引き継ぎなしでパワハラされる状況に納得できない時の考え方と対策

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引き継ぎが無い状況でパワハラを受けた際の対処の仕方について解説します。

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引き継ぎなしの状況自体はパワハラと判断しにくい

パワハラは、

  • 職場において行われる優越的な関係を背景とした言動
  • 業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
  • 労働者の就業環境が害される

これらを満たすものであり、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。

引き継ぎが無い状況に追い込まれると不快には感じますが、引き継ぎが無い状況それ自体では必ずしもパワハラとは判断しにくいのが実情です。

引き継ぎなしで丸投げで仕事が始まる状況も少なくない

引き継ぎのマニュアルも無しにいきなり現場が始まることも少なくありません。

仕事の引き継ぎなしで悩む新人も多い

仕事の引き継ぎについて。
私は新入社員です。

経理部に配属されて仕事をしていますが、わからないことが多いです。
一度は引き継ぎをしてもらいましたが、口頭での説明で断片的にしか理解できませんでした。前任の方は他の部署に移動して忙しそうにしています。
わからないことがあって質問をすると応えてくれるのですが、日に日に雑に扱われている気がします。

仕事の引き継ぎについて。 私は新入社員です。 経理部に配… – 教えて!しごとの先生 | Yahoo!しごとカタログ

引き継ぎなしの一人事務で大変な人も

引き継ぎなしの1人事務員の仕事で 心が折れそうです。
マニュアルがあるから大丈夫、分からない事は社長に聞いてと言われ 入社しましたが、マニュアルと言われたのは A4用紙一枚だけの単なるやることの一覧表でした。

社長も他の従業員も ほぼ事務所にいないため 分からないことを質問するにも 社長に電話をかけるしかありません。しかし 電話をするのは気が引けますし、電話では限界があります。

私の帰社時間前1時間に社長が事務所に来ますが 急ぎのことをしていたりしてなかなか質問し辛い状況です。

引き継ぎなしの1人事務員の仕事で心が折れそうです。 – マニュアル… – Yahoo!知恵袋

引き継ぎが無いこと自体は肯定できるものではありませんが、引継ぎ無しで業務を進める職場自体は少なくありません。

また、引き継ぎは法的にな義務が無いので引き継ぎが無いこと事態に違法性を訴えるのは難しいのが実情です。

引き継ぎを理由に問題を起こせばパワハラになる

ただし、引き継ぎがない状態に関与した恫喝・暴言・暴力・いじめ、などを振るうとパワハラとなります。

(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

労働基準法 第5条

例えば、「業務が遅い・前の担当はもっとスムーズに処理していた」等と皆の前で罵倒する、「業務が滞ることに腹を立てて職場に居ずらくさせる・いじめる」などが該当します。

引き継ぎが無い状況なので業務がスムーズに進まないのは当然のことです。

それにも拘わらず労働者の就業環境が害されるレベルで肉体的・精神的な負担を強いている場合、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。よって、パワハラと判断すべきです。

うちやま
うちやま

ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

引き継ぎに関するパワハラを受けた時の対策

【注意】バックレは避ける

民法第627条があるため、一部の条件を除き原則として即日退職は認められていません。そのため、バックレによる即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。

中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。

  • 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
  • 転職時にマイナスな印象を与えることになる

また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。

他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。

1.質問・相談する

引き継ぎが無いことは担当者の責任ではなく、前任者とコミュニケーションを取れなかった上司の責任です。また、上司は部下の管理の一環として業務内容をある程度把握している可能性があります。

そのため、引き継ぎ内容の不明点に関しては上司に相談してわかる範囲だけでも指示を仰いでください。

我慢することも多いかと思いますが、我慢が出来そうな場合はわかる範囲で聞いてしまい嫌な思いは早々に無くしてしまいましょう。

なお、ハラスメントの原因が上司にあり相談が難しい時は以下の選択肢を検討しましょう。

2.異動を申請する

部署異動ができる規模の会社であれば異動を申請しましょう。異動することで現在の職場とまった関りが無くなるようであればパワハラ被害も無くなります。

ですが、異動制度が無い、異動しても前の職場と関りが続く、という職場環境であれば異動ではなく退職を選択した方が良いです。

【補足】パワハラに我慢しても個人が損するだけで会社は責任をとらない

パワハラは精神的苦痛を伴い過度なストレスを与えることになり、ストレスが原因でうつや適応障害になるリスクがあります。

うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響し、病気の回復にも時間がかかります。

会社はご自身の人生やプライベートまで守ってくれることはありません。

そのため、パワハラで鬱になる可能性を感じたなら我慢していまの職場に留まることなく、異動や退職を最優先に検討してください。鬱になるリスクを背負ってまで今の職場で我慢する必要はありません。

うちやま
うちやま

うつになる前に退職したことが良い理由についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

3.退職する

相談も移動も難しい時はご自身の身の安全を守るためにも退職しましょう。

手順1:法に則って辞める

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法第627条

民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。

仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。

雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。

  • どうしても今の職場に居続けるのが難しい

というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。

退職届を受け取ってもらえない場合

事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。

会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。

また他にも

  • 退職の旨を記載したメールを送る
  • 録音しながら口頭で伝える

等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。

口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。

うちやま
うちやま

なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

手順2:ハラスメント被害を受けている場合

ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。

つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。

会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。

手順3:どうしてもの際は時は退職代行に相談する

  • 退職を自分で切り出すのは難しい
  • 異動ができるような会社ではない
  • でも、どうしても辞めたい

という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

確実に退職が成立します。

退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。

具体的には、

  • 確実に退職が成立する
  • 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

等があり、希望があれば給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。

そのため、あなたが

  • 自分から退職を切り出すのが難しい
  • でも、どうしても辞めたい

という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

※自分で退職を切り出すのが難しいという方だけが相談してください
労働組合が相談を受け付け!追加料金もありません




まとめ

引き継ぎが無いこと自体負担が大きいのに更にパワハラをされるとなると健全な職場とは言えません。

ハラスメントを受けてまで今の職場で我慢する義務はありませんので、どうしても耐えられないと感じたら無理せず異動や退職を検討してご自身の身を守ることを第一としてください。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

うちやま(内山智明)をフォローする
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