正社員を1ヶ月で辞める際の退職理由は何でも良く、それ以上に辞め方に注意した方が良い理由について解説しています。
正社員を1ヶ月で辞めるための理由は何でも良い
原則として辞める際に退職理由を用意することは法律で定められていません。よって、辞める際は退職理由を伝えなくても問題はありません。
もちろん、実際には会社側から理由を尋ねられることが多いでしょうから退職処理をスムーズに進めるためにも何かしらの理由を用意しておいた方が対応しやすくなることは事実です。
そのため、退職理由がどうしても必要な時は以下の例をご参考になさってください。
会社側が対処できない理由を用意する
- 家族の病気
- 家業を引き継ぐ
- 海外留学をする
- 結婚で退職する
- 起業する
- いまの会社ではやりたいことが実現できない(部署がない・業界が違う、など)
このように就業先の会社ではどうにもできない理由、もしくは前向きな理由を用意して伝えれば問題はありません。
お伝えしたように退職理由の用意に法的な義務はありませんので、モラルの問題は一旦抜きにすれば、仮に退職理由が嘘だったとしても成立はします。
もちろんできる限り嘘はつくべきではありませんが、嘘をつかざるを得ないほどに辞めにくい状況であれば最終手段として選択肢に入れておくのは適切な判断と言えます。
知恵袋でも転職して1ヶ月で辞める声は多い
転職して1ヶ月、退職を決意しました。
会社のやり方、社員の雰囲がどうしても好きになれず、わずか1ヶ月ですが、退職を決意しました。
転職して1ヶ月、退職を決意しました。 – 転職して1ヶ月、退職を決意しまし… – Yahoo!知恵袋
業務も思っていたのと違い、総務に相談したら「部署を変更しましょうか」と言って頂きましたが、
やはり自分の心の中では、もうこの会社ではやっていけないと思いました。
自分としても、短く情けない気もしますが、いずれ辞めるなら早いほうがいいと思い決断しました。
口コミや体験談を共有するヤフー知恵袋でも転職して1ヶ月で辞めた声は多く見られます。
退職データからの事実
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かった
- 仕事の内容に興味をもてなかった
等が男女問わずに一定の割合を占めています。
また、後述する「【事実】1ヶ月以内に転職した人は約1割」でお伝えする「入社後どれくらいで転職したのか」を聞くアンケートによると、新卒1年未満の方が新卒1年以内に転職した理由として
- 人間関係の悪さ
- 長時間労働・休日への不満
- 仕事内容が合わない
などを挙げていることがわかります。
以上のことから男女年齢問わず一定の割合で早期に退職する辞める人がいる事実、および実際の職場に立って仕事に対する理想と現実のギャップに苦しめられることで退職を決意している人がいることが見て取れます。
つまり、入社一ヶ月であっても現場リアル(職場環境や仕事内容)を体感し、その結果として辞めたいと思う方が出てきても何も不思議なことではないということです。
入社したからこそわかること・わかる事実は多いのです。
正社員を1ヶ月で辞める際の伝え方で注意すべきポイント
正社員を1ヶ月という短期間で辞める際は伝え方が大事になります。
- 話す際は必ず直属の上司に話す
- 相談するアポをとり個室で直接話す
- 直接話すのが難しい状況にある場合、メールや電話で伝える
- 「辞めようと思っている」といった曖昧な表現を避け、断定的な言葉で話す
など、退職時は入社してすぐ辞める方法や伝え方を予め押さえた上で切り出してみましょう。
正社員を一ヶ月で辞めることは可能
前提として正社員を1ヶ月で辞めることは問題ありません。なぜなら、法律で定められた退職条件の範囲内だからです。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条より退職は労働者の権利として定められており、その権利を会社は拒否することが出来ません。解約の申し出(退職の意思を伝えること)から2週間で退職は成立します。そのため、正社員を1ヶ月で辞めることに問題はありません。
入社して「ちょっと思っていたものと違う」と感じた場合、入って1ヶ月で辞めることは労働者側の選択肢になります。
【事実】1ヶ月以内に転職した人は約1割
2021年3月に調査された新卒1年未満で転職した381人に「入社後どれくらいで転職したのか」を聞くアンケートでは1ヶ月以内に転職した人が37名(約1割)という結果が出ています。
3ヶ月以内に87人、さらに6ヶ月以内に151人が転職しており、6割以上の人が6ヶ月以内に辞めています。
10日や2週間など、1ヶ月以内に転職した人も37人。
引用:PR TIMES
このように実際に1ヶ月以内に辞めた人は一定数いることが確認できます。
転職先が合わないと1ヶ月かそれ以内で辞めた体験談は多い
長い研修期間が終わってやっと正社員になったのに1ヶ月で辞めるってなかなか勇気あるぜ😂👍🏻
— カッパのしょーちゃん (@qx1o0847) July 26, 2019
良い・悪いは抜きにして1ヶ月で辞める人が多く存在するのは事実です。
僕も新卒で入ったブラック企業で1ヶ月で辞める人が数名いました。汗
自分は最短で1日で辞めたことがあります。
正社員で最短 何日で退職されたことがありますか? また … – 教えて!しごとの先生 | Yahoo!しごとカタログ
IT関係の技術者を派遣させる人材紹介会社の営業でしたが、
初日から完全に放置。自分のPCも自分でセットアップせねば
ならず、昼休みも何時から何時まで休みなど誰も一切教えて
くれず、気が付いたら見ながら昼に出ていて、出て行っていいのかも
判らず、くいっぱぐれ、仕事においても上長に「何をすればよいですか?」
と聞いても「とりあえず、インターネットでも見てて」・・・しか
言われず、1日が終わり、定時になっても声をかけられず、
自分から帰る事を伝え、帰宅しました。ほんっと、たかだか1日
ですが、非常に長く辛い1日でした。
帰宅し、人材紹介会社経由の求人だったので、苦情を伝え、
そのまま辞めることにしました。ハローワークに相談したところ、
「雇用保険」「年金」等の手続きもされていないので、「職歴」として
数える必要はない・・・との事でしたので、職歴から完全に末梢しています。
最短3日で辞めた事があります。
正社員中途採用で、転職して直ぐに辞めた方はいらっしゃいますか。私は転… – Yahoo!知恵袋
入社してから出された内容が、求人と全く違っていたのが理由です。
若い頃はどんな会社でも最低1年は頑張ろうと思えましたが、現在の年齢が年齢なため無駄な時間を過ごしたくないと思い、速攻で辞職しました。
中には一ヶ月どころか1日~数日で辞める人もいます。
原則として辞めるまでには2週間が必要となりますが、
- 事前に聞いていた求人内容と相違がある
- 会社と労働者、双方の合意
- やむを得ない事由(病気、怪我など)
などがある場合は即日で辞めることすら可能と法で定められています。
【注意】1ヶ月で辞めることが出来ても即日で退職は難しい
なお、即日退職だけは通常の退職とは条件が異なりますので予め条件の理解が必要です。
民法627条により、雇用の期間に定めのない労働者(一般的な正社員)は退職の2週間前には退職する旨を会社に伝える必要があります。
そのため、原則として正社員が即日退職することは出来ず、退職することを宣言した当日に急に会社を辞めてしまうと法律違反になってしまいます。
よって、どうしても即日退職したい場合は特例として民法第628条に従って双方の合意により即時退職を成立させる、もしくは2週間会社に在籍しているが出社はしなくても良い状態(有給や欠勤扱いにして会社を休む)にして実質的な即日退職と同じ状態を成立させる、のいずれかになります。
例外として違法性があれば即時退職ができる
なお、労働条件通知書と実際の勤務内容に相違がある場合は話が別。違法行為となるので即時退職を申し出て構いません。
労働条件通知書との相違
労働基準法第15条|労働基準法 | e-Gov法令検索
(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働条件を明示した労働条件通知書と実際の業務内容や就業条件が異なる場合、労働基準法第15条違反となるので労働者は即時解約が認められています。
正社員として入ってすぐ辞める際の注意点
バックレはしない方が良い
- 早く辞めたい
- 自分から退職を切り出しにく
等の理由から「バックレ」を検討する方もいますがバックレだけは本当に止めた方が良いです。
これはモラルやマナーなどの道徳的な話云々の問題ではなくご自身の身の安全を守るためです。
バックレは法的に認められていない行為になるので、辞めた後で万が一にも損害賠償請求や呼び戻しなどのリスクが残ります。そのため、安全、確実に辞めるのであればこそバックレではなく法に基づいた辞め方に徹してください。
退職癖はつかない
1ヶ月という早い期間で退職をすると「退職癖がつくのでは?」と懸念される方もいますが、気にする必要はありません。
退職癖は就職業界が作り出したただの造語に過ぎず、実際問題として退職癖という症状は存在しません。
退職は労働者の権利であり、ただの選択肢でしかありません。そのため、辞める事情が発生した際に退職という権利を行使するに過ぎません。
例えば、
- 聞いていた仕事内容と違う
- 社内でハラスメントや人間関係トラブルがある
- 自分や家族が怪我や病気になった
などであれば辞めるのは当然のことです。
実際に入社してみないとわからないことは多いもの。入ってみて「違う」と思ったから辞めただけのことですから退職癖云々と心配する必要はありません。
1ヶ月で辞める場合でも給料は発生する
(賃金の支払)
労働基準法 | e-Gov法令検索
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法第24条により賃金の支払いが定められています。そのため、1ヶ月だけの勤務であっても勤務期間が短いからといって給与が発生しないことはありません。働いた日数分の給料は発生します。
もし給与が振り込まれない時は雇用される際に提示された雇用契約書を基づいて必要額を請求してください。
(賠償予定の禁止)
労働基準法 | e-Gov法令検索
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない
なお、賃金に関する社内規定が退職により賃金の支払いが無いなどと労働者を辞めさせないように拘束する内容になっている場合、労働基準法第16条違反に該当するため従う必要はありません。
正社員をすぐ辞めるつもりなら次の候補も用意する
正社員として雇用されると職歴が残るので、すぐ辞めるつもりでいるなら正社員にはならない方が良いです。
どうしても正社員として勤務することが外せないのであれば、働きながら次の転職活動を進めておきましょう。
ご自身による転職活動だけでなく転職エージェントにも相談して他の求人へ常にアンテナを張っておき、良い内容があればすぐにでも転職活動を進めると良いでしょう。
年代に合わせた転職エージェントに相談する
すぐに辞めて次に視野を向けているなら退職後にスムーズに転職活動ができるよう転職エージェントに登録だけはしておいてください。転職の専門家に相談しておくことで自身のスキルや希望に合った求人が見つけやすくなり、結果として転職活動が進めやすくなります。
なお、新入社員の方が転職するなら「第二新卒(新卒入社で2~3年)」として見られるため第二新卒に特化したキャリアスタートに登録しておくとご自身に合った転職先を探しやすいです。
【第二新卒に強い転職エージェント】
とり急ぎは上記に登録しておけば大きな漏れはありませんし、実際に試してみながら不足分があれば順次登録先を追加していけば良いでしょう。実際、私も転職活動時はそのように徐々にエージェント先を増やして活動していました。
正社員を1ヶ月で辞める際も転職時の履歴書には記載する
1ヶ月という短期間であっても就業履歴を履歴書に記入しましょう。
仮に書かないとしても社会保険の履歴からバレますし、バレると経歴詐称となるのでご自身にとって不利になるだけ。そのため、履歴書には記載した方が良いです。
なお、短期で辞めた場合、短期で辞めた理由を相手に納得してもらえるように正当性をもって説明すれば転職先側も事情を加味してくれます。
【伝え方の例】
- 仕事が嫌だった→入社前に聞いていた業務内容とは相違があり、勤務が難しいと判断した
- 人間関係問題→職場内に暴言を繰り返す方がいて、上司や直接本人とも話し合ったが改善が見られなかった
など。
その為、転職活動時は具体的に改善するための行動をしたが改善が見られ無いのでやむを得ずに退職に至った、という伝え方に徹しましょう。
一ヶ月でも確実に会社を辞める方法は2つ
1.法に則って辞める
「正社員を一ヶ月で辞めることは可能」でもお伝えしたように、退職は労働者の権利であり会社側には労働者の退職を拒否する権限はありません。
解約の申し出(退職の意思を伝える)をしてから2週間で退職が成立しますので、どうしても今の職場に耐え切れない時は法に則り退職届を提出して辞めてしまいましょう。
2.会社を1ヶ月で辞めるのが言いづらいときは退職代行に相談する
- 自分で退職を切り出すのが難しい
- 簡単に辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という場合は労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)で申込み相談が可能、希望があれば即日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間から職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的な特徴しては、
- 確実に退職が成立する
- 自分から退職を切り出さなくて良いので心理的に楽
- 相談即日に動き出してくれれば実質即日から会社に行く必要が無くなる
などがあり、あなたが代行サービスに支払う代金以上の利用メリットがあります。
そのため、もしあなたが
- どうしても辞めたい
- でも、自分から辞めるのは難しい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスの活用をおすすめします。
まとめ
繰り返しますが正社員を1ヶ月で退職することは可能です。
一見すると1ヶ月は早そうに見えますが、切り替え判断が早いというだけであり、ビジネスマンとしてむしろ適切な判断と言っても過言ではありません。
自分にあわない環境に居続けても良いことはありません。
早期退職を推奨するわけではありませんが、どうしても合わない職場環境というものはありますので、いざという時は1ヶ月という短期間であっても「辞める」という選択肢も用意しておきましょう。
正社員をすぐ辞めるつもりの方によくある質問
- Q転職の難易度は上がるのか?
- A
早期退職自体が転職の難易度を挙げるとは一概に言えません。
明らかにご自身のワガママによる早期退職であれば次の転職活動時にネガティブな要素を残してしまうでしょう。
ですが、
- 聞いていた仕事内容と違う
- 社内でハラスメントや人間関係トラブルがある
- 自分や家族が怪我や病気になった
などの場合は明確な理由が発生するためです。
(労働条件の明示)
労働基準法 | e-Gov法令検索
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。聞いていた仕事内容と違う場合は労働基準法 第十五条(労働条件の明示)の相違のため明確な法律違反。
また、社内でハラスメントが発生した場合はハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反となります法律違反となります。
よって、正当な理由がある場合であれば必ずしも次の転職に影響が及ぶわけではありません。
転職先の相手企業が納得できるような退職理由を用意しておきましょう。
転職年齢に注意した方が良い
典型雇用離職者計(男女計) 正社員移行率 20-24歳 32.70% 25-29歳 25.50% 30-34歳 18.10% 35-39歳 15.50% 40-44歳 15.60% こちらは労働政策研究・研修機構(JILPT)の「若年者の就業状況・キャリア・職業能力開発の現状 ③ー平成29年版『就業構造基本調査』よりー(p72)」の2017年調査をもとに、非正規雇用から正社員への移行割合示したスコアになります。
見てわかるように年齢を重ねるごとに転職の難易度は上がります。
正当な理由があっての退職の場合、早期退職以上に辞めた時の年齢を気にかけた方が良いでしょう。
- Q備品の扱いはどうすればいい?
- A
スマホ、PC、制服など会社の備品はかならず返却してください。
返却しないとあとでアレコレ言われる可能性があるので綺麗に辞めにくくなります。
備品をまとめて会社に郵送しましょう。
- Q退職後の書類は扱いはどうすればいい?
- A
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 扶養控除等(異動)申告書
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 給与振込先届
- 健康診断書
など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうように伝えましょう。
退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。