試用期間3日で退職する際の条件と辞める際の注意点

記事内に広告が含まれています。

試用期間を始めて3日で辞める際の注意点、および退職が成立する条件について解説します。

スポンサーリンク

試用期間を始めて3日で退職することは可能なのか?

試用期間を開始して早々に辞めること自体は一部の条件下に置いて可能ですが、試用期間だからという理由だけで早期退職できるわけではありません。その為、ご自身がどの条件に基づいて退職を伝えるか?で対応が変わります。

原則難しいが例外条件がある

試用期間であっても退職の条件は通常の労働者(社員)と同じになります。

この場合、社員の退職条件は原則として社内規定に従って退職する(辞める2ヶ月前に申告する、など)、もしくは民法第627条より2週間前に辞める旨を伝える、のいずれかが退職成立条件としての基本原則となります。

その為、それよりも早くに辞める際は以下の条件に該当している必要があります。

双方の合意による退職(やむを得ない理由)

(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法第628条

民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。

やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。その為、勤務継続が難しい旨を会社に相談して、会社側が認めてくれた場合は双方の合意により即日退職(試用期間をはじめて3日以内での退職)が成立することになります。

労働条件の相違がある場合

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働基準法第15条

労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。

入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、即日退職が成立します。

ハラスメント被害を受けている場合

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法 | e-Gov法令検索

ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。

加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。

いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えて早々にご自身の退職処理を進めてください。

【補足】試用期間から14日以内だと即日解雇もありうる

なお、試用期間中は労働者側の早期退職とは別に使用者側(会社側)による早期解雇が行われる可能性もあります。

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一 日日雇い入れられる者
二 二箇月以内の期間を定めて使用される者
三 季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者
四 試の使用期間中の者

労働基準法第21条

労働基準法第21条により特例として試用期間開始から14日以内であれば会社側は労働者側を解雇することが可能であり、その際は予告や手当などの義務を果たす必要もありません。

その為、ご自身の本意ではない解雇をされないよう、試用期間中と言えど勤務態度で羽目を外すようなことだけは避けた方が良いでしょう。

うちやま
うちやま

試用期間中の解雇について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

実際に試用期間で早期に辞める人は多い

【大事】入社後のギャップに苦しむと危険な理由

厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」という理由が一定の割合を示しています。

人間関係や労働環境が合わなければ強いストレスがかかるので、その影響で辞めたくなるのは自然なこと、ということです。

うちやま
うちやま

職場環境や人間関係が影響して気持ちが持たなくなりそうなときは以下の記事もご参考になさってください。

自分の身の安全を第一に考えた方が良い

辞めたい理由は個々によって異なりますが、いまの職場に居続けるのが難しいという状態にも拘わらず我慢して働き続けることだけは避けてください。

辞めたいのに辞められない状況は強いストレスがかかり、状況が続くとうつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあります。

会社は責任をとってくれない

うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。

病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく、就職活動や社会復帰にも影響します。ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。

そのため、うつや適応障害になる可能性があるなら我慢していまの職場に留まることなく、退職を最優先に動いてください。社会的なダメージを負うリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。

一番大事なことはご自身の身の安全です。

うちやま
うちやま

うつになる前に退職した方が良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

試用期間中に辞める際の注意点

バックレは避けた方が良い

バックレによる退職は認められていません。そのため、バックレによる即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。

中でも懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。

他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。

入社3日目の退職理由は一身上の都合でOK

原則として退職理由を用意する必要は法律では定められていません。そのため、退職理由を言わなくとも退職はできますし、言う場合は必ずしも本音で退職理由を伝える必要もありません。極論ですが退職理由が嘘であっても問題はありません。

どうしても退職理由を伝える必要がある場合、且つ伝え方が難しいと感じた時は「一身上の都合」と伝えるだけで問題はありません。

【補足】「合わない」は説明が難しい

職場に入ってみて社風や人間関係が合わないことで辞めたいと判断した際、「合わないから」という理由は相手に伝え、説得させるのが難しいです。

そのため、理由の用意が難しい際は余計なことは言わずに一身上の都合にした方がスムーズに退職処理を進めることができます。

うちやま
うちやま

試用期間中の退職の切り出し方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

入社3日目の退職は電話でも可能

一般マナーとしては直接退職を伝えるのが好ましいですが、直接伝える義務が法律で存在するわけでは無いので電話で退職を伝えたとしても問題はありません。

事情があって伝えることができない場合は電話での退職も選択肢に用意しておきましょう。

うちやま
うちやま

電話で退職を伝える際の注意点について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

退職届は用意した方が良い

退職時は口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、証拠として残した方が確実。そのため、退職届という形にして退職する旨を会社側に伝えましょう。

退職届を受け取ってもらえない場合

事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。

会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。

また他にも

  • 退職の旨を記載したメールを送る
  • 録音しながら口頭で伝える

等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。

口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。

うちやま
うちやま

なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

雇用保険の扱いはどうなる?

試用期間3日の範囲であれば会社側も保険の処理をしていない可能性があります。(試用期間であるがゆえに様子を見ている企業は少なくないため)

ただし、絶対ではありません。事務処理を厳密に行う会社であれば保険の処理をしているでしょう。

その為、基本的には入社したら保険の処理はされているものと考えておくのが無難です。

転職先がすぐに決まっていない際の社会保険や年金の扱い

退職したら社会保険や年金の処理はご自身で行っていただくことになります。

年金は厚生年金から国民年金へ、社会保険は退職した職場の社会保険から国民健康保険に変更になりますが、これらの対応は役所に行って手続きをしてください。

なお、役所での手続きには年金手帳、離職票、職場の社会保険の資格喪失日がわかる書類などが必要になるので退職時は必ず受け取ってください。

履歴書に記載はすべきか?

試用期間3日と言えども履歴書には記載をしてください。仮に記載をしなかったとしても保険の関係で退職後の書類から転職先に履歴がバレますので、隠して転職・入社してしまうと後になって経歴詐称トラブルに繋がります。

例外的に前職の保険の処理が行われていない場合は転職先にバレずに済むこともありますが、あくまで例外的な話です。

基本的には前職の履歴はバレるものだと思って対応した方がご自身のためにも良いです。

損害賠償になるのか?

(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

労働基準法第16条

原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、退職したこと対して損害賠償を義務付けることは出来ません。

損害賠償は第三者が見ても辞めることで会社に多大な悪影響を残したときに検討されます。例えば退職時に多くの同僚を一緒に引き抜いて辞めた、退職時に会社のインサイダー情報を後悔した、などが該当しますが、ただ退職するだけであれば会社に多大な悪影響を残したとは認められにくいので原則として退職時の損害賠償は気にする必要はありません。

給与は請求しても良い

(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

労働基準法第24条

労働基準法第24条では、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない、と規定されています。 従って、働いた分はその全額が支給されなければなりません。

よって、試用期間から3日で退職したとしても会社が未払いをして良いことにはならず、仮に支払が無いときは給与を会社側に請求していただいても何も問題ありません。

3日で退職なら給料はいらない、という場合

ご自身からいらないと申し出る必要はありませんが、支払が無く、且つご自身でも不要だと考えているならそのまま会社にも請求せず未対応のままでも構いません。

備品は返却する

スマホ、PC、制服、社章など会社から借りている備品はかならず返却してください。返却しないとあとでアレコレ言われる可能性があるので綺麗に辞めにくくなります。

直接渡しにいくか、それが難しい時は備品をまとめて会社に郵送すれば問題ありません。

私物は回収しておく

私物が残っていると会社側が誤って破棄してしまう可能性がありますので、辞める前に私物は持ち帰っておきましょう。

どうしても残ってしまう場合は着払いの郵送で送ってもらうよう会社側に伝えてください。

退職後の書類を確認する

  • 雇用保険被保険者証
  • 年金手帳
  • 源泉徴収票
  • 離職票
  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 健康保険被扶養者(異動)届
  • 給与振込先届
  • 健康診断書

など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうよう会社側に伝えましょう。退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。

退職者に対しては退職後に会社側から書類を送ってもらうのが一般的なので過度に心配する必要はありませんが、退職代行利用時に代行業者に対して「辞めた後に必要書類を送るように伝えておいてください。」などと合わせて伝達しておくと確実です。

簡単に辞められない際の対処法

1.労働基準監督署に相談する

法に則って退職を申し出ても辞めさせてくれない場合、労働基準監督署に相談という手段もあります。

相談内容をもとに労働基準法違反と認められた場合、会社へ指導や是正勧告をしてもらうことが出来ます。

ただし、労働基準監督署はその立場からあくまで指導や是正勧告となり、個人のトラブル解決をかならず保証してくれるわけではありません。また、相談するにも用意する資料が多岐に渡ります。

そのため、

  • 指導を受けたが一向に是正されない(退職が出来ない)
  • 労働基準監督署に用意する資料を集めるのが大変

という方は以下の方法を検討してください。

2.どうしてもの際は退職代行に相談する

  • 退職を自分で切り出すのは難しい
  • 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

確実に退職が成立します。

退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。

具体的には、

  • 確実に退職が成立する
  • 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

等があり、希望者には未払いの交渉もしてくれます。

そのため、あなたが

  • 退職を自分で切り出すのは難しい
  • 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

\ 即日退職も可能 /
24時間対応相談を受け付け!追加料金もありません



まとめ

試用期間は労働者と会社側が合うかどうか?のマッチング期間ですので、試用期間中に退職すること自体はおかしなことではありません。

ですが、試用期間だからと言って労働者の自由に退職をして良いわけではありません。

身勝手に辞めてしまい結果としてご自身が退職トラブルにならないよう、辞める際はルールを守って退職処理を進めてください。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

うちやま(内山智明)をフォローする
退職
スポンサーリンク
スポンサーリンク
\ 別部隊の仲間たちにも伝える /