普段真面目でいい人だったのに突然職場を辞めてしまうケースがありますが、いい人が突然職場を辞めてしまう会社の特徴、および会社を辞めてしまう一般的な理由について解説します。
いい人が突然辞める会社の特徴
いい人だからといって何も抱えていないわけでは無く、裏では悩みを抱えており、それを表では見せずにいい人として振舞っているケースも少なくありません。
ストレス
職場環境・人間関係・業務内容、など職場でストレスを抱える機会は多いもの。そのため、抱え込んでいたストレスがある日突然限界を迎えて急な退職に繋がることがあります。
また、いい人は仕事が優秀であることも多いので裏で転職活動をして採用されているケースもあります。
以上のことから、いい人ほど今の職場をすぐに抜け出しやすい条件がが整っているとも言えます。
【補足】本当に辞める人の特徴
いい人だから大丈夫かな?と思っていても突然辞めることは少なくありません。
ただし、いい人は確かにいい人ではありますが、いい人=強いわけでも万能なわけでもありません。そのため、辞めるかどうか?は性格的な面ではなく、普段の振舞いから判断した方が良いです。
例えば、
- 休みが増える
- 会社での発言が減る
- 新しい仕事を断りだす
- 仕事を整理しはじめる
- 付き合いが悪くなる
などが増えてきたら辞める前兆である可能性が高いです。
まともな人は突然辞めるわけでは無く事前に準備をしている
いい人は一般的に「まとも」な人であることが多いですが、まともな人ほど突然辞めるのではなく事前に辞めるための準備を進めています。
周囲の人からすれば突然辞めたように見えるかもしれませんが、本人からするとあとで問題が起こらないように用意周到に進めているわけです。
いい人が職場を辞める理由
成長が見込めない
いい人に限らずですが辞めて環境を変えようとする人は前向きなタイプが多いです。
そのため、今の職場で満足できない・もうやり切った、となると成長が見込めないと感じるので転職する傾向があります。
厚生労働省の令和3年雇用動向調査結果の概要「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として
- 仕事の内容に興味を持てなかった
- 能力・個性・資格を生かせなかった
という理由が一定の割合を示しています。このことからも自分のパフォーマンスに影響がある環境に居続けることを良しとしない方が少なくないことがわかります。
業務負担が多すぎる
いい人であることを理由に沢山の仕事を振ってしまい、本人からすると業務負担が増えすぎて処理が大変な状態になることがあります。
肉体的にも精神的にも人一倍の疲弊が出てくるので、身の安全および健全な業務体制を求めて今の職場から去っていくことがあります。
何でも引き受けてしまうケースもある
他の人から仕事を振られるのではなく、いい人であるが故に自分で他の人の業務を沢山引き受けてしまうことで業務負担に耐えられて無くなり突然読めるケースもあります。
評価制度に不満
- 年功序列
- 頑張っても頑張らなくても変わらない評価
など、評価制度に不満を持つといい人に限らず会社を去っていく人は多いです。
「正当に評価されたい」というごく当たり前なことが当たり前に成されていないと、いい人に限らず人は職場から去っていきます。
会社のビジョンに合わない
会社と労働者双方の考えが合わない、というだけであり良い・悪いの問題ではありません。
ですが、働く側(労働者側)にとって自分の考えにそぐわない職場の思想があると、自身にとっては働きにくくなるので自然と職場を去っていきます。
ハラスメント
パワハラ・セクハラなどハラスメント被害にあっている場合、いい人に限らず職場を離れるのは当然ことです。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側に「身の安全が保障されないため」などと伝えて退職している可能性があります。
労働条件の相違
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条より、入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合は違法行為に該当します。
いい人だからと、本来の業務とは異なる業務を依頼され続けると労働条件が異なることで職場を辞める原因になります。
なお、労働基準法第15条に違反すると労働者側は即日退職が認められているので、その結果として突然辞めるパターンもあります。
【補足】優秀な人ほど見切りが早い
本当に優秀な人ほど善し悪しの判断が明確且つ早いです。
そのため「この会社は違う」と思えば見切りも早く早々に退職・転職をします。
いい人が普段から優秀な人としても認識されているタイプの方であれば、該当のいい人が突然辞めた時点で「今の職場はまずいかも」と覚悟しておいた良いでしょう。
必要に応じてあなた自身も職場を離れるという選択肢を用意しておいてください。
見切りをつけた方が良い職場の特徴について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
いい人が辞める職場に居続けるリスク
自分に業務負担がかかる
これまでいい人が抱えていた分の業務がご自身に振り分けられ、ご自身の業務負担量が増大する可能性があります。
普段余裕を持って業務に取り組んでいるならまだしも、ギリギリの状態で追加業務が振られると処理が出来ずにあなた自身に影響が出てしまいます。
業務が回らなくて辞めたい、という時は以下の記事もご参考になさってください。
成長しない
いい人に見限られた職場に居続けるということは大きな期待が持てない職場ということです。そんな職場に居続けても大きな成長は見込めません。
成長することがご自身の目的の1つにあるなら、異動や転職など新しい職場環境に移るように検討しはじめた方が良いでしょう。
自分が標的にされる(職場の人間関係)
仮にいい人がこれまで職場から標的にされていた場合、標的が居なくなった以上、次なる標的としてあなた自身が選ばれる可能性もあります。
いじめ、ハラスメント、陰口など、職場環境に問題がある場合は人員が少なくなるとともにご自身がターゲットにされやすくなりますので、万が一になる前に異動や転職など新しい職場環境に移るように検討しはじめた方が良いでしょう。
【補足】バックレだけは避ける
いい人が辞めたから「この職場危ないのでは?」と心配になるかもしれませんが、だからといってバックレで辞めることだけは避けてください。
バックレによる無断欠勤での退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。
どうしても辞めたいなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
見切りをつけることも検討しよう
異動する
部署異動ができる規模の会社であれば別の職場に異動するという選択肢もあります。
職場環境が変わることで
- 成長の機会を得る
- 業務負担の度合いが変わる
- 問題のある人間関係や職場環境から離れることができる
などが可能になります。
現在の職場に限界を感じているものの、退職や転職まで検討するほどではないという方であれば異動を選択市に用意しておきましょう。
転職する
退職後にスムーズに転職活動ができるよう事前に転職エージェントへ登録だけはしておきましょう。
新入社員の方が転職するなら「第二新卒(新卒入社で2~3年)」として見られるため、第二新卒に特化したキャリアスタートに登録しておくとご自身に合った転職先を探しやすいです。
【第二新卒に強い転職エージェント】
キャリアスタート
問題のある職場には早々に見切りをつけて、新しい職場で活躍することに気持ちを切り替えていきましょう。
退職する
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められており、会社にはその権利を拒否する力はありません。
どうしても業務負担がキツすぎることで会社に在職し続けるのが難しいと感じたらご自身の体を壊す前に退職しましょう。
- どうしても今の職場に耐えられない
という事であれば法に従って退職手続きを進めてしまいましょう。
なお、原則として退職は社内規定に従い退職処理を進めたほうが好ましいので「辞める1、2ヶ月前に退職申請する」などがあれば規定に従うことを優先すべきですが、社内規定は絶対ではなく「お願い」に該当するものであり強制力はありません
退職時に効力が優先されるのは民法になりますので『すぐにでも辞めたい』という状況であれば民法に従って14日で辞めても問題はありません。
【補足】辞めにくい際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況あれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望に応じて有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- 切り出したとしても辞めさせてもらえない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
いい人と思っていた人が急に辞める場合、「この職場には何かがある」と疑ってかかった方が良いでしょう。
ご自身が満足しているのであれば問題はありませんが、多少なりとも違和感を感じているようなら身の振り方を検討する機会だと捉えて、留まるのか?異動や転職等に切り出すのか?を判断していきましょう。