退職の際、上司や同僚から文句を言われた時にどの様に振舞い、対応すればいいのか?について解説します。
退職の際に文句言われることは少なくない
退職届を出したのですが文句を言われあげく上司に受け取ってもらえませんでした。
退職届を出したのですが文句を言われあげく上司に受け取ってもらえませんでした… – Yahoo!知恵袋
今日、退職届を出したのですが文句を言われ上司に受け取ってもらえませんでした。
内定が決まっており今月(25日)には辞めたいのですがあと少しなのですがどうすればいいのか分かりません。
いい方法ないでしょうか?
退職予定日の1ヶ月半前に退職の希望を伝えたところ、非常識だと言われました。今までの教育などの恩を仇で返すのかと。
退職予定日の1ヶ月半前に退職の希望を伝えたところ、非常識だと言われました。今ま… – Yahoo!知恵袋
契約書には自己都合退職の場合は最低2週間前に告げることと書いてあり、サインしております。
早期退社で今月で6ヶ月目ですが色々我慢の限界のことが続き、退職を選びました。
職場を辞める際に上司や周囲から文句や嫌味を言われることは少なくありません。ですが、無断欠勤や迷惑行為などを働いていない限り、退職することに対して文句を言われたとしても間違っているのは相手側でありご自身が気にする必要は一切ありません。
退職を責められる筋合いはない理由
退職は労働者の権利
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
退職は無責任と言われたとしても気にしないで良い
退職を申し出て無責任等と言われたとしても、法に基づいて退職処理を進めているなら無責任などと言われる筋合いはありません。
管理職であっても退職は問題無い
なお、退職の権利は「労働者」に与えられています。その為、一般的な社員であっても管理職であっても権利は平等に与えられており、仮に管理職や偉い立場だったとしても退職に対して口出しされる謂れはありません。
退職時に嫌味を言う人の心理・理由
退職するだけなのに嫌味を言われるのはなぜ?と不思議に思う方もいるかと思いますが、人間心理的にはある程度納得できる面もあります。
【事実】退職時の嫌がらせは昔からある
「転職者への嫌がらせ問題が急増。過激化する「ヤメハラ」の実態」でもあるように、退職時に嫌がらせを行い、簡単に辞めさせない事例は以前から存在します。
ヤメハラ
嫌がらせは通称「ヤメハラ」とも呼ばれており、辞めさせたくない心理の一環として上司が部下に対して嫌がらせをしてきます。
ヤメハラについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
辞めると上司の評価が下がる
基本的に部下の退職は上司の評価を下げることが多いもの。その為、辞められてしまうと上司の気持ちとしては複雑ですので、退職時に悪態をついてしまうこともあります。
負け惜しみ/身勝手な仲間意識
一定期間同じ場所にいると「仲間意識」が強くなります。
そんな中で場を離れると「アイツは裏切った」などと考え、文句を言ってくることもあります。
人手不足・負担増
人が退職すると会社は人手不足になるので仕事の負担が増えます。
また、実際に退職されると次の求人募集(お金と手間がかかる&集まるかわからない)が必要になります。
「それらが嫌で辞めさせたくない」と考えている職場は多く、そんな中で辞められると手間や面倒が増えるので悪態をつく、という形で辞める人にあらわれてきます。
人手不足は会社の責任
- 人手不足なのに辞めるだなんて、みんなに迷惑だと思わないのか!?
- 後任が居ないから引き継げないので認められない
などと人手不足を理由に文句を言われることもありますが気にする必要はありません。
人手不足はあなたの責任ではありません。会社の人事・採用の問題であり、問題を先延ばしにしてきた会社の責任です。
そのため、人手不足があったとしてもそれが労働者であるあなたを引き留めて良い理由にはならないので会社の要請に応じる必要はありません。
引き継ぎがいない時の辞め方については以下もご参考になさってください。
辞める際の注意点
退職の嫌味に乗っからない(気にしないもの勝ち)
文句や嫌味に乗っかって自分も感情的になってしまうとトラブルの原因になります。
イラつく気持ちはわかりますが相手からの文句は流して対応するのが一番です。
退職時の嫌味を言われても気にする必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
バックレ・無断欠勤は禁止
文句や嫌味を言われて不快な気持ちになったとしても、感情的にバックレや無断欠勤をすることだけは控えてください。
バックレは「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。
つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。
そのため、辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
引き継ぎを行う
会社と決めた退職日までの中で有給消化などの期間を調整し、退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
【補足】引き継ぎは義務ではないし、拒否もできる
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。
退職時の引き継ぎについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
出来る限り繁忙期は避ける
繁忙期に退職の時期が重なると会社側にも影響が出るため、出来る限り繁忙期はさけ、閑散期に退職できるよう日程を調整してみてください。
また、繁忙期周辺での退職を希望すると繁忙期を見越して退職の引き止めや退職申告を取り扱ってもらえない、などが起こる可能性もあります。
事情がありどうしてもの場合は仕方がありませんが、そうで無ければできる限り会社の繁忙期は避けて退職処理を進めた方が良いでしょう。
有給を消化して辞める
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。よって、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。
【有給の条件】
以下の2点を満たした場合、10日間の有給休暇が支給されます。
- 入社から6ヶ月間継続して働いている
- 労働日のうち8割以上出勤している
勤務期間にもよりますが、最大で保有できる有給の日数は40日間となります。
退職時に文句を言われるぐらいですから、もしかしたら「有給を認めない」などの発言もあるかもしれせんが気にする必要はありません。
有給は労働者の権利。有給の条件を満たしているなら法で認められているため会社や上司が何を言おうとも効力は無く、法律が正しいのです。
時季変更権
有給に対して会社側にも「時季変更権(会社が労働者の有給取得日の時期をずらせる権利)」がありますが、時季変更権は退職予定日を超えた行使はできません。
つまり、有給消化後に退職してしまうということは、他の時季に有給休暇を与えることができないということになるため、時季変更権を行使することができず有給申請者の請求が通ります。
よって、退職時に有給を申請しても有給の利用時期を会社側にコントロールされることはありません。
雇用形態を問わない
なお、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生しますので雇用契約内容に関わらず有給の条件を満たしていれば誰でも有給を申請・消化することが可能です。
退職時に有給が使えないトラブルへの対処法について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
プロジェクト途中でも辞めて問題無い
仮にプロジェクト途中での退職となっても辞めることに問題はありません。
後任に引き継ぎを行い、正規の退職の手続きをとれば問題無く退職は成立します。
プロジェクト途中での退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
嫌がらせの度が過ぎる場合は身の安全を第一にする
嫌味や文句を多少言われるぐらいならまだしも、
- 退職する日まで毎日延々と悪態をつかれ続ける
- 日々人前で退職に関する嫌味を言われ続ける
- 言葉だけでなく暴力にまで及ぶ
こうした状態が続く場合はさすがに度が過ぎていると判断できます。
嫌味をパワハラで訴えることもできる
こうした行為は労働者の心と体の安全に影響がある行為に該当します。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
そのため、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
以上のことからパワハラとして訴えることも可能です。
会社に行かない
会社側には現状を伝えるとともに「身の安全が保障されないため」と伝えて会社に行かない体制をとりましょう。そして、そのままご自身の退職処理を進めてください。
私物の回収
私物が残っていると会社側が誤って破棄してしまう可能性がありますので、辞める前に私物は持ち帰っておきましょう。
どうしても残ってしまう場合は着払いの郵送で送ってもらうよう会社側に伝えてください。
備品の返却
スマホ、PC、制服、社章など会社から借りている備品はかならず返却してください。返却しないとあとでアレコレ言われる可能性があるので綺麗に辞めにくくなります。
直接渡しにいくか、それが難しい時は備品をまとめて会社に郵送すれば問題ありません。
書類の申請
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 扶養控除等(異動)申告書
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 給与振込先届
- 健康診断書
など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうよう会社側に伝えましょう。退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。
退職者に対しては退職後に会社側から書類を送ってもらうのが一般的なので過度に心配する必要はありませんが、退職代行利用時に代行業者に対して「辞めた後に必要書類を送るように伝えておいてください。」などと合わせて伝達しておくと確実です。
辞めさせてくれない場合
(強制労働の禁止)
労働基準法 第5条
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
労働基準法第5条より、使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。
そのため、退職を伝えたにもかかわらず認めないことは労働基準法第5条違反に該当するので無効。
会社側の要請に従う必要は無いので退職届を提出し、民法第627条に則って2週間が経過したのちに辞めてしまいましょう。
辞めさせてくれない強制労働問題について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
確実に退職を成立させる方法
1.法に則って退職する
民法第627条より退職を申し入れていただき、2週間後に退職してしまいましょう。
ご自身にとって問題が無いようでしたら社内規定に準じた日数で辞めていただいても問題はありませんが、
- 少しでも早く辞めたい
という状況であれば民法第627条に従って14日で辞めても問題はありません。
なお、退職時は解約の申入れが必要になります。そのため、退職届という形にして会社側に直接渡しましょう。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職の意思を伝えたことを証拠として残した方が確実です。
退職届を受け取ってもらえない場合
- 辞めると伝えても認めてくれない
- 退職届を受け取ってもらえない
などのトラブルが起きた場合、退職届を手渡す代わりに
- 退職届を内容証明郵便で会社に送る
- メールで退職を伝えて履歴を保存しておく
- 録音しながら電話で伝える
などで対応しましょう。
それぞれ退職の意思を伝えたことになり、且つ証拠としても証明できます。
普通の会社であれば本来ここまで徹しなくとも退退職届を出す・退職の旨を口頭で伝える、などで十分なのですが、退職をさせない様な労働環境であれば話は別です。その時点で普通の会社ではありませんので、労働者側も退職対策を徹底した方が良いです。
2.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しいけど今の職場にいたくない
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しいけど今の職場にいたくない
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
職場環境が良かれ悪かれ、退職時に1つ2つ小言を言われるのは致し方が無いこと。
ですが、度が過ぎた場合は別問題です。
多少の文句で済むならまだしも、嫌がらせ・いじめ・辞めさせない迷惑行為などをしてくる場合は泣き寝入りすることなく法に基づき退職処理を進めてしまいましょう。
会社よりも社内規定よりも「法律」が優先されますので、泣き寝入りすることなく、退職という労働者の権利を行使してください。