- 精神的にもう限界!
- 今の職場を辞めないと無理
- でも、辞めてしまうと退職後の自分の生活が不安
など、辞めたいけど辞めることに不安を持つ方向けに、退職後しばらくは生活費を安定させながら辞める手順を解説します。
辞めて休むにしても転職するにしてもまずは疲弊した心身を一旦落ち着けないことには次に進めません。
スムーズに次へ切り出すためにも今の自分の生活の安全を確保した上での辞め方に徹してください。
もう限界で仕事辞めたい!という時の適切な退職の流れ
もう限界で仕事を辞めたい!と気持ちが追い詰められてい場合、我慢し続けるのではなく辞めた方が良いです。我慢もし過ぎるとうつ病や適応障害などのトラブルになり、その後の生活や転職活動に支障が出てしまいます。
なお、精神的な苦しみの解消方法はその場から離れるしかありません。
- 気持ちをリラックスさせよう~
- 前向きになろう~
などの対策方法もよく挙げられますが、残念ながら気休めにもならない机上の空論です。現実を知らない人の発言とも言えます。
ホントに苦しい時はその程度のことでは絶対に対策できません。(もうそういうレベルの話ではないので)
繰り返しになりますがご自身のストレスの原因(主に職場や職場の人間関係など)から物理的に距離をおくしか方法がありません。
ただし、勢いで辞めると退職後の生活に不安を残すので(主に生活費)、ご自身の退職後の生活の安全も確保しながら退職してしまいましょう。
具体的には以下の流れで退職してください。
【辞める流れ】
- 退職前に退職後の生活費確保の方法を理解する(本記事の手順参考)
- 今の職場を辞める
- 一旦、心と体を落ち着ける(転職などはその後の話)
【注意】いきなり転職より、まずは「休み」の方が重要
ちなみに、
- 仕事が限界!→転職エージェントに相談だ!
はホントに止めた方が良いです。
いろんなところでよく見るけど、『仕事で限界来てる人にいきなり別の仕事を進めんな!!』という話なんですよ。どう考えてもおかしいでしょ?
ホントにブラックに当たったことある人なら絶対にそんなこと言わないです。「仕事がきついなら別の仕事」って気軽に進めてくる人の方がブラック過ぎます。汗
限界を感じているなら転職よりもまずは休んだ方が良いです。
気持ちが張りつめまくってボロボロの状態なんだから、一旦何にも干渉されない平穏に戻って心身の回復に努めてください。
ご自身の健康・身の安全がなによりも第一なので。
転職活動は確かに大事ですが、まずは休んで回復が最優先!(経験者です。汗)
そもそも転職活動はパワーがいる活動です。
気持ちを落ち着けてから仕切り直して全力で活動した方が良いので、疲弊した状態でやるものではありません。まずは一旦ご自身の気持ちと生活環境を落ち着かせてください。
安心して休めるためも生活費の確保を最優先とする
しばらく仕事から離れて心落ち着けて休息するために必要なのは「生活費」です。
生活が出来なければ心身を落ち着かせることはできません。多少極論ですが当面の生活費を計算できるようになると一定の生活が保障されたことになるので気持ちも落ち着きます。
お金がすべてとは言いませんが、お金が無いよりあった方が気持ちも落ち着きますので一種の精神安定剤としての役割はあります。そのため、疲れきった気持ちを休めるためにも退職後のお金の心配を事前にクリアにしておくことが重要です。
お金の問題はご自身の貯金以外に選択肢がいくつかあるので以下を参考に必要に応じて申請しておきましょう。
生活費を取得する手段は4つ
1.給付金を申請する
失業中の方の支援を目的とした「給付金(社会保険給付金サポート)」という国の制度があります。
有名な所だと「失業手当」がありますが、失業手当とはまったくの別物です。
失業手当は通常3ヶ月しか受け取ることが出来ませんが、給付金なら最大28ヶ月に渡って給付してもらえる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので申請してしまいましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日が本日から『14日以上、90日未満』
- 年齢が20歳~54歳
- 現時点で次の転職先が決まっていない
一般的には給付金制度はまだ知られていないことが多いので不明な点もあるかもしれませんが、少しでも該当しそうと思えたら「自分が該当するのか?」と一度問合せてみてください。それが一番確実です。
(すでに退職してしまっている人でも対象になります。)
退職後の生活費に対する不安を少しでも無くすためにも退職時は必ず申請しておいてください。
なお、給付金はあくまで給付であり返済の義務はないので給付対象であればかならず申請しておきましょう。
2.失業手当を申請する
雇用保険の加入期間が1年以上(会社都合の場合は6カ月)であれば失業保険の受給が可能です。
失業手当は失業後、勝手に手当が支給されるのではありません。受け取るには申請が必要になります。そのため、最寄りのハローワークに行って手続きをしておきましょう。
3.緊急小口資金を申請する(生活福祉資金の特例貸付)
コロナの影響で生活の維持が困難となった場合に少額の費用を借りることが出来ます。
例えばコロナによる給与減や解雇などもその対象に入ります。
少額とは言えども最大20万を無利子・保証人不要で借り入れできるので選択肢に入れるべきでしょう。
4.生活保護を検討する
申請したい場合、お住まいの自治体の福祉事務所に行き「申請に来た」と伝えましょう。
福祉事務所の窓口で「生活保護申請書」を提出し、相談員もしくは担当のケースワーカーからの聞き取りを経て対象となれば保護費が支給されます。(調査・決定は申請日から14日以内となります。)
生活保護に対して抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが生活保護の申請は国民の権利ですので、どうしてもの場合はためらわずに申請した方が良いです。
【補足】
退職後「今後どうしよう」ではなく「次はこうしよう」とある程度次の行動の目途がついているだけで気持ちは落ち着きます。
実際にやるかどうか?はご自身のご状況と判断にお任せしますが「知っている」という事実が精神安定に対して大きいのです。
本気で仕事を辞めたい時に取るべき手段は4つ
退職後の生活費への計算がある程度見えてきたら実際に退職処理を進めていきましょう。
シンドイ職場からは早々に離れた方が良いです。
辞め方は4パターンあります。
1.法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条より労働者の退職は権利として認められており、その権利を会社が拒否することは出来ません。
また、最短で退職の2週間前から解約の申入れ(退職の申し入れ)しておけば退職は成立します。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが、就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
法に則って退職届を提出して辞めてしまいましょう。
【注意】バックレは止めた方が良い理由
今の職場が嫌だからといってもバックレだけは避けてください。
「バックレは良くないよ」などとモラル的な話をしたいのではなく、バックレによる退職は法的に認められていないので辞めたことに対してご自身に被害が残るリスクがあるため止めた方が良い、という意味合いになります。
民法第627条で定められているように原則として解約の申し入れをしてから最短でも2週間が必要になります。そのため、バックレで辞めると法律違反になるので最悪の場合は会社側から以下の対応をされるリスクが残ります。
- 訴えられる
- 懲戒解雇
- 損害賠償
- 何かしら理由をつけて職場に戻される
- 退職処理されずにご自身の失業手当や次の会社への転職活動に影響が出る
そのため、辞める時は法に則って確実に・安全に辞めてください。
バックレトラブルについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
2.違法性(ハラスメント)を逆手にとって辞める
ハラスメントを受けていた場合、明確な違法行為に該当します。違法行為に対しては即時退職が成立します。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
労働契約法5条に基づき、使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となるので法律違反となります。ハラスメントは労働者の身体の安全に影響がある行為ですので労働契約法5条違反として判断できます。
身の安全が確保されていなければ出勤することはできない、と伝えて退職してください。
なお、退職の原則は民法第627条に基づき退職の申し出をしてから最短で2週間となるので「パワハラでも即日は難しいのでは?」と懸念される方もいらっしゃるかもしれませんが、ハラスメント等会社側に「非」があるときは即日退職が認められます。
ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反となり法律違反となります。
よって、会社側の違法行為になるため明確な「非」に該当するためパワハラでの即日退職は成立します。泣き寝入りする必要はありません。
ハラスメントという違法行為に対して即座に辞める方法についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.違法性(契約内容の相違)を逆手にとって辞める
入社時、事前に聞いていた業務条件と実際の業務内容に相違がある場合は労働基準法第15条違反となります。
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
e-gov法令検索(労働基準法)
明示した内容と実際の労働条件が異なる場合は即時の契約の解除、つまり即日退職が成立します。
契約内容違反による退職についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
4.退職代行に相談する
- 自分で退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしても辞めたい
という場合は労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)で申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
退職代行の具体的なメリットとしては、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的な問題やトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
などがあります。
そのため、もしあなたが
- 辞めたいけど言い出しにくい
- 職場の人と顔を合わせずに辞めたい
- トラブル無くすぐにでも辞めたい
等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
自分が限界かどうか?を見極める症状
自分の限界を理解できていない人は多いです。
そのため、ご自身が限界に達しているかどうかの目安として以下症状が現れているかどうか?をご確認ください。
症状が出てたら休職か退職検討しないとホントにまずいです。身の安全あってこその人生なので我慢しないでください。
【身体的な症状】
- 不眠不休
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- 耳鳴り
- 倦怠感
- くしゃみ
- しびれ
- 食欲不振
- 過食
- 胃もたれや胸やけ
- 胃の痛み
- 吐き気
【精神的な症状】
- 抑うつ
- 不安
- 落ち込み
- イライラ
- 怒りっぽくなる
- 無気力になる
- 集中力や記憶力の低下
- 考えがまとまらず無限ループする
症状ではないですが、職場の人間とコミュニケーションロスが続くのも限界を助長する要因となります。
その場合も休職か退職を検討してください。
限界を越えた時に発症しやすい症状
- 不眠症
- 引きこもり
- 自律神経失調症
- うつ病
- 急性胃腸炎
- パニック障害
- 蕁麻疹
- 突発性難聴
- 頭痛・脳卒中
- 肥満症
- 摂食障害
- 過敏性腸症候群
- 高血圧・心臓病
- 気管支喘息
- 胃・十二指腸潰瘍
など、こうした症状はストレスが原因で発症することが多いと言われています。
ストレスが限界を越えると免疫力が低下し、ホルモンバラスも乱れるので病気を引き起こす原因になります。
限界になる理由のメインは人間関係を中心とした職場環境
- 職場の人間関係
- ハラスメントの被害を受けている
- 上司の理不尽
- 残業多い・休みが少ない
- 給与が少なすぎる
など、職場の人間関係が精神的なストレス・限界に繋がります。
国の調査でも「人間関係」は挙がる
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が一定の割合を示しています。
そのため、職場での人間関係トラブルは精神的苦痛だけでなく退職にまで繋がるほどの影響を持ちます。
限界になったら対策は「その場から離れる」しか無い
自分の精神的負荷になっている問題は「気持ちを前向きに~」などの精神論では対処が無理です。
精神的負荷になっている場所から物理的に離れるしかありません。
【補足】精神的な限界を感じるのは甘えじゃない理由
精神的な限界を感じるのは異常なことでも甘えでもありません。精神的な限界を感じさせている職場環境が異常なだけです。
仕事である以上、一定の負荷やストレスを感じるのは致し方が無い面もあります。ですが、過度に精神的な負荷がかかり過ぎるのは明らかに間違っています。
心身に危険を感じるストレスが発生しないよう、職場にはマネージャーなど管理者がいます。にも関わらず、その役割が機能していないということは会社側の職場環境が異常であり会社として機能していないということです。
あなたが責任を感じる必要はありません。
ちなみに、辞めようとしたときに「そんなんじゃ他に行っても通用しないよ」などと言われた場合『無視』していいです。通用します。詳しくは以下の記事も良かったらご参考になさってください。
退職後の選択肢を予め理解しておく
冒頭でもお伝えしたように気持ちが限界で苦しい時にすぐ転職活動をするのは適切ではありません。
場合によってはご自身を追い詰めてしまうことにもなり兼ねません。(簡単に転職が決まらない、どうしよう、焦る、、、など)よって、今すぐに転職活動を行う必要はありません。
ですが、いざ転職活動をするときの「選択肢」を知っておくことは大事です。
今後どうすればいい?だとずっと気持ちに不安が残るのもの。ですが、「今後はこんな選択肢があるから気持ちが落ち着いてきたら順々に対応してみよう」などと予めわかっているとそれだけで気持ちの不安は和らぎます。
仕事が無い時の相談先の存在を理解する
総合労働相談コーナー
全国の労働基準監督署に設置され労働問題について電話や面談による相談が可能。
予約不要で利用でき、仕事の悩みを相談したい人が利用できます。
自立相談支援事業所
働きたくても仕事が無いので働けない、再就職に失敗して雇用保険が切れた、家族の介護があるので仕事ができない、など生活で困窮している人向けの包括的な支援を行います。
一人で悩むことなく、お住まいの都道府県や市町村の相談窓口に問い合わせてください。
ハローワーク
代表的な職業あっせん機関ですので既にご利用されている方も多いかと思いますが載せておきました。
転職エージェント
エージェントは最終手段です。なぜなら条件によっては相談対応すらしてくれないエージェントの存在もあるからです。
これはエージェントが悪いのではなく、最終的な求人募集企業側の問題です。(年齢制限、経験や条件の問題)
エージェントはボランティアでは無くエージェント事業を行っています。そのため、事業として利益にならないことは出来ません。
エージェントは企業側から出された求人条件に合わせた人選をするため、紹介が出来ない人に対しては手を差し伸べることが出来ません。つまり、エージェントはどんな人でも平等に得られる選択肢になるとは限らないということです。
ご自身がエージェントの候補になる(20~40代ぐらいまで)ならもちろん利用した方が良いですが、それを過ぎてくると必ずしも選択肢になるわけでは無いのことは予め理解しておきましょう。
自分で仕事をはじめる場合
昨今ではフリーランスという職務形態も一般化しつつあるのでご自身で仕事をはじめるのもアリです。
会社員時代の繋がりで仕事がもらえる人はそのツテを利用して。それが難しい方はクラウドワークスなどのクラウドサービスに登録して募集されている仕事で自分の経験が生きるものがあれば手を挙げていきましょう。
仕事が丁寧な方は継続的に仕事を振ってもらえるので徐々に仕事として安定してきますよ。
繰り返しますがいきなり仕事や転職活動を推奨しているわけではありません。気持ちがすり減っている時はかならず一旦休んでください。自分を大切にしてあげてください。
辞めたいと思いながら働く意味はありません
繰り返しになりますが「精神的にもう限界!」となったらご自身の身の安全のためにも辞めた方が良いです。我慢しても良いことは何一つないので。
会社は今いるところだけじゃありません、探せば意外とたくさんあるものです。
今の職場で心身共にボロボロにされるぐらいならさっさと辞めて次に切り替えた方がご自身の人生が実りあるものになりますよ。
仕事を辞めるということに対してどうしても気が引けてしまう方は以下の記事もご参考になさってください。