退職理由で結婚と嘘をついて辞める際の注意点、および嘘をつくよりも確実・安全に退職する方法をそれぞれ解説しています。
退職理由で結婚(もしくは結婚予定)と嘘をつく「結婚退職」はベタだけど効果的
結婚退職と嘘をついて辞めたとしても、その嘘がバレることはほぼありません。
昨今、結婚式に上司を呼ばないことも珍しくありません。そのため、結婚式に上司を呼ばなければ結婚したかどうか?の確認が取れないためバレないのです。(こうした事情があることから仮に結婚式に上司を呼ばないとなっても失礼にはなりません。)
また、周囲にも結婚の真偽を伝えなければ外部からバレる心配もありません。
「ほぼ」の理由、唯一バレる可能性として
仮に嘘をついたとしても本当かどうか?を本気で調べようとすれば、バレる可能性はあります。個人情報に厳しい昨今の事情からすればそこまで探りを入れてくることは考えにくいのですが、可能性としては0ではありません。
祝い金制度でバレる可能性
唯一、バレる可能性としては会社が結婚の祝い金制度を設けている場合です。
祝い金を受け取る際に結婚の証明(婚姻届受理証明書など)を求められることがありますが、申請をしたものの証明が出来ない場合は嘘がバレる可能性があります。
受け取りを辞退する
祝い金は結婚後にも在籍することを前提としていることが多いので、結婚を機に退職するなら制度自体が機能しないこともあります。また、もし会社から促されても「退職するので申し訳ないですから遠慮させていただきます。お気持ちだけいただきます。」と伝えて受け取りを辞退すればバレることはありません。
その他、結婚による退職の嘘がバレない為の注意点として
嘘をつく際、ある程度は覚悟を決める必要があります。
少なくとも以下は厳守してください。
- 自分から口を滑らせない
- 仲の良い同僚がいたとしても言わない
なお、「式はいつなのか?」としつこい方がいたら「現在、細かな日程は調整中です」等と伝えましょう。それでも更に首を突っ込んでくるなら、「両家の話し合いによって結婚式は身内だけで行うことになりました。」としていただき、プライベートを立てにして突っぱねてしまいましょう。
結婚の嘘がバレると気まずいだけ
仮に嘘がバレたとしても法的な罰則はありません。「気まずい」だけです。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
退職は民法第627条により規定されていますが、退職時に退職理由を用意する義務は設けられていません。仮に嘘をついてバレたとしても、そもそも退職理由の必要性が無いので法的な罰則が下ることが無いのです。
ただし、面倒な上司が相手だと辞めるまでに嫌がらせをしてくる可能性も0とは言えません。そのため、嘘をつくなら最後までバレないよう嘘に徹して隙を見せずに退職しましょう。
結婚で辞める際は「一身上の都合」とする
結婚で辞める時の退職届には「結婚するため~、」ではなく「一身上の都合」と書いてください。
以上を行った上で、周囲に挨拶を済ませて退職日を迎えましょう。
【補足】女性が結婚以外で使える嘘の退職理由
「退職理由で最強なおすすめの内容はドクターストップか法的な訴求」の記事でもお伝えしていますが、会社から引き止められにくく且つ、退職理由として成立しやすい退職理由はいくつか用意できます。
例えば以下の理由であれば会社側としても引き止めにくいと言えます。
A.結婚準備(結婚予定)
上述した結婚と同様「結婚準備(もしくは結婚予定)」も辞めるの理由としては堅実なアイデアの1つ。
嘘に徹する・同僚にも本音は伝えない・万が一の時はプライベートを立てにして突っぱねる、以上を注意して退職日まで迎えれば必要以上のトラブルは起こりにくいです。
B.引っ越し
「引っ越しによって物理的な問題で今の会社に通えない(不可抗力)」という理由であれば、相手も納得しやすいです。
それだけでは不安な場合、「親の面倒を看るので地元に帰る」「婚約者が引っ越すのでサポートするためについていく」などの理由もかけ合わせてください。
なお、会社は退職後に必要書類を郵送するので「退職後の新しい住所を教えてください」と質問してきますので、ボロが出ないように「転居届があるのでこれまでの住所に送ってもらえれば大丈夫」と伝えましょう。
それでも更にしつこく聞いてきたら「引っ越し先のどの物件に住むか?はまだ決まっていないんです」と伝え、その理由を元に再度「転居届があるので~、」に繋げていただければ問題ありません。
C.地元に帰る
- 実家の親が体調不良で倒れ、介護を行うために退職する
- 家業を継ぐことになったので実家に帰るために退職する
「地元に帰る」を理由にすると『地元に帰る理由』を聞かれやすいので、迷った時は上記理由を用意して対応しましょう。
D.他にやりたいことがある
「今の会社ではどうしても出来ないこと」を理由にして退職します。
会社に非が無いので相手にも誤解されることも少ないですし安全な理由の1つ。
なお、『具体的に何がしたいの?』と突っ込まれたときの返答に困らないように「他にやりたいことが具体的に何か?」も事前に用意しておきましょう。
嘘をつく際の注意点
- キャリアアップのため
- 人間関係
- 転職先が決まった
これらを理由にする際は注意。
- 「キャリアアップのため」→「今の会社じゃキャリアアップ出来ないというのか?」
- 「人間関係」→「別の事業部に配属するか?」
- 「転職先が決まった」→「身勝手だな」「なぜ予め相談してくれなかったのか?」
など、相手側に何かしらのマイナスの印象や返答の余地を残してしまう答えは万が一にも遺恨を残す可能性があります。
一方、「結婚・引っ越し・地元に帰る・他にやりたいことがある」は会社には非が無い・いまの会社では実現できないのでどうしようもない、となるので『仕方がないよな』と相手に思ってもらいやすいです。
少しでも円滑に辞めることを考えるなら「相手に側に非を感じさせない理由」を検討して使いましょう。
相手も人間ですので「何かしらの理由」が欲しいんです。「それなら辞めてもらうしかないよな」を用意出来れば無用なトラブルを避け、円滑な退職が実現しやすいです。
以下は嘘であれ本当であれ結婚を理由に退職する際の流れについて解説します。特に嘘をついて辞める方は最後まで嘘を貫き通さないとバレますので徹底してください。
結婚を理由に退職する際の伝え方
「今後についてのご相談があります。実は〇月〇日に入籍する予定です。それに伴い退職を考えています。」などと要件を端的に伝えてください。
なお、引き止めがかかる場合「結婚を機に家庭に専念したい」「専業主婦になって夫を支えたい」「結婚を機に結婚相手の実家に引っ越しする」「相手の仕事の都合で引っ越しをする」などの理由を用意し、引き留めに対する返答としましょう。
結婚を機に辞めざるを得ない・勤務を継続できない意思を伝えるイメージです。
上司から退職の旨を伝えるのがマナー
退職の伝達は直属の上司から伝えるのがマナー。仮に上司以外の方から伝えると万が一にも別の方から上司にバレてしまったときに心証が悪くなり、退職がスムーズに進まなくなる可能性があります。
辞めること前提で伝える、引き留めに屈しない
理由が結婚で有れ「辞めようか悩んでいます」といった伝え方だと、辞めなくても良いと代替案を用意されて引き留められてしまい退職がしにくくなります。
その為、退職の相談をする際は退職を決意していることを前提に伝えてください。
伝えるタイミング
結婚の場合「急に結婚が決まりました」と直近で伝えると不自然なので怪しまれます。そのため、2,3ヶ月前を目途に伝えた方が自然です。
なお、会社の就業規則にも退職を伝える時期・目安が書かれているかと思いますので予め就業規則の内容も確認しておき、その上で直近過ぎる報告にならないように伝えてください。
退職理由が結婚の場合の退職届の書き方
縦書きと横書きで書き方が多少異なります。内容は同じですが順序が異なる、という違いです。
【縦書きの場合】
退職届
私事
このたび一身上の都合により
令和〇年〇月をもって退職させていただきたく、
ここにお願い申し上げます。
令和〇年〇月〇日
○○部 ○○課 (自分の名前)(押印)
株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○ 様
[注意点]
一行目の中央に「退職届」と記述
二行目の下に「私事」として書きはじめる
三行目の頭から本文を書き込む。
退職日は上司と決めた日にち
退職理由は「一身上の都合」
自分の名前の下に押印
宛名には、会社と社長の名前を記載
社長の名前は自分の名前より上に来るよう調整する
【横書きの場合】
退職届
令和〇年〇月〇日
株式会社○○
代表取締役社長 ○○○○ 様
令和〇年〇月〇日
○○部 ○○課 (自分の名前)(押印)
私事
このたび一身上の都合により
令和〇年〇月をもって退職させていただきたく、
ここにお願い申し上げます。
以上
[注意点]
縦書きの場合と記載内容は変わりませんが、「届出年月日」「宛名」「所属と氏名」を本文より前に書き、文末を「以上」で締めます。
【補足】転職の際、履歴書に記載する退職理由は「結婚に伴い退職」とする
嘘での退職であれば「一身上の都合」や「転職して○○をやりたかったから」などの志望理由を用意すれば問題ありません。
ですが、本当に結婚して辞めた際は「結婚に伴い退職」と伝えましょう。
一身上の理由でも問題はありませんが一身上の都合はあらゆる退職理由を想起させてしまいます。そのため、結婚が理由の場合は明確に「結婚に伴い退職」と記載した方が相手からの印象も良いです。
仕事を辞める理由に嘘を使うことも選択肢の1つ
モラルやマナーという観点からすると嘘は好ましくありませんが、一方で『どうしても辞めたい!』と悩んでいるときはその対策として「退職理由で嘘をついてでも辞める」ことも選択肢にはなります。
- 退職を伝えると怒られる
- 簡単に辞めさせてくれない
など、職場の風土として退職が難しいことはあります。
ですが我慢して居続けても苦しいだけで今の環境にもう耐えられない、という時はご自身の身の安全のためにも退職をすべき。
こうした「どうしようもない」状況なら嘘をついてでも辞めた方が良いです。
【事実】結婚という嘘をついて辞める人は少なくない
マイナビウーマンによると『Q. 退職理由でウソをついたことがありますか?』という項目に対して『はい……29.2%』、つまり退職する女性の約3割が嘘をつくということがわかっています。
ちなみに僕は男性ですが、辞める時に家庭の事情で無理くり理由を作って嘘ついて辞めました。(その会社は嘘ついてでも辞めたいぐらい耐え切れないブラックだったので。汗)
もちろん円滑に辞めることができるのが1番理想です。
ですが、現実問題として綺麗ごとだけでは済まないこともあります。
- 我慢し続けて精神的にも肉体的にも壊れてしまうぐらい苦しい
- 転職先が決まっているのに辞めさせてもらえない
など、どうしてもの際は退職の選択肢として「嘘」も必要です。
精神的にキツくて辞めたいときは、以下の記事もご参考になさってください。
嘘をつく自信がないけど確実に辞める方法が欲しいという方へ
1.民法第627条を元に法的に退職を成立させる
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば(=退職届を提出する)必ず退職が成立します。
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
有給消化を利用する
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
民法第627条で退職までに最短でも2週間が必要とされていますが、その期間は必ず勤務していなくてはいけないとは決められていません。よって、退職の意思を伝えてからその後の2週間は有給で過ごして退職することで実質的な即日退職と同じ状況を作ることが出来ます。
なお、有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。
時季変更権も無効
有給に対して職場側にも「時季変更権(会社が労働者の有給取得日の時期をずらせる権利)」がありますが、時季変更権は退職予定日を超えた行使はできません。
つまり、有給消化後に退職してしまうということは、他の時季に有給休暇を与えることができないということになるため、時季変更権を行使することができず有給申請者の請求が通ります。
要するに、有給消化と同時に退職予定の方には職場からの時季変更権が成立しないので退職時に有給を使って即日退職と同じ状況を作ることが出来る、ということです。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
パワープレーではありますが一番シンプルで協力です。
2.ドクターストップを利用する
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
労働契約法第5条より、会社側は労働者の身の安全を確保することが義務付けられています。
(強制労働の禁止)
労働基準法 第5条
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
加えて、労働基準法第5条より、使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。
また、退職の条件として民法第628条もあります。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
つまり、「勤務が出来ない」ということを会社側に申し入れることで会社は勤務出来ない労働者に強制労働を強いることも出来ず、やむを得ない事情と判断せざるを得ないので即日退職を成立させることが出来ます。
診断書を書いてもらう
ご自身が勤務出来ないことの証明として医師から診断書を用意してもらいましょう。病気やケガはもちろん心の病であってもドクターストップがかかり証明としての診断書を用意してもらえれば退職条件を成立させることが出来ます。
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、その旨を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。そして、聞き入れてもらえない場合は即日退職してしまいましょう。
4.ハラスメント被害を受けている場合
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
5.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
嘘の理由で辞める時は最後までバレないよう徹底する
嘘をつくときは「嘘に徹する」、これが全てです。
(実際に自分で嘘ついて辞めた時もそうでした。苦笑)
あらかじめ嘘に対する完ぺきなストーリーを用意し、そのストーリーの役に徹するイメージ。
バレたら退職まで気まずい思いをするだけです。ぐずぐずの退職にならないよう退職理由に嘘を使う時は嘘に徹してください。
また、それが難しい時は労働組合が運営する退職代行サービスの利用も検討に入れていただき退職処理を進めましょう。