仕事を考えると吐き気がする際の自分の状態の理解の仕方、および今後の対策について解説します。
仕事を考えると吐き気がするのは甘えじゃない
吐き気がするということは身体的な影響が出ている、ということです。体に直接的な症状が出るほど影響を受けている状態、ということはかなり深刻な状況と考えてください。
少なくとも「今日、頑張ればなんとかなる」ということではありませんし、「会社を思うと嫌な気持ちになるのは甘えなのか?」ということでもありません。
今すぐに会社に行くことを止た方が良い状態、と考えてください。
腸の働きとストレスの影響
吐き気がするということは腸の働きに異常が出ていることが考えられます。
●ストレス過多の現代社会に急増している「過敏性腸症候群」
【大腸の病気】 ストレス社会に急増している「過敏性腸症候群」 | 健康サポート | 全国健康保険協会
胃腸はストレスの影響を受けやすく、ストレスによって自律神経のバランスが乱れると、胃腸の機能にも異常を来します。胃腸にはとくに病変がみられないのに、腹痛や腹部の不快感、下痢や便秘などをくり返すものを「過敏性腸症候群」といいます。
おもな原因は精神的なストレスによる自律神経の乱れです。ストレスを受けやすい20~40歳代に多くみられ、過労や睡眠不足、不規則な食生活や不規則な排便などが誘因になることもあります。
緊張やストレスなどで交感神経が高まるなどして自律神経のバランスが乱れると腸の働きが低下して吐き気に影響します。
つまり、あなたの現状は「仕事のことを思うと吐き気がするほどに仕事に対して緊張感やストレスを感じている状態」と言えます。
適応障害の可能性
今の職場に強いストレスを感じている場合、吐き気や身体的な影響だけでなく精神的な影響である適応障害にかかっている可能性も有ります。
適応障害は、ある特定の状況や出来事(転勤、配転、新しい人間関係など)が、その人にとっての主観的な苦悩(とてもつらく耐えがたい感じ)を生み、そのために気分や行動面に症状が現れるものです。 たとえば憂うつな気分や不安感が強くなるため、涙もろくなったり、過剰に心配したり、神経が過敏になったりします。
適応障害|病気解説|医療法人 池澤クリニック
仕事に行きたくない、助けてという体からのSOS
身体的な問題、精神的な問題のいずれにせよ、吐き気がするほどの現状は「仕事に行きたくない」ということであなたの体から発せられるSOSと考えられます。
仕事に行きたくないと思うことは甘えではない
仕事に行きたくないと思うことは甘えではありません、ただの選択肢に過ぎません。
- 社風が合わない
- 職場の人間関係が悪い
- 給与の未払いが発生した
- パワハラ・セクハラなどのハラスメントに悩んでいる
など、理由は様々ですが、事情がどうであれ「行きたくない」とスゴレスを感じるトラブルに該当している場合、身の安全を第一に考えるべきです。
仕事から逃げたいと感じた時の考え方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【補足】ただの吐き気に体調不良でも仕事を休むこと
精神的なものでは無く、ただの体調不良による吐き気であっても当然休んでください。
吐き気があるときは通勤も困難。仕事中に何度も吐き気をもよおすと仕事に集中できないだけでなく、オフィスでの感染が広がるリスクもあります。つまり、自分にも周囲にも影響が出るということです。
体調不良は長引かせないように早めの段階から病院で診てもらいましょう。
今すぐにした方が良い対策
休みの連絡を入れる
すぐに会社に連絡を入れてください。
今の段階ではただの体調不良なのか?精神的な問題なのか?はわからないので「具合が悪くて吐き気が止まらないので、急で申し訳ございませんが休ませてください。これから病院に向かいます。」などと伝えておきましょう。
病院に行く
まずは近くの内科にかかってください。
体調不良であれば内科の診断で済みますし、整腸剤や抗生物質等を処方してもらえますので直近の対策になります。
その後に心療内科に行って精神的な問題はないか?も診断してもらいましょう。
診断書を発行してもらう
精神疾患を抱えた場合、心療内科で診断書を用意してもらってください。
職場環境があなたの体調不良に影響を与えている、という精神的な問題を証明するのは実は難しいです。そこで、診断書を用意してもらうことで体調不良と仕事が影響していることの因果関係が証明できます。
因果関係を客観的に証明できれば会社にも伝えやすくなり、休みや退職の相談が通りやすくなります。
なお、診断書は心療内科で用意してもらえますが自分から要請する必要がありますので、診てもらう際は先生に診断書を書いてもらうよう直接伝えてください。
吐き気が出るほど追い詰められる原因
人間関係によるストレス
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が一定の割合を示しています。
ハラスメントの影響
他にも、厚生労働省が運営する「あかるい職場応援団」によると年々パワハラの被害が増えていることが確認されています。
以上のことから職場の人間関係というものは強いストレスがかかる可能性がある環境とも言えるため、その影響で適応障害や吐き気があなたの体に起きている可能性があります。
人間関係に悩んだときの考え方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
労働時間・長時間勤務
残業や休日出勤などの長時間勤務は体をむしばむ原因になります。
「休みなしで働く人が持つリスクと今の状況を打破するためにすべきこと」でも解説していますが、働き過ぎは健康被害に繋がります。
例えば脳や心臓の疾患として表れる事が多く、具体的には心筋梗塞や狭心症、脳梗塞やくも膜下出血などが挙げられます。
他にも、働き過ぎにより睡眠時間の確保が困難になるとメンタルヘルスの不調にも影響します。その結果、うつ病・適応障害などになる危険性があります。
労働内容の相違(業務内容が合わない)
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は違法行為に該当します。
例えば、入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、希望していた仕事内容ではないことになります。
希望しない業務を行うことで精神的なストレスを感じることは少なくありません。
もし、入社当時に定められていた雇用契約書と実際の労働条件が異なるようでしたらその旨を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。そして、聞き入れてもらえない場合は即日退職により別の転職先を探すことも検討に入れてください。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
今あなたがやってはいけないこと
無理して出勤する
- 怒られるのが怖いから
- 休ませてくれない
- 休むと周りに迷惑だから
などを理由に無理矢理出勤することだけは避けてください。お気持はわからないでもありませんが、今はご自身の健康を第一に考えるタイミングです。
電話に出ない・メールチェックもしない
会社に休みの連絡を入れたら、電話にも出ないしメールチェックもする必要はありません。会社からご自身を切り離して休みに徹してください。
無断欠勤・バックレ
吐き気がするほど辛い状況だからといっても原則として無断欠勤・バックレは認められていません。
無断欠勤やバックレを行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があり、中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝える義務があるので転職時にマイナスな印象を与えることになる
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、労働者側にメリットはありません。
辛い状況でこのような提案をするのは酷だとも思ってはいるのですが、バックレにはリスクが多いので、会社を休む際は必ず一言職場に連絡を入れてください。
強制労働は禁止されている
(強制労働の禁止)
労働基準法 第5条
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
なお、会社は労働者へ強制労働を促すことを禁じられています。体調不良を伝えたのに無理矢理にでも出勤させようとしてくれば会社側に非があるので会社の要請に従う必要はありません。
何もしない
何もせずにいても事態は好転しません。そのため、まずは医師に診てもらい吐き気の原因を探りましょう。
仕事に行きたくない理由がわからないままにしない
仕事に行きたくない理由が分からないことには仮に症状がおさまったとしても再発の恐れがあります。体を壊す理由は必ずありますので、いま以上に健康被害を繰り返さないためにも理由をわからないままにせず、原因と対策を探ってください。
仕事で吐き気がするほど辞めたいと感じている場合
1.法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
どうしても今の職場に居続けるのが難しい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
2.退職代行に相談する
- 自分から切り出すのが怖い
- でも、もう耐えられないからどうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
仕事を思うと吐き気がするほどの状態は異常です、必ず何かしらの原因が職場にあると考えられます。
まずはご自身の体を第一に考えていただき休みをとってください。
そして医師に相談して原因を探り、今後どうするか?を検討していきましょう。
少なくとも今、この瞬間に仕事を思うと吐き気がする状態であればすぐに休みをとることからはじめてくださいね。
ご自身の職場が離れた方が良い職場かどうか?を客観的に判断したい方は以下の記事もご参考になさってください。