「試用期間で辞めたいけど伝えにくい」
試用期間という入社直ぐのタイミングで退職をしたい時の考え方や辞める際の手順・注意点について解説します。
試用期間に辞めるのが気まずい方へ
1ヵ月で辞めた人は気まずくなかったですか?
言ったタイミングはいつですか?
試用期間が6ヵ月の場合、それより先にやめたらダメなんですか?
Yahoo!知恵袋
試用期間での退職についてです。
私は母と祖母の3人暮らしで
10月から試用期間で4月から正社員になります。ですが、母は病気がちで祖母の介護をする人がいません。
介護施設に入所するお金も無いし、私が介護するしかないのですが、辞めるなら試用期間のうちの方が良いのでしょうか。
でも10月からそれぞれの部署で教えてもらったのにここで辞めるのかと思われるのも気まずいし、
仕事自体も正社員になって続けられる自信もないのです。また、上司に話すときは事実を言えば納得してもらえるでしょうか。
Yahoo!知恵袋
試用期間での退職を検討する人、試用期間での退職に気まずさを感じる人は少なくありません。
ですが、どうしても勤務の継続が難しいとご自身で感じてしまった場合、我慢して継続したとしても遠くない未来でご身と勤務先の双方にとって不幸な結果になります。
そのため、退職という選択肢は用意しておくべきです。
法的な問題はない
モラル・一般的な考えとして早期退職にはネガティブな印象を持つ方が少なくありませんが、試用期間での退職に対して法的な問題はありません。
試用期間だからという理由だけで特殊な退職条件になることは無く、試用期間での退職は通常の労働者(社員)と同じ退職条件となります。
つまり、就業規則に従っての退職、もしくは民法第627条での退職が基本となります。
民法第627条とは?
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められており、仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので退職を申し出てから2週間で退職が成立します。
試用期間で辞めることは迷惑ではない
試用期間で辞めることは迷惑ではありません。
労働者側からすると「採用してもらった」といった感情が入りやすく、試用期間とういう早期での退職に引け目を感じてしまうこともあります。
ですが、労使関係(労働者と使用者(会社)の関係は対等です。また、試用期間はそもそもお互いの相性を試す期間ですから、入ってはみたものの労働者側として勤務の継続が難しいと感じたなら退職を申し出ることに問題はありません。
むしろ辞めるなら試用期間が良い
会社側としては勤務継続の意思があり、やる気がある人間を欲しがっています。そのため、嫌々に感じている労働者は好みません。また、会社側としても早く辞めることがわかった方が次の採用の手を打ちやすく、逆に後になって退職を申し出られる方が困ってしまいます。
以上のことから、辞めるなら早期に辞めてもらった方が会社側としてもメリットは大きいです。
試用期間での退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
第二新卒枠が狙える
労働者側としても早期退職をした方がキャリア形成の軌道修正が早くなりメリットが大きいです。
例えば新卒の場合、早期退職は中途ではなく第2新卒扱いになります。転職活動のハードルが中途採用よりも低く、次の転職先を見つけやすいので試用期間で辞めることは思っているほどデメリットにはなりません。
【事実】試用期間で辞める人は少なくない
試用期間を三ヶ月で辞める人も
中には試用期間1週間で辞める人も
試用期間中に辞める人は少なくありません。
あくまでも「試用期間」ですので、どうしても合わないと感じたら退職も選択肢に入るのは当然のことです。
試用期間中の退職に関して詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
【大事】労働環境は退職に影響する
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」という理由が一定の割合を示しています。
人間関係や労働環境が合わなければ強いストレスがかかるので、その影響で辞めたくなるのは自然なこと、ということです。
職場環境や人間関係が影響して気持ちが持たなくなりそうなときは以下の記事もご参考になさってください。
自分の身の安全を第一に考えた方が良い
いまの職場に居続けるのが難しいと感じるという状況は、日々強いストレスにさらされている状況ということです。
こうした状況が続くとうつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあります。
会社は責任をとってくれない
うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく、その後の就職活動や社会復帰にも影響します。ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、勤務の継続が難しいと感じた時はご自身でご自身の身を守るためにも我慢していまの職場に留まることなく、退職という選択肢を用意してください。
うつになる前に退職したことが良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
試用期間で辞めた方が良いケースもある
労働条件の相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は違法行為になります。また、相違があった際は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
そもそも事前の話しと異なる場合は希望した仕事も出来ないだけでなく、会社も信用できませんのでむしろ辞めた方が良いです。
労働条件の相違について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
ハラスメント被害を受けている場合
ハラスメントは被害者の心身に危険を及ぼす行為となり、我慢し続けるとうつ病や適応障害などご自身の心身を壊してしまい仕事どころでは無くなってしまいます。
そのため、ハラスメント被害を受けている職場は早々に離れた方が良いです。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為に該当するため、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条に反している状況(違法な状況)となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
試用期間での退職の切り出し方や伝え方
【注意】バックレだけはしない方が良い
試用期間中での退職に気まずさを感じたとしてもバックレだけは避けてください。
バックレによる退職は認められていません。そのため、バックレによる退職を行うと違法行為となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝える必要が出てしまい、仮に懲戒解雇の旨を伝えなかったら経歴詐称になってしまいます。
つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので今後の転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは労働者にとってデメリットが大きすぎます。そのため、辞めるなら法に則って確実・安全に辞めましょう。
1.直属の上司に伝える
退職は直属の上司に伝えるのがマナー。それ以外の方に伝えると混乱して退職しにくくなる可能性があります。
勤務時間中は避ける
退職の申し出は通常業務とは異なるものとして考えられるので勤務時間中に伝えるのはマナー違反。通常外、例えば始業開始15分前を目途に上司に打ち明けてください。
退職前提で伝える
「辞めようか悩んでまして、、、」などと伝えると全力で引き留められるので辞めにくくなります。そのため、辞める際は退職を決意した旨を前提に伝えましょう。
2.退職理由は可能な範囲で正直に伝える
試用期間中に退職する場合、会社側も「合わなかったのかな?」と察します。そのため、下手に嘘をつくよりも可能な範囲で正直に理由を伝えた方がスムーズに辞められます。
ただし、職場への不満(職場内の雰囲気が悪い、上司と合わない、など)を感情論的に伝えてしまうと心証が悪くなり辞めにくくなるので、職場への不満が有る際は建前で構いませんので別の理由を用意してください。どうしても理由が出ない時は一身上の都合にしましょう。
退職理由を検討したい時は以下の記事もご参考になさってください。
伝え方の注意点として
なお、退職を伝える際は上司に直接伝えましょう。試用期間中でまだ配属先が決まっておらず、直属の上司が居ない場合は人事担当者に伝えてください。
また、退職を切り出す際はいきなり退職届を用意するのではなく上司(もしくは人事担当)へメールや電話で退職を伝えるアポイントをとり、相談してから退職届を用意して辞めるという形をとることで円満な退職になります。
3.退職を伝えるタイミング
退職を伝えるタイミングは試用期間中でも試用期間満了後でもかまいません。
就業規則が一ヶ月前となってれば就業規則に準じる、それよりも早く辞めたい時は民法第627条に基づいてご自身で辞めたいと希望する退職日から逆算して2週間前に伝えましょう。
試用期間に辞めたいと言えない時は退職代行に相談して辞める
- 自分で退職を切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
などの状況に有る場合、労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があります。
そのため、あなたが
- 自分で退職を切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して試用期間中に辞めてしまいましょう。
まとめ
試用期間はあくまで会社側と労働者側、双方の愛称を見極める為の期間。入社=絶対の永続勤務ではありませんので、試用期間中に合わないと感じたら退職することに問題はありません。
心情として早期退職に気まずさを感じるお気持ちは理解できますが、どうしても難しい時は正直に退職を伝え、次のキャリアに目を向けていきましょう。
そんな中、どうしてもご自身で退職を切り出すのが難しい、となれば労働組合が運営する退職代行に相談してみてください。まずは無料相談からだけでも対応してくれますよ。