「退職理由はどのように用意すれば良いのか?」
精神的に疲れた・精神的に限界でキツいため、などの理由で辞める際の退職理由の用意の仕方や伝え方・注意点について解説します。
退職理由が精神的に疲れたや精神的に限界での伝え方
退職は直属の上司に伝えることになりますが、職場の上司からすると部下の退職は上司の評価を下げる要因になりますので退職の報告自体が心証が良くありません。加えて、精神的な悩みは理解されにくい面もあります。
そのため、なるべく穏便且つ円滑に退職を成立させるなら相手に悪い印象を与えず、理解してもらいやすい退職理由を用意する必要があります。
精神的に限界を伝える例文・書き方
以下、退職理由の例文になりますが、精神的な問題で辞める際の退職理由としては「一身上の都合」として伝えるのが一番無難です。
【例文】
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、一身上の都合により退職したいと考えております。
大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただけないでしょうか。後任への引継ぎはしっかりやりきります。
よろしくお願いいたします。
退職届も渡す
退職を伝える際は併せて退職届も直接手渡してください。退職届があることでご自身が退職したことの証明となり、且つ退職後の離職票発行にも退職届が必要になります。
なお、退職届を用意する際は以下も併せてご参考になさってください。
書きあげた退職届はB5もしくはA4サイズの封筒に入れて直接手渡します。
なお、封筒は白の二重封筒、郵便番号枠が印刷されていない無地のものを使ってください。
表には「退職届」裏には「所属部署と氏名」を記述。記述する際は黒のボールペンまたは万年筆を使いましょう。
精神的に疲れた等とそのまま伝えない方が良い理由
身体的に目に見える怪我や病気とは違い、精神的なトラブルは理解されにくいです。
そのため、「精神的に疲れた」「しんどい」「精神的に限界なので」などと伝えてしまうと『少し休め』『甘えるな』などと返答されて退職を認めてもらいにくくなることがあります。
ストレスや体調不良が退職理由の際の伝え方
そもそも法的には退職理由を用意する必要性は義務化されていません。極論ですが、退職理由を伝えなくとも退職はできますし、退職理由が嘘であっても問題はありません。
退職理由の用意に法的な強制力が無い以上、どうしても退職理由を伝える必要が迫られた際は円滑に辞められる理由を用意することを最優先に退職理由を考えてください。
そのため、「精神的に疲れた」などとは伝えず「一身上の都合」や「体調不良」など別の言い回しを用意して伝えましょう。
【補足】最強の退職理由は会社の対応範疇を越えた内容にする
精神的な理由以外で退職理由を伝えたい時は、会社が対応できる範囲を超えた内容を退職理由として用意してください。
【例】
- 家業を継ぐことになった
- 子供や親の介護の問題が発生した
- 結婚に伴い家の活動に専念することになった
- 引っ越しに伴い物理的に今の勤務が難しくなった
- 新しくやりたいことが出来たがそれは今の会社ではできない
など。
会社側ではどうしても対応が出来ない問題であれば引き留めようがないため会社は認めざるを得ません。つまり、最強の退職理由となります。
「精神的な理由を伝えても簡単に納得してもらえなさそう」などと事前に予測が立てられる場合・どうしてもの場合は今の会社では対処のしようがない理由を予め用意しておきましょう。
上述した「精神的に疲れた等とそのまま伝えない方が良い理由」でもお伝えしましたように、退職理由は嘘であっても法的には問題ありません。そのため、退職理由を用意する必要があるならご自身がスムーズに辞められることを第一に考えて退職理由を用意してください。
引き止められにくい強烈な退職理由ネタを用意したい時は、例をまとめた以下の記事も併せてご参考になさってください。ご自身の状況に合う内容があればそのまま使っていただいても大丈夫です。
参考記事:退職理由で最強なおすすめの内容はドクターストップか法的な訴求
精神的苦痛や精神的ストレスは仕事を辞める際の退職理由として成立する
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
労働契約法5条より、職場環境は労働者に対して身の安全を確保する必要があります。
精神的な苦痛はうつ病・適応障害・過度のストレスによる身体異常などに影響するため、精神的な苦痛を受けているということは労働者に対して身の安全を担保できていない職場ということになり、労働契約法5条違反に該当します。
そのため、精神的苦痛やメンタル問題を退職理由にして仕事を辞めることは正当な理由として成立します。
精神的に限界の状態なら我慢し続けない方が良い
精神的な問題を抱えたまま我慢し続けると自律神経系(交感神経・副交感神経)のアンバランスさや、脳の「神経伝達物質(意欲や不安の感じ方に関係する物質)」の乱れや消耗を生み、うつ病や適応障害をはじめ、頭痛・腹痛・めまい・やる気が起きなくなる・睡眠不足・吐き気・倦怠感・アルコール依存・摂食障害(食べすぎ・食欲不振)など心身を壊してしまう恐れがあります。
その結果、仕事を続けられなくなり、周囲にも迷惑をかけてしまう危険があるので精神的に限界の状態で我慢し続けない方が良いです。
ストレスという症状を甘く見てはいけません。
原因が仕事にある場合、ご自身の身を守るためにも精神的な限界を迎える前に我慢せずに休むか、心身の不調の原因となっている場所から物理的に離れる(休職・退職・異動など)ように対処していきましょう。
【参考資料】
ストレスによる退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【補足】診断書を用意する手順
精神的なトラブルが認められない、自分では正しく伝えて会社側に理解してもらうのが難しい、という際は心療内科で診断書を用意してもらいましょう。
医師による診断書を用意することで症状の正当性を証明できますので退職を伝える際の有効な手段となります。
a.自分から伝える
診断書はご自身で要請しないと用意してもらえません。そのため、診断時に「診断書の用意もお願いします」と伝えてください。
b.労災認定にも有効
パワハラをはじめ、職場の人間関係のストレスが心身に影響を与えている時は労災認定されることもあります。
労災認定には医師からの証明書が必要になるので診断書の取得の仕方は覚えておいて損はありません。
なお、仕事を辞める条件は正社員や派遣などの雇用形態を問わず同じこと。どうしてもすぐにでも辞めたいほどに追い込まれている時は以下の記事もご参考になさってください。
悩み別での退職理由の用意の仕方と伝え方
どうしても退職理由を伝える必要がある際は以下を参考に悩みや症状別の伝え方も併せて押さえておきましょう。
精神的なトラブルにも種類がありますので、症状により伝え方を調整した方が相手に伝わりやすいです。
a.うつ病で辞める際の退職理由
うつはその症状が他の人から理解してもらいにくく、下手に話すと理解されずに逆にこじれてしまうことがあります。
そのため、一身上の都合や体調不良等と伝えるか、うつであることを直接伝える時は事前に心療内科で診てもらい診断書を用意してもらってから退職を伝えてください。
伝え方の例文
【例文】
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、うつ病と診断されてしまいました。
(医師からの診断書を合わせて提示する)
そのため、大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただきたく考えております。
よろしくお願いいたします。
診断書を用意した上で心療内科でうつの診断が出てドクターストップがかかったために働くことが出来ないと上司に伝えます。
なお、伝えた後に一言で良いので自分の気持ちも伝えてください。
- 本当は辞めたくないのですが~、
- 一緒に働く人たちにできるだけ迷惑をかけたくないので~、
などを伝えるだけでも相手の心証が変わります。
退職届の例文・書き方
退職届
令和○○年〇月〇日
株式会社××××
代表取締役社長 □□ □□ 殿
○○事業部
(ご自身の氏名)(捺印)
私儀、
このたび、一身上の都合により、勝手ながら20○○年〇月〇日を持って退職いたします。
以上
退職届には一身上の都合と記載しましょう。
冒頭に退職届を記載、続けて本日の日付、会社の正式名称、社長名(敬称は「殿」か「様」とします。)、ご自身の所属事業部署とご自身の名称、捺印をし、私儀(わたくしぎ)とします。最期に退職理由・退職希望日を記載して「退職いたします」で締めます。
うつで退職する際の伝え方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
b.適応障害で辞める際の退職理由
適応障害は抑うつ的な気分、吐き気、睡眠不足、頭痛、めまいなど心身の安全に影響がでる症状です。
今の職場環境が適応障害の原因となっている以上、労働者に対して身の安全を確保できていない職場となるので労働契約法5条違反となるため退職理由として成立します。
基本的には「一身上の都合」という退職理由が無難な伝え方になりますが、適応障害になる前・適応障害になった後、それぞれで伝え方が異なります。
伝え方の例文
【適応障害になる前の場合】
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、一身上の都合により退職したいと考えております。
大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただけないでしょうか。後任への引継ぎはしっかりやりきります。
よろしくお願いいたします。
適応障害は環境の変化に適応できないことで起こるストレス性の症状となりますが、他の人から理解されにくい面があります。
そのため、下手に詳しく話そうとすると「慣れるまで頑張れ」などと返されてしまい延々と話が進みませんので、何を言われても「一身上の都合」として通した方が話が早いです。
【適応障害になった後の場合】
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、精神的に限界がきてしまい適応障害と診断されてしまいました。
(医師からの診断書も合わせて提示する)
そのため、大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただきたく考えております。
よろしくお願いいたします。
心療内科で診断書が出され、ドクターストップがかかったために働くことが出来ないと伝えます。
診断書があり勤務の継続が難しいと証明されている状態で無理矢理勤務を継続をさせると強制労働扱いとなり労働契約法5条違反となるため、会社側も退職を認めざるを得ません。
退職届の例文・書き方
例文の書き方は「a.うつ病で辞める際の退職理由」と同様に一身上の都合を理由として記載しましょう。
c.不眠症(睡眠障害)で辞める際の退職理由
不眠症が原因で今休職しています。
まだ入社1年目ですが、転職を考えています。
ただ両親は退職するなら勘当すると言い、この不況の中転職する不安もあります。
かなり長文ですが、アドバイスお願いします。配属された部署は早朝勤務や深夜勤務があるシフト制で、その勤務形態に体がついていけずほとんど寝れないまま会社に行く日々でした。夏頃は、市販の睡眠薬を飲んでいました。
不眠症が原因で今休職しています。 まだ入社1年目ですが、転職を… – 教えて!しごとの先生 | Yahoo!しごとカタログ
飲むことで精神的に安心はするのですが、結局寝付けず、そのまま会社に行っていました。
不眠症(睡眠障害)も相手に理解してもらいにくい症状の1つ。
不眠症を放置すると疲れが取れずに体調不良になってしまい、結果として仕事が上手くいかない・周囲に迷惑が掛かってしまう、などの二次障害を起こす危険があります。
そのため、どうしても勤務の継続が難しい時は退職を視野に入れる必要があります。
伝え方の例文
睡眠障害は心療内科で診てもらい診断書を用意してもらいましょう。そして、用意できた診断書を持って上司に退職の意思を伝えます。
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、精神的に限界がきてしまい睡眠障害と診断されてしまいました。
(医師からの診断書も合わせて提示する)
体調も思わしくなく、仕事にも影響が出ているため、このまま勤務しても皆さんにご迷惑をお掛けしてしまうことになります。
大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただきたく考えております。
よろしくお願いいたします。
退職届の例文・書き方
例文の書き方は「うつ病で辞める際の退職理由」と同様に一身上の都合を理由として記載しましょう。
d.不安障害で辞める際の退職理由
適応障害と似た症状として「不安障害」があります。
不安障害は、恐怖感や身体的不快感が強まり、さまざまな支障が生じる状態を意味する診断名です。時には切迫した恐怖感や「このまま死んでしまうかもしれない」という差し迫った生命への脅威を感じる場合もあり、必ずしも明確な引き金がない場合も含まれます。
社会不安障害、さまざまな恐怖症) | 綱島こころクリニック
不安障害も適応障害と同様に悩みの深刻さを理解されにくいため、下手に理由を用意するよりも「一身上の都合」として伝えた方がスムーズに退職処理がしやすいです。
伝え方の例文
【例文】
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、一身上の都合により退職したいと考えております。
大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。
退職届の例文・書き方
例文の書き方は「a.うつ病で辞める際の退職理由」と同様に一身上の都合を理由として記載しましょう。
e.ドクターストップで辞める際の退職理由
精神的な理由・身体的な理由問わず、ドクターストップがかかった際は素直にその旨を退職理由としてください。
伝え方の例文
理由の如何を問わずドクターストップがかかったことを診断書などで証明しながら上司に伝えてください。
お忙しいところ、お時間いただきありがとうございます。
突然のことで大変申し訳ありませんが、医師からドクターストップと診断されてしまいました。
(医師からの診断書も合わせて提示する)
体調が思わしくなく、仕事にも影響が出ているため、このまま勤務しても皆さんにご迷惑をお掛けしてしまうことになります。
大変身勝手ではありますが、〇月×日をもって退職させていただきたく考えております。
よろしくお願いいたします。
退職届の例文・書き方
例文の書き方は「a.うつ病で辞める際の退職理由」と同様に一身上の都合を理由として記載しましょう。
上司が原因で精神的に限界を迎えた際の退職理由には注意
上司と性格が合わなすぎて、適応障害と診断されました。辞めるか、上司が変わるか自分が変わるかしないと治らないと言われたのですが、すごく調子がいい時もあり、一緒に仕事をしている間も大丈
上司と性格が合わなすぎて、適応障害と診断されました。辞めるか、… ? Yahoo!知恵袋
夫だと思う時もあります。でも、終わって家に着くと泣きたくなったり、仕事に行きたくなくなったり、もう辞めたいと思ったりします。
職場で普段から接することが多い直属の上司が原因で退職する人は少なくありません。
上司が原因で退職する場合は以下の注意点を押さえて退職を伝えてください。
1.上司の機嫌を損ねない伝え方を
「退職理由が精神的に疲れたや精神的に限界での伝え方」でもお伝えしたように、職場の上司からすると部下の退職は上司の評価を下げる要因になりますので退職を伝えること自体が心証が良くありません。
そんな状況で上司への不満を直接伝えてしまうとお互いが感情的になってトラブルの原因となり、場合によっては退職処理が進みにくくなることもあります。
そのため、伝える際は上司に非があると感じさせない伝え方にしましょう。
2.個人的な理由を前面に
退職理由を個人的な理由(「新しいチャレンジをしたい!」「家族の問題」など)にして伝えれば上司側も「仕方がない」となりやすく、且つ上司側にも非がありません。また、個人的な理由であれば会社側での対応が難しいので引き止めも難しくなります。
なお、「精神的に疲れた等とそのまま伝えない方が良い理由」でもお伝えしたように退職理由は嘘であっても問題はありませんので、個人的な理由が無い場合は嘘あっても構いません。トラブルなく円滑に辞めるための理由づくりに徹してください。
3.退職を伝えるタイミングは月曜日の勤務時間外
退職を伝えるタイミングは月曜日がおすすめ。
週末(金曜)だとリアクションが週明けになるのですぐに動き出せませんが、月曜日であれば早ければ当日か翌日の夕方ぐらいには会社側から何らかの動きが出てきますので退職の進行がスムーズです。
また、退職の伝達は業務内容とはみなされませんので業務時間外に伝えるのがマナーとなります。
どうしても我慢できずに上司とトラブルを起こしてしまう場合は以下の記事もご参考になさってください。
上司が社長になる場合は伝え方に注意。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.直接退職を伝えたくない時の選択肢も用意しておく
- 退職を上司に言いたくない
- 何かしらの事情があって言えない
などの場合、メールや郵送で退職の旨を伝える、もしくは後述する退職代行に相談して代わりに退職処理を進めてもらう、のいずれかとなります。
上司との関係性が悪い・体調不良で直接会うことが出来ない・上司の出張が多いので直接伝えることが難しい、など事情がある際は直接会わずとも退職を伝えられる手段も用意しておきましょう。
詳しくは後述する「仕事が精神的に限界だけど退職を切り出せない方へ」をご参考になさってください。
仕事が精神的に限界で退職したがっている人は多い【事例】
仕事のストレスで、精神的に限界にきてるので退職したいのですが、人手不足なので揉めそうです。どうしたら円満な退職ができますか?
Yahoo!知恵袋
新入社員です。
Yahoo!知恵袋
朝に電話で精神的に限界で親と相談し退職したいと上司に言いました。
社会常識で直接お会いして言うべきこととは承知しています。 退職理由は精神的に限界で食事もろくに出来ない状態が続いているので退職したいと伝えました。向こうは人間関係と解釈し退職は仕方ないと理解してくださいました。
ここから本題なのですが、具合が良くなったら会社に来て話し合いたいと言ってきました。自分もそれに賛同してしまいました。
直属の上司が原因で退職する人も多い
【大事】精神的にしんどいなら仕事は辞めるべき
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」などの理由が一定の割合を示しています。
つまり、人間関係や労働環境が合わなければ精神的に強いストレスがかかるので、その影響で辞めたくなるのは自然なこと、ということです。
職場環境や人間関係が影響して気持ちが持たなくなりそうなときは以下の記事もご参考になさってください。
自分の身の安全を第一に考えた方が良い
いまの職場に居続けるのが難しいという状態にも拘わらず我慢して働き続ける状況は強いストレスがかかります。
強いストレスが続くとうつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあり、仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートにも影響します。
会社は責任をとってくれない
うつや適応障害などの病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく、今後の就職活動や社会復帰にも影響します。ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、うつや適応障害になる可能性があるなら我慢していまの職場に留まることなく、退職を最優先に動いてください。
社会的なダメージを負うリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。一番大事なことはご自身の身の安全です。
うつになる前に退職したことが良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【補足】精神疾患で辞める際に申請しておくべき制度
退職後の生活や生活費を懸念して辞めにくさを感じている時は、以下の支援制度があることを押さえておきましょう。
退職後の支援制度を利用すれば退職していきなり社会に放り出されることは無くなります。
a.自立支援医療
適応障害やうつ病などの精神疾患で退職した場合、治療時の医療費負担を軽減できる自立支援医療制度を利用しましょう。
条件を満たすと医療費の負担を通常の3割から1割に軽減することが出来ます。
b.生活保護と生活福祉資金貸付制度
病気で動くことが出来ない・周囲に援助してくれる身内がいない、という場合は生活保護を申請して治療の回復期間中に役立てください。
また、どうしても生活に困窮した場合は生活保護とは別に生活福祉資金貸付制度もあるので合わせて申請しておきましょう。
仕事が精神的に限界だけど退職を切り出せない方へ
【重要】引き止めに従う必要はない
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。そのため、会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので会社の要請に従う必要はありません。
(強制労働の禁止)
労働基準法 第5条
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
加えて、労働基準法 第5条より使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。つまり、退職を希望しているにもかかわらず認めないことは労働基準法第5条違反に該当します。
以上のことから、会社からの引き止めがあったとしても従う必要はなく、労働者側で退職処理を進めることは可能です。
1.精神的に辛い仕事の辞め方は非対面に徹する
仕事に対して精神的な辛さを感じている場合、仕事に関する環境に近づくこと自体がストレスに無い体調の悪化や退職の伝えにくさに影響します。
そのため、原因となる職場環境から離れた場所から退職処理を進めてください。つまり、上司と話さない、同僚に会わない、職場にいかない、などの状態で退職処理をするということです。
郵送やメール・電話でのやりとりも法的に成立する
退職の伝え方に法的な規制はなく、辞めたことを伝えられれば手段は問いません。
よって、メールや電話でのやり取りで退職の相談をしてから内容証明郵便で退職届を提出すれば非対面での退職は成立します。
なお、退職後は会社から支給されたもの(スマホ、PC、制服など)は郵送で送りましょう。
2.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、今の職場は耐えられないのでどうしても辞めたい
という方は労働組合による退職代行サービスを利用して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホからLINEで申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
などがあります。
他にも、希望者には有給消化や残業の未払いなども変わりに交渉してもらうことも可能です。
そのため、もしあなたが
- 退職を切り出すことができない
- でも、すぐにでも辞めたい
等の場合は迷わず労働組合が運営する退職代行サービスを利用することをおすすめします。
まとめ
精神的な限界を超えてしまうとうつ病や適応障害、またはそれらに影響された体調不良等が発生し、社会生活そのものに悪影響が及んでしまいます。
上司はもちろん、会社はあなたの日常生活を保障してくれませんので、会社で精神的に追い込まれて受けてしまったダメージは労働者にとっては「受け損」なだけです。
そのため、我慢して精神的な限界を越えてしまう前に仕事を辞めたいと感じた時に退職処理を進めましょう。
ご自身で退職処理ができる場合は退職届や診断書を介して退職を伝え、それが難しい時は労働組合が運営する退職代行という第三者機関を利用して退職処理を進めてみてください。