ストレスによる体調不良で退職を伝える際の例文や伝え方、及びいざという時に確実に辞める方法について詳しく解説します。
ストレスによる体調不良で退職する際に伝える例文
メールで伝える際の例文
【表題】
体調不良による退職のご相談【(自分の苗字)】
【本文】
○○課長(上司の名前)
お疲れ様です。○○(自分の苗字)です。
長らく休暇をいただきご迷惑おかけしてます。
突然の申し出になるのですが、○月をもって退職を考えております。
体調不良により欠勤が続いておりますが、職場復帰の見通しが立たないため、これ以上ご迷惑をお掛けしないためにも退職を決意しました。
お休みをいただいたままの退職となり恐縮ですが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
これまで至らない私をご指導いただき誠にありがとうございました、大変感謝しております。
なお、本来であれば直接伺ってお伝えすべきですが、体調不良のため出社が難しくメールでのご連絡となり申し訳ございません。
退職届につきましては改めて郵送させていただきます。
こちらは体調不良で会社に行けずメールで伝えることを想定していますが、電話でも基本的に内容は同じです。
電話で伝える際の例文
お疲れ様です。○○です。
長らく休暇をいただきご迷惑おかけしてます。
今後の勤務に関してご相談させていただきたくお電話致しました。
体調不良により欠勤が続いておりますが、職場復帰の見通しが立たないため、これ以上ご迷惑をお掛けしないためにも退職を決意しました。
突然の申し出になるのですが、○月をもって退職を考えております。
お休みをいただいたままの退職となり申し訳ございませんが、何卒ご理解いただけますと幸いです。
本来であれば直接伺ってお伝えすべきですが、体調不良のため出社が難しく電話でのご連絡となり申し訳ございません。
退職届につきましては改めて郵送させていただきます。
電話は朝の始業開始15分前を目途に伝える
退職の相談は仕事とは関係のない話になるので勤務時間中に伝えるのはマナーとしてNG。その為、勤務時間外の時間で伝えるようにしてください。
目安としては朝の始業開始15分前を目途に伝えるのが良いでしょう。
退職の電話をする際の注意点について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
体調不良で退職する際の伝え方のコツ
法的には退職時に退職理由を用意する義務は定められていません。そのため、体調不良に限らずですが、仮に退職理由を用意しないで退職したとしても罰せられることはありません。
ただし、人情として「どうして辞めるのか?」と聞かれることが多いかと思いますので、辞める際は最低限の理由だけ用意しましょう。
ストレスによる体調不良での退職理由は一身上の都合が良い
性格に伝達できるなら「体調不良により勤務が難しくなり~、」と伝えても問題はありません。ですが、ストレスという精神的な問題は相手に理解してもらうことが難しい問題であり、下手に説明すると逆にややこしくなります。
そのため、下手に伝えるよりは「一身上の都合」と伝えた方がスムーズに辞めることができます。
ストレスの本当の理由を書くのは控える
ストレスの本当の原因が上司や周囲の人間関係にある場合、本当のことだとしても余計なことは伝えない方が良いです。あなたへの心証が悪くなり退職しにくくなる、もしくは「問題を解決するので残って欲しい」などと引き止められる原因になることもあります。
スムーズに退職したいのであれば余計なことは伝えない方が良いでしょう。
退職届は郵送する
メールであれ電話であれ伝達した後は退職届を郵送で会社に送りましょう。
退職すると会社はハローワークから本人が辞めた証明として退職届を求められます。また、退職届を確認したら離職票の発行をしてくれる流れになるので、退職した証明として会社には退職届を郵送してください。
退職届の書き方として
退職届
私儀
この度一身上の都合により○○年○○月○○日退職いたします。
○○年○○月○○日
○○部○○課
(自分の氏名)
株式会社○○
代表取締役 ○○殿
退職を伝えた後は退職届も会社に届けるのが一般的。
退職届の内容として「一身上の都合」とだけ記載して会社に郵送してください。
なお、退職届を用意する際は以下も併せてご参考になさってください。
体調不良でそのまま退職する際の注意点
1.体調不良で辞めることは可能(民法第628条)
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
やむを得ない事由の例としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
体調不良によって勤務の継続・職場復帰が難しいとなれば体調不良もやむを得ない理由に該当するので、民法第628条に基づき会社との協議の上で即日退職が成立します。
診断書なしでも問題は無い
双方の合意がなされれば診断書の用意は必ずしも必要ではありません。
診断書は会社に相談した際に求められた場合にのみ用意を検討すれば良いでしょう。
診断書を用意しないと会社側を説得できない時は以下の記事もご参考になさってください。
2.体調不良でそのまま退職を検討する人は知恵袋やSNSでも多い
体調不良が続いており仕事を退職しようと思っています。
通院はしていないのですが、仕事のストレスが原因です。退職願を出したときに診断書の提出を求められたりしますか?
Yahoo!知恵袋
体調不良で退職って出来ますか?
ストレスで胃痛と食欲不振になり、病院に行ったら薬を処方されて、暫く様子見るように言われました。薬で胃痛は一時的に収まるけど、食欲不振が治らなくてずっと空腹と満腹を感じません。
薬で胃痛が落ち着いてても、ストレスなど感じると直ぐ痛くなってしまいます。この体調不良を理由に退職したいです。
Yahoo!知恵袋
出来れば暫く欠勤してそのままフェードアウトしたいです。
そんなの不可能でしょうか。
退職できるのは1ヶ月後になってしまうでしょうか。
ストレスによる度重なる体調不良が多くなってきて退職を考えています。
今契約社員で3月までの契約ですが、
契約途中でやめることは可能のようです。
できれば早く辞めたいですが貯金がないのでしばらく休むことは不可能で、
今必死で探しています。
やっぱり次が見つかってから言うべきですか?退職理由はそのままストレスによる体調不良と伝えてもいいものか
Yahoo!知恵袋
医師の診断書などがいるのか教えてください。
3.バックレだけは避けた方が良い理由
バックレによる退職は認められていません。そのため、どうしても耐えられない職場だったとしてもバックレによる退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので今後の転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかなバックレ行為だけは控えた方が良いです。
辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
4.電話やメールで伝えても問題は無い
通例としては直接会って退職を伝えるのがマナーと言えますが、体調不良でどうしても職場に出社できないのであれば電話やメールで退職を伝えても問題はありません。
5.引き継ぎは必須ではない
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、どうしても対応したくないぐらいに関係性が壊れている職場であれば、引継ぎ未対応でも退職は成立します。
退職時の引き継ぎについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
引き継ぎを行う場合
引き継ぎを行う場合、会社と決めた退職日までの中で有給消化などの期間を調整し、退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
6.体調不良でそのまま退職して残った荷物は郵送の依頼をする
体調不良で会社に戻れず、残したままの荷物がある場合は会社に連絡して郵送してもらいましょう。なお、この際はマナーとして着払いで送ってもらうようにしてください。
7.備品を返却する
スマホ、PC、制服、社章など会社から借りているものは必ず返却しましょう。
まとめて直接返却しても良いですし、それが難しければまとめたものを郵送で会社に送っても問題ありません。
【補足】辞める前に給付金を申請しておく
失業手当とは別に失業中の方の支援を目的とした「給付金(社会保険給付金サポート)」という国の制度があるので申請しておきましょう。
失業手当は通常3ヶ月しか受け取ることが出来ませんが、給付金なら最大28ヶ月に渡って給付してもらえる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので申請してしまいましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日が本日から『14日以上、90日未満』
- 年齢が20歳~54歳
- 現時点で次の転職先が決まっていない
一般的には給付金制度はまだ知られていないことが多いので不明な点もあるかもしれませんが、少しでも該当しそうと思えたら「自分が該当するのか?」と一度問合せてみてください。それが一番確実です。(すでに退職してしまっている人でも対象になります。)
退職後の生活費に対する不安を少しでも無くすためにも退職時は必ず申請しておくことをおすすめします。
どうしても退職を伝えるのが難しい時の対処法
A.民法第627条より2週間で辞める手続きをとる
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている(辞める半年前に申告する)、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。(=退職届を提出する)
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
- 双方の合意が認めてもらえない
- 少しでも早くに辞めたい
というご状況であれば、法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して民法第627条を元に2週間で辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
B.体調不良の原因がハラスメント被害の場合
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
C.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
ストレスによる体調不良は本人的には大きな問題である一方、相手側からすると理解が難しい面があります。
その為、説明が難しいと感じたら「体調不良で職場復帰の見通しが立たない」もしくは「一身上の都合」というシンプルな理由だけ伝えるのがスムーズです。
体調不良になってしまう職場であれば合わないことは明白。仮に復帰しても再発するリスクも否定できません。
仕事も大事ですがまずはご自身の回復を第一に考え、そのために必要な手段として退職という選択肢を活用してください。