派遣に行きたくない時に休む際の休み方と注意点について解説します。
派遣に行きたくない時に休む際の注意点
無断欠勤はしない
無断欠勤だけは避けてください。
無断欠勤はそもそも契約違反であり、それ以外にも
- 事件・事故に遭ったのか?
- 捜索願を出すべきか?
- 連絡が取れないから新しいスタッフを用意すべきか?
- 安否確認のため派遣スタッフの自宅へ訪問しよう
- 派遣元は派遣先に謝罪することになる
- 派遣先は業務が滞ってしまう
など、派遣元や派遣先に心配をかけることにもなります。
また、無断欠勤から一向に連絡が取れなくなると信用をなくしてしまうため「次からの仕事を振られない」という可能性もあります。
ご自身にとっても派遣元や派遣先にとっても悪影響でしかないので無断欠勤だけは避けてください。
派遣元に伝える
休む際の連絡は派遣元に伝えましょう。派遣社員の雇用主は派遣元となるためです。
派遣先に伝えても派遣先としても対処に困るだけですので、休みに限らず何かあったときは派遣元に連絡してください。
理由は体調不良にする
「行きたくない」という精神的な理由だけだと相手に認めてもらいにくいので、休む際は「体調不良」などと理由を変えて伝えてください。
精神的な理由で会社に行きたくない時は以下の記事もご参考になさってください。
派遣に行きたくない理由を洗い出す
体調不良で休む場合
風邪・病気・怪我など体調不良が影響して行きたくない・行けないという事であれば無理せずに休みましょう。
仮に無理して頑張って出勤しても作業効率は悪くなり、且つ周囲にも悪影響になります。
精神的な理由で休む場合
- 職場の人間関係
- 仕事内容が好みではない・つまらない
- いじめ・ハラスメント
- 社員との待遇の差を感じる
など、職場で精神的な苦痛を受けており出社したくない場合、、我慢することなくまずは派遣元に状況を伝えてください。
例外的に派遣に明日から行かないという選択肢も良いする
無理に出社すると精神的な負荷が影響してうつ病や適応障害などの精神疾患にかかる危険があります。
そのため「どうしても出勤が難しい」となれば派遣スタッフの変更、契約途中での解約、などで早々に対応してもらいましょう。
業務に関わる問題で休む場合
- 労働条件が異なる
- 業務内容に相違がある
- 支払がなされていない
など、労働条件が異なるトラブルが原因で派遣先に行きたくない場合、まずは派遣元に相談してください。
(労働条件の明示)
労働基準法第15条2項
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条2項より、労働条件が異なる場合は労働契約の解除(退職)が認められています。
そのため、条件内容の是正を相談し、対応してもらえれば再度派遣先に出向、それが難しい時は法に基づいて退職しましょう。
派遣の退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
どうしても勤務を続けられない場合の対策
バックレはしない
いくら辞めたいと思っていたからと言ってもバックレだけは避けた方が良いです。
派遣に限らず労働者は一部の条件を除き原則として即日退職が認められていません。そのため、バックレによる即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求が与えられる危険があります。
加えて、派遣を無断でバックレした場合は派遣元からその後に新しい仕事を振ってもらいにくくなります。
バックレや無断欠勤による退職は避けるモラルの問題だけでなく、リターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に、且つ安全に辞めましょう。
有給を利用する
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生しますので雇用契約内容に関わらず有給の条件を満たしていれば誰でも有給を申請・消化することが可能です。また、会社はその権利を拒否することはできません。
よって、有給が残っている場合は有給を利用して休みをいただき、体を休めてください。
【参考1】有給の条件
以下の2点を満たした場合、10日間の有給休暇が支給されます。
- 入社から6ヶ月間継続して働いている
- 労働日のうち8割以上出勤している
勤務期間にもよりますが、最大で保有できる有給の日数は40日間となります。
【参考2】派遣にも有給消化の義務がある
2019年4月1日より働き方改革の一環として労働基準法が改正され、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年5日については付与日から1年以内に使用者が時季を指定して取得させることが義務づけられました。
派遣労働者の場合、使用者は派遣元になります。
年次有給休暇を取得する際には派遣先企業との連携が必要となりますが、派遣も有給の取得義務の範囲に入るので一定の日数は確実に取得する必要があります。
派遣元に相談して辞め方の着地点を用意する
「派遣に行きたくない理由を洗い出す」でも挙げたや体調面や精神面でのトラブルなのか?それ以外の理由なのか?によって伝え方も異なります。
例えば体調不良によって勤務の継続が難しい場合、「【パワハラが退職の原因の時は転職理由の伝え方に注意」でもお伝えしたように勤務の継続が難しいことが認められれば退職の理由になります。
別の問題、例えば
- 勤務についていけない
- 職場の人間関係
などがある場合は派遣元の担当に相談して穏便に対処してもらいましょう。直接派遣先に伝えてしまうとトラブルになる可能性があるので、伝えるのはあくまで派遣元にしてください。
双方の合意
いずれの辞め方であっても契約期間途中での退職になるので、契約期間を全うすることが原則の派遣業務においては、退職は企業側と労働者側、双方の合意によって例外的に成立させることになります。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。そのため、事情を伝えて企業側(派遣元)に納得してもらいましょう。
1.勤務期間が1年以上経過している
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
労働基準法137条
派遣会社と有期雇用派遣として契約をしている状況であっても、労働基準法137条より勤務期間が1年以上経過している場合に限り労働者側の希望するタイミングでいつでも退職ができるため即時解約(即日退職)が成立します。
つまり、1年を経過していれば「派遣を今日で辞めます」と即日退職の要望を伝えても法律上は成立します。
ただし、あくまでもこの規定は契約期間が1年を越える場合を想定したものであり、3ヶ月、半年という1年未満の契約を繰り返して累計1年という場合は適用外である点にご注意ください。
2.違法性を指摘
勤務先が違法行為を行っている場合は退職の理由となります。
ハラスメントがある場合
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。つまり、ハラスメントが発生している職場環境は違法行為として考えられます。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、派遣元に事情を伝えて退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
労働条件に相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
事前に会社と取り決めた雇用契約書と実際の現場での仕事内容や労働条件がが異なるのであれば、その旨を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。そして、聞き入れてもらえない場合は即日退職しても構いません。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.どうしてもの場合は退職代行に相談する
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしてもいまの職場を辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
派遣に限らず、決められた日程に対して出勤することは当然のことです。
ですが、急な体調不良やイレギュラーなトラブル等がある場合はその限りではありません。
ご自身の身の安全や雇用条件の確保が最優先ですので、どうしてもの際はまずは派遣元の担当に相談して休みをとってください。
その後「行きたくない」の理由を洗い出し、継続するか?途中で派遣出向を取りやめるか?を検討しましょう。