「転職3ヶ月の壁にぶち当たっている」
転職3ヶ月の壁は多くの方が感じており転職初期には起こりやすいもの。ですが、壁には乗り越えるべき壁と避けるべき壁に分かれます。
本記事では転職3ヶ月の壁に直面した時にどう対処すべきか?について解説します。
転職3ヶ月の壁に悩む人は多い
「転職3ヶ月の壁」と検索すると多く出てきますが、転職3ヶ月の壁を感じている人は少なくありません。
入社して最初の1、2ヶ月はランナーズハイならず「転職ハイ」とでも言える状態になっているのでそれほどストレスは感じません。ですが、3ヶ月ごろから周囲からの目線やプレッシャーなどが増え始めます。
どういう仕事をする人なのか?能力はどれぐらいあるのか?等を周りに周知され始めるタイミングになるので、それに伴い徐々に環境変化や仕事内容の変化が降りかかってきます。
以下の記事でも解説していますが、中には半年以上壁を感じることもあります。
具体的な「壁」の内容
- 思ってた会社とイメージが違う
- やっぱこの仕事向いてないかも
- 仕事についていけない(スキルや社風)
- 職場の人間関係(周囲の目や上司との関係)
主にこうした悩みに対して「壁」を感じ始めることになります。
早い人だと1ヶ月で転職先に合わないと感じることも
中には入社して1ヶ月ぐらいの早期に転職先に合わないのでは?と違和感を感じることもあります。
特に社風や人間関係は敏感に感じられることが多く、厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」でも前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」が挙がるほどデリケートな問題です。
異業種だと更に時間がかかることもある
加えて、異業種への転職の場合は慣れるまでにさらに時間がかかると考えた方が賢明。4~6ヶ月は壁を感じる状況になる可能性もあります。
壁の乗り越え方
先に結論を伝えると、転職3ヶ月の壁は誰もが通ってきた道だから慌てないこと。
問題に対して1つずつ解決の糸口を探っていきましょう。
最初から全て上手くいく人なんて居ませんし、むしろ最初は失敗してでも日々取り組んだ方が良いです。不慣れな内に失敗しておいた方がその後の活動もすすめやすくなります。
転職3ヶ月の壁を越え、転職4ヶ月目以降になると一気に気持ちが楽になり仕事もスムーズになり始めたりもしますので、以下を参考に3ヶ月目を腐らず乗り越えていきましょう。
1.転職後に頑張りすぎないのが大事
転職してすぐは「周囲に認められたい」「転職したてでハイになっている」「早く結果が欲しい」等の心情から頑張りすぎてしまうことがあります。
ですが、会社勤めは長距離マラソンのようなもの。
一時的に頑張りすぎてもすぐに息切れしてしまいますので、頑張り過ぎずできることをマイペースに淡々とこなしていく方が心も体も負担を感じにくいです。
入社したてに張り切り過ぎないことがなぜ大事なのか?についてより詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
相談できる味方を一人作る
どれだけ張り切ったとしても自分一人の頑張りだけでは悩みも出てきます。
そのため、入社早々の期間であれば一人で良いので悩んだときに相談できる人を見つけておきましょう。いざという時の相談相手がいるだけで悩みや壁は乗り越えやすくなります。
休んでも良いと理解する
「転職早々に休むのは気が引ける」という理由で体に無理をして頑張り過ぎる方もいますが、転職という理由関係なしに体調を崩すことは誰にもでもあります。
例えば体調不良は致し方のない事情ですから休むべき。むしろ我慢して悪化させる方がご自身にとっても会社にとってもマイナス影響です。
いざ休んだ方が良い状況であれば転職してすぐの期間であっても休んで良いものだと判断してください。休むことが出来る、とわかるだけでも気持ちの負担は減ります。
2.転職3ヶ月でついていけないと感じた場合
ついていけないことはある意味当たり前とも言えます。何故なら、仮に十分なスキルがあったとしても会社によって仕事の進め方は異なりますのでスムーズに対応できないのはおかしなはことではないからです。
加えて、転職直ぐは「早く慣れなければ」と焦って気持ちが空回りしてしまうこともあるので尚更ついていきにくさを感じやすいものです。
転職後の自信喪失は通過儀礼
転職してすぐに仕事についていけないことで自信喪失をする方は少なくありません。とは言え、誰もが通る道であり一種の通過儀礼的なものですから必要以上に落ち込まないでも大丈夫。
半年、一年して慣れていっても問題はありません。
メンター・担当を用意してもらう
どうしてもついていけずに苦しい気持ちでいる時は上司に相談するか、上司に相談して自分のメンターとなる人員を配置してもらっても良いでしょう。
結果としていざという時の相談に乗ってくれる味方が増えることにもなりますので壁を乗り越える際の心強いサポーターになってくれます。
3.過去は割り切る・振り返られない
転職間もない時期は前職を思い返したり、転職活動を振り返って「もっと良い職場があったのでは?」等と後ろ向きな考えになることもあります。
ですが、この手の悩みはなやみ過ぎてもキリがありません。そのため、過去は割り切ってしまい今の職場でどう活躍するか?だけに焦点を当ててください。
過去を振り返ったとしても今は変わりませんし、過去は自分ではどうにも出来ないことですから、自分でどうにもできないことを気にしても無駄に疲れるだけでもったいないです。
今だけを考えてください。
4.派閥を見極める
規模の大小に違いがあれど、どの会社にも派閥やパワーバランスというものが存在します。
周囲を見渡して影響力のありそうな人・派閥があれば、その派閥との関係を積極的に構築していきましょう。
影響力がある派閥と組んでいる方が仕事は進めやすく成果も出しやすいので3ヶ月の壁も乗り越えやすくなります。
5.できることをコツコツ継続する
長く続けてくれるのかな?すぐに辞めないかな?など、入りたてのあなたを周囲は見ています。
もちろん仕事の力量も見ていますが、それ以上に見ているのは一緒に長く付き合っていけるのか?です。
そのため、派手な成果を出さずとも自分ができることを日々コツコツと継続して業務にあたっているだけで周囲の目は自然と変わってきます。
自然と周囲が認め始めたら壁を乗り越える際の大きな助けになってくれますので、できることを1つずつ積み重ねていきましょう。
「壁」ではなく『辞めた方が良い』場合もある
壁は乗り越えるものという前提で考えることが多い反面、「そもそも乗り越えるべき壁ではない」「避けるべき、場合によっては会社を辞めるべき」という状況もあります。
以下に該当する場合、乗り越えるよりも退職を検討した方が良いです。
1.ハラスメント被害に遭っている場合
ハラスメント被害に遭っている場合、その職場は辞めた方が良いです。仮に我慢して勤務しても心身がボロボロになるだけです。
- 侮辱発言
- 暴力行為
- 無理な指示で著しく多い業務量を課す
などがあればハラスメントに該当します。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
身の安全の保障が無いと伝えて辞める
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、ハラスメント被害を受けている場合は会社側に対して「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めてください。
ハラスメントと退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
2.労働条件の相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
相談の上、即日退職する
入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、その旨を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。そして、聞き入れてもらえない場合は即日退職してしまいましょう。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.うつ病や適応障害などがある場合
うつ病や適応障害になるレベルであれば壁ではなく職場があなたに合っていない、と判断してください。
仮に我慢して職場に慣れようと思っても改善される話ではありませんので、退職して別の職場に移った方が良いです。
会社は守ってくれない
うつ病や適応障害などにかかると回復には時間がかかります。業務ができなくなるだけでなく、その後の転職活動やプライベートでの活動をはじめとした社会復帰自体にも影響します。
ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、うつ病や適応障害になる様な職場ならや我慢して留まることなく退職した方が良いです。ご自身の人生・ご自身の身の安全以上に大事なものはありません。
診断書で辞める・ドクターストップ
うつ病や適応障害は会社側に理解をされにくい可能性があるので、話が通じない可能性があるときは心療内科に診てもらい診断書を出してもらいましょう。
ドクターストップという客観的な事実があれば会社側も理解をしてくれます。
4.その他、やむを得ない事情がある場合
うつ病や適応障害はもちろん、その他勤務の継続が難しい事情が出た際は職場環境の良し悪しに関係無く退職した方がよいでしょう。
民法第628条により即日退職へ
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
やむを得ない事情がある場合、壁を乗り越えようがありません。そのため、まずは仕事よりもご自身の事情・状況を落ち着かせることを優先してください。
早期に退職する手段
A.基本は就業規則に則って辞める
辞める2ヶ月前に伝える、3ヶ月前に伝える、など会社特有の就業規則があるかと思いますので、原則は就業規則に従って退職手続きを進めましょう。
直属の上司に切り出す
退職の伝達は直属の上司から伝えるのがマナーです。
仮に上司以外の方から伝えてしまうと、万が一にも別の方から上司にバレてしまったときに心証が悪くなり退職がスムーズに進まなくなる可能性があります。
【補足】双方の合意で即日退職になることもある
会社側としても勤務継続の意思がない人間を長く在籍させることは良しとしません。そのため、状況によっては民法第628条を元に合意退職(即日退職)を相談されることもあります。
ご自身にとって即日退職が都合良い場合は会社側の要請を受けて退職しても良いでしょう。
B.より早く辞めたい時は民法第627条を元に辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
中には就業規則により「退職は3ヶ月前に申請する」などと規定されていることもありますが、就業規則には法的な絶対の効力があるわけでは無く、労働者側に対する会社からのお願い扱いとなります。
そのため、どうしても就業規則に則って数カ月先の退職になるのが難しい時は民法第627条を元に退職の意思を伝えて(=退職届を提出する)2週間での退職処理を進めましょう。
C.退職を切り出せない時は退職代行に相談する
- 入社すぐなので退職を切り出しにくい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
等の環境下にいる方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には未払いの交渉もしてくれます。
そのため、あなたが
- 入社すぐなので退職を切り出しにくい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
転職間もない時期は不慣れなことも多いので壁を感じることも少なくありません。
ですが、転職3ヶ月の壁は誰しもが通ってきた道。焦って空回りすることなく1つずつ対処していけば問題を乗り越えることはできます。
壁を感じている時期は気持ち的にも苦しい時期が続くかと思いますが、過度に落ち込むことなくできることを1つずつ取り組んでいきましょう。