「パワハラで会社に行きたくない」
「そのまま辞めたい」
と、パワハラ被害で悩んでいる際に見て欲しい、パワハラに対する出社拒否で退職する際の注意点と手順を解説しています。
パワハラに対して出社拒否して退職する際の注意点
1.我慢して出社してはいけない
前提としてパワハラ被害に遭っている際、我慢して出社してはいけません。
真面目な方ほど「出勤しないと」となりますが、パワハラは被害者の心身に大きな影響を与える行為であり、我慢し続けると体調不良やうつ病・適応障害などの精神疾患になる危険があります。
出社できないメンタルなら無理は禁物
パワハラによって苦しいと感じているならご自身の体がSOSを発っしている状況です。そのため、我慢してまで出勤することなく、ご自分の身を守ることを最優先にしてください。
2.突然のバックレだけは避ける
どんなに苦しい状況、事情があったとしてもバックレ(無断での出社拒否)による退職は認められていません。そのため、バックレによる退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
その為、出金拒否する際は必ず会社に連絡をしてください。
3.会社に連絡をする
上述したように必ず会社に連絡だけは残してください。電話やメール、もしくは社内チャットなどでも構いません。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
出社拒否は身を守る権利
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため出社拒否します」と伝えてください。ご自身の身の安全が脅かされている時は出社拒否は身を守る権利です。
パワハラで退職をする際ですが、引き継ぎなど残務処理は気にする必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
4.退職を伝える
「1.」~「3.」により出社拒否の状況が整いご自身の身の安全が確保できたら退職を伝えましょう。
原則は社内規定に沿った退職となりますが、ハラスメントにより出勤困難になった場合はやむを得ない理由にも該当するので民法第628条を元に即日退職が成立する可能性もあります。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
なお、民法第628条は労働者と会社の双方の合意が原則です。そのため、会社に事情を伝えて合意してもらえるか?を相談しましょう。
診断書を用意すれば確実
パワハラにより勤務が難しい状態になったことを医師の診断で証明できればやむを得ない理由を客観的に成立させることが出来ます。
そのため、心療内科に診てもらい、出社拒否したくなるほどの状況でありドクターストップがかかる状態であることを診断書に記してもらってください。
民法第627条と有給の組み合わせで辞める
やむを得ない事情を認めてくれない、でもすぐにでも辞めたい、という時は民法第627条と有給の組み合わせで辞めましょう。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に就業規則により「退職は3ヶ月前に申請する」などと規定されていたとしても就業規則には法的な絶対の効力があるわけでは無く、民法第627条による2週間での退職が優先されます。
そのため、民法第627条に則って解約の申し入れ(退職届を用意して辞める旨を伝える)を行い、2週間という期間を有給を消化して過ごすことで実質的な即日退職が成立します。
5.退職届を郵送する
退職する場合、退職の意思を相手方に伝える必要があるので退職届を会社に郵送しましょう。
なお、郵送されていないなどと会社側から難癖をつけられないよう、内容証明郵便で送るのが確実です。配達記録が残りますので証拠になります。
離職票の用意でも必要になる
会社は社員が辞めた際に退職の証明として退職届の用意をハローワークより求められます。離職票はその後の転職活動でも必要になるので、離職票の確保のためにも退職時には退職届を会社に送ってください。
【注意】会社が対応した場合
パワハラの訴えに対して会社が対応し、それでも出社拒否をしてしまうことは認められません。そのため、出社拒否後に退職するなら会社が対応する前に退職の申し出をしてください。
連絡せずに辞めたい時は退職代行に相談する
- 会社に連絡するのも苦しい
- でも、トラブル無く辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉までしてくれます。
そのため、あなたが
- 自分で退職を伝えるのは難しい
- でも、どうしてもすぐに辞めたい
いう状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
パワハラの被害があるなら身の安全が最優先。出社拒否は必要な選択肢です。
ただし、法的な問題からバックレだけは避けて欲しいので、パワハラを受けて苦しい状況だとは思うのですが「出社拒否します、理由はパワハラです。」と出社拒否および退職の申し入れだけは必ず押さえて欲しいと思います。
そして、どうしても自分からの連絡が難しいぐらいの状況であるなら退職代行という選択肢も用意していただき、ご自身の身の安全を守りつつ、法的な問題も起こさずに確実な退職を進めてみてください。