異動によるストレスで体調不良になった際の振舞い方や考え方・注意点について解説します。
異動によるストレスで体調不良になったら休む
休むことを第一に考える
異動によるストレスが影響して体調不良になったら我慢することなく休むことを優先してください。無理して我慢し続けるとストレスによって、ストレス性障害(適応障害)と診断されることもあります。
適応障害はストレスによって気分の落ち込みや意欲低下、もしくは不眠や身体症状などの体調不良が現れる状態ですが、適応障害になると仕事に影響が出るだけでなく、ご自身のプライベートにも影響が出てしまう危険があります。
そのため、ストレスが理由で体調不良を感じハメてたらご自身の身の安全を守ることを第一に考えてください。
心療内科で診断書を用意してもらう
ストレスによる体調不良は周囲に認められにくいため、心療内科で診断書を用意してもらいご自身の症状や状況を証明して周囲に理解してもらいましょう。
なお、診断書は心療内科で用意してもらえますが自分から要請する必要がありますので、心療内科で診てもらう際は先生に診断書を書いてもらうよう直接伝えてください。
異動でストレスを感じる人は多い
異動後、店長と合わなくて、ストレス性胃腸炎になったのですが、辞めるべきですかね?異動してまだ2ヶ月です、、
異動後、店長と合わなくて、ストレス性胃腸炎になったのですが、… – Yahoo!知恵袋
異動して、ストレスが絶えません。
金融業につく20代です初めての異動がありました
異動して、ストレスが絶えません。 – 金融業につく20代です初めての異動があり… – Yahoo!知恵袋
なかなか人にも、環境にも慣れません
不安に思うせいか、ミスを連発させてしまいます
周りの同僚ができる人なので、[迷惑をかけないように][あの先輩のように、てきぱき早く処理しなきゃ]と焦ります
セールスも、あまり得意ではありません
なんでここにいるんだろう、私はお荷物だと思ってしまいます
相談できる同僚もいません
私は変にプライドがあることも自分で分かってるし、いけない所だと思ってます
どうしたらいいかわかりません
人事異動でストレスを感じるデータ
PRTIMESにある株式会社エイトレッドによる「組織変更・人事異動に伴うバックオフィスの苦労調査」によると、組織改変や人事異動に伴う対応にストレスを感じた人が81.9%もいることが分かりました。
以上のことから、人事異動で部署や職場を異動した際に労働者は強いストレスを感じやすいことが分かります。
異動が多いと疲れるもの
異動に伴い疲れを感じる人は少なくありません。
上記の同アンケートでも異動に伴うストレスを感じた要因として「業務量が膨大だったから」が75.6%も上がっており、業務に対する疲労が大きく影響していることが分かります。
異動のストレスで退職する人も
異動の内示・面談を受け、引き継ぎが始まっています。
ですが積もるものも色々あって、退職したい気持ちが
異動の内示・面談を受け、引き継ぎが始まっています。ですが積もるものも… – Yahoo!知恵袋
抑えられなくなってきました。
異動先で頑張ろうという気持ちがイマイチ起きません。
この段階で退職を切り出すのはおかしいでしょうか?
異動の辞令が出て新しい職場に勤務しだして2週間になります
まだ2週間ですが…精神的にも肉体的にもとてもしんどいです
特に精神的な部分でかなり追い詰められています
前の職場では自分らしく仕事をすることができました
でも今は自分らしさを発揮できずストレスが溜まるばかりで体調も悪いです
上司に異動希望を申し出ることが可能であればそうしたいです
それとも退職するしかないのでしょうか?
異動の辞令が出て新しい職場に勤務しだして2週間になりますまだ2週間ですが…精神… – Yahoo!知恵袋
異動により退職を検討する人は少なくありません。それぐらい異動とは強いストレスを伴いやすいものであるとも言えます。
そのため、異動時には異動に対するストレスに対してご自身でどの様に折り合いをつけていくのか?ご自身に対してどのように休みを与えていくのか?を忘れずに検討した方が良いでしょう。
異動後のストレスとはどう付き合うか?【対策】
1.人事異動で腐る自分も許容する
異動になることで中には「今の自分が評価されていない、不当な評価だ」「自分の人生計画が狂った」などと考え気持ちが腐ってしまうこともあるかと思います。
もし、腐る自分がいたら一旦はそれを受け入れた方が良いです。
精神論はほどほどに
「いや、腐っている場合じゃない!前向きに、、、」と考えるのもある意味正しいのですが、人間すぐに気持ちを切り替えるのは難しいです。
腐ってしまうほど気落ちしている状態で急に前向きに考えられ無いのが普通だと思いますし、むしろ急に前向きになろうとすると自分の正直な気持ちと折り合いがつかずに精神的に疲れてしまうだけです。
「前向きに切り替えて頑張ろう!」「○○を考えてポジティブに取り組もう」など、精神論は多々ありますが精神論で無理くり気持ちを前に向けようとしてもそう簡単には出来ません
気持ちを切り替えるのは腐りきってからでも遅くない
延々と腐ってしまうのは良くないですが、一時的に腐る・落ち込むぐらいは自分に対して許してあげてください。前向きになるのは腐って愚痴を吐き出しきってからでも遅くはありません。
2.新しい環境を受け入れる
異動(配置転換)は企業の人事権に基づき、業務命令として行うことができますので、原則として労働者側は命令に従わざるを得ません。
そのため、無理に反発しても状況は変わらないので、どこかのタイミングで異動に対して自分の中に折り合いをつけて対応しましょう。
その会社で勤務を続けていくことが前提にあるなら、命令である以上は拒否するのは難しいです。そのため、これまでの培ってきた経験や妙なプライドは捨て、新しい職場環境を受け入れて活動しましょう。
3.体調不良を理由に異動願いを出す
異動したことで体調不良になり、そのまま症状が続く場合は我慢することなく異動願いを出しましょう。
我慢し続けるとうつや適応障害などになる恐れがあります。うつや適応障害になると仕事だけでなくプライベートにも影響しますが、会社はそこまでの責任は持ってくれません。
ご自身の身の安全のためにも「どうしても」という場合は異動願いを出して配置転換してもらいましょう。
【補足】条件によっては異動を拒否することも不可能ではない
原則として異動の拒否は出来ません。仮に労働者側が正当な理由なく異動を拒否してしまうと業務命令違反として懲戒処分になることもあります。ただし、例外条件に該当する場合に限り異動拒否が出来る可能性があるケースがあります。
雇用契約書で職種や勤務地を限定している場合
雇用契約書の内容に職種や勤務地を限定して契約している場合、異動を命じたとしても契約の範囲外となります。そのため、異動に際しては労働者側との合意が必要になります。
労働者側であるあなたが合意しない限値は異動を拒否することは可能です。
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条では労働条件の明示について定められていますが、明示された条件と相違がある場合は即時退職も可能です。また、入社のために住居を変更した場合で契約解除の日から14日以内に帰郷する時に限り、必要な旅費を会社に請求することもできます。
権利の濫用が認められる場合
異動の目的が不当であり、合理性が無い場合、もしくは労働者に対して不当に不利益を生じさせるような場合は会社側の権利の濫用であるとして人事異動が無効になる場合があります。
5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
労働契約法
この場合は労働契約法第3条5項が該当します。
会社側の配慮が欠かれている場合
いまの職場でなければ勤務が出来ないやむを得ない事情を抱えている労働者(※)に対して転居を伴う異動を命じた場合、労働契約法第3条3項より異動拒否ができる可能性があります。
(※)いまの住まい近辺でしか治療が受けられない病気を抱えている、いまの住まいに介護すべき家族がおり、自分以外に介護できるものがいない、など。
3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
労働契約法
この場合は労働契約法第3条3項が該当します。
なお、あくまで拒否できる可能性があるだけであり確実ではありません。配慮を欠いたことに対して労働者側にどれだけの不利益があるのか?拒否する正当性が客観的に認められるのか?によります。
【参考】体調不良を理由に異動拒否するのか?
体調不良により異動を拒否することを検討される方もいらっしゃるかと思いますが、拒否できるかどうかは?その理由に合理性があるかどうか?によります。
体調不良への対策が異動によって叶わなくなる場合は合理性が認められる可能性がはありますが、「休めば回復するので回復後に異動」もしくは「異動先でも治療は可能」となると合理性が認められにくい可能性が出てきます。
異動に伴い賃金が理由なく下がる
異動は労働者側の賃金を維持したまま行うのが原則です。
異動により職種が変わったとしても、賃金制度上の根拠が無い限りは一方的に賃金を引き下げることはできませんので、異動に伴い理由なく賃金が下がる場合は異動拒否が成立する可能性があります。
(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
労働契約法
この場合は労働契約法第9条、10条が該当します。
賃金を下げることへの合理性が無ければ不当に賃金を下げることはできない、ということです。
どうしてもの際は転職や退職も視野に入れる
- 異動はしたくない
でも
- 拒否できる正当な理由がないので拒否ができない
- 強引に拒否して懲戒処分にはなりたくない
という場合、いまの職場ではそれ以上の対応が難しいので転職か退職という選択肢になります。
【注意】バックレによる無断欠勤は違法なので控える
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の条件が定められており、最短でも退職を申し込んでから2週間が必要となります。そのため、一部の条件を除き原則として即日退職は認められていません。つまり、バックレや無断欠勤による突然の退職は法律で求められていないということになります。
バックレによる無断欠勤を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。
以上のことから、法に基づかないバックレによる無断欠勤行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
転職エージェントに相談だけはしておく
退職後にスムーズに転職活動ができるよう事前に転職エージェントへ登録だけはしておきましょう。
新入社員の方が転職するなら「第二新卒(新卒入社で2~3年)」として見られるため、第二新卒に特化したキャリアスタートに登録しておくとご自身に合った転職先を探しやすいです。
【第二新卒に強い転職エージェント】
退職届を提出して法に基づき辞める
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありませんので、異動に対して納得がいかない場合は退職を申し出て環境を変えましょう。
なお、退職時は解約の申入れが必要になります。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、証拠として残した方が確実。そのため、退職届という形にして退職する旨を会社側に伝えましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
- 辞めると伝えても認めてくれない
- 退職届を受け取ってもらえない
という場合があれば
- 退職届を内容証明郵便で会社に送る
- メールで退職を伝えて履歴を保存しておく
- 録音しながら電話で伝える
などで伝えてください。証拠が残った上で退職の意思を伝えたことが証明出来ます。
退職届を受け取ってもらえないトラブルについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
有給を消化して辞める
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。よって、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。
民法第627条で退職までに最短でも2週間が必要とされていますが、その期間は必ず勤務していなくてはいけないとは決められていません。そのため、有給が残っている際は退職の意思を伝えてからその後の2週間は有給で過ごすして退職してしまいましょう。実質的には即日退職と退職状況を作り出すことが出来ます。
なお、有給の権利がないけど実質的な即日退職の状況をどうしても作りたい場合は欠勤扱いにしてもらい代用しましょう。
退職時に有給が使えないトラブルへの対処法について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
どうしても際は退職代行に相談する
- 自分から退職を切り出すのは難しい
- でも、どうしても異動は嫌だから辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- 切り出したとしても辞めさせてもらえない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
異動は原則として労働者側が拒否できないため、ご自身の希望にそぐわない異動になるとストレスやそれに伴う体調不良が出てきやすいものです。
大事なことはストレスを我慢し続けないことです。
本当に難しい時は会社に事情を説明して休みを用意してもらい、ご自身の身の安全を第一に考えてください。