナーを踏まえた上で目安としては辞める1ヶ月前を目途にすると良いでしょう。
派遣を半年で辞めることでお菓子を用意する義務はない
派遣で半年間くらいお仕事をしております。
派遣で半年間くらいお仕事をしております。 – でも7月くらいから、持病が悪… – Yahoo!知恵袋
でも7月くらいから、持病が悪化して「辞めさせて欲しい」とお願いしていて
やっと今月辞めれることになりました。
派遣でお仕事をしたのは初めてで、最後の出勤日に菓子折を持っていった方がいいのか悩んでいます。
半年という期間で辞めたことに対して菓子折りを用意する義務やマナーはありません。
「職場でお世話になったので」「勤務中にご迷惑をお掛けしたので」などの理由がある場合はご自身の気持ちとして退職時に菓子折りを用意しても構いませんが、菓子折りを用意すること自体に法的な義務はありません。
契約期間の途中で辞めたい場合
原則として契約期間内での勤務が義務付けられますが、突発的なトラブルにより勤務の継続が難しくなった場合はまずは派遣元に連絡してください。
派遣元に連絡し、双方合意の上で辞める
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第六百二十八条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
働く期間の定めがある有期雇用派遣であっても、民法628条より「やむを得ない事由」がある場合は雇用解除が可能になります。
やむを得ない事由とは例えば以下が該当します。
【やむを得ない事由の例】
- 契約外の仕事をさせられる
- 使用者が労働者の生命・身体に危険を及ぼす労働を命じた
- 派遣先の上司からパワハラやモラハラを受けている
- 賃金不払いなどの重要な債務不履行が発生した
- 労働者自身が負傷・疾病・心身の障害などにより就業不能に陥った
- 親や家族の介護が必要になった
- 家族の転勤などにより急な引っ越しが決まった
- 業務内容が法令に違反している
- 両親や子供の病気、または介護など
など
派遣社員に正社員の退職届のような形式的な退職書類は存在しないので、辞めたいときは電話で「申し訳ないのですが派遣を辞めたいです。理由は○○○○です」と事情を伝えてください。派遣元に事情が理解されたら合意退職が成立します。
急なトラブルで契約途中で辞めたい時の対処法について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
バックレはしない
派遣の契約途中で絶対に避けたいのがバックレです。仮に辞めることに気まずさを感じていたとしてもバックレだけは避けてください。
一部の条件を除き原則として即日退職は認められていません。そのため、バックレによる退職は違法行為となり、労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
辞めるならまずは派遣元に相談し、法に則って辞めましょう。
円満退社
派遣に限らずですが、職場を辞める際は基本的には円満退社となるように対応するのがマナーです。
バックレはしない・引継ぎを行う・原則として契約期間を全うする・可能な限り周囲へ挨拶を行う、などごく当たり前のことではありますが、辞める際になるべく周囲に迷惑がかからないよう円満退社を心がけてください。
引き継ぎをする
退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
私物の回収
派遣先に私物を残している場合、誤って処分されてトラブルになる可能性があります。そのため、退職日までに私物を持ち帰っておきましょう。
なお、どうしても私物を回収する時間がない場合は、退職後に着払いで送ってもらうように伝えてください。
場合によっては派遣先に私物を置き忘れた場合は後日派遣会社の営業担当が回収し、後日派遣社員宅に郵送してくれることもありますが確実ではありません。そのため、派遣元に事情を伝えたのち派遣社員が回収してくれるのか?自分で着払い相談した方が良いのか?を調整してください。
備品の返却
派遣先の会社で備品(社員証、スマホ、PC、制服など)を受け取っている場合、派遣先もしくは派遣会社に備品を返却しましょう。
どうしても辞めさせてもらえない時の対処法
【事実】派遣トラブルは少なくない
株式会社PLAN-Bが運営するエラベル(ELABEL)によると、派遣トラブルとして「仕事内容・契約関連」「人間関係」が多いことがわかっています。
また、派遣トラブルに対して解決が簡単ではない事実もわかっています。
派遣勤務にはこうした背景があることも影響して
- 辞めたいのに辞めさせてもらえない
というケースも0ではありません。
そのため、どうしても辞められないとなったときの対処方法として以下の選択肢も用意しておきましょう。
違法行為に該当する場合
勤務先に違法性がある場合は早期の退職が成立します。
労働条件に相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合は即日退職が可能ですので派遣契約の中途解除が成立します。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
ハラスメント
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
どうしても際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 相談しても辞めさせてもらえない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- 相談しても辞めさせてもらえない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
辞め方さえ問題がなければ派遣を半年で辞めることでネガティブな要素はありません。
契約期間を全うしてルールに則って派遣業務を終了させましょう。
その上で、「どうしても」の事態が起ったときはまずは派遣元に相談して可能な限り周囲に影響の出ない辞め方を調整してください。