絶対に辞めれる退職理由は無くとも確実に退職できる方法は有る

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絶対に辞めることができる退職理由が存在しないわけ、および確実に退職できる方法について解説します。

本記事の内容は良い・悪い、好き・嫌い、という感情論を抜きにして可能・不可能という事実ベースに基づいてとしてお読みください。

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絶対に辞めれる退職理由はほぼ無い

先に結論ですが、絶対に辞めることができる退職理由はありません。

この手の論争になると「○○なら絶対大丈夫」といった意見が飛び交いますが、正確性が無く感情論での意見が多いのが実情です。その為、正しくは「無い」というのが答えになります。

身内の不幸は退職理由にはなるが、退職を保障してくれない

退職理由として身内の不幸を挙げてみましょう。なお、モラル的に良い・悪い、という感情論はここでは一旦無視して考えてください。

心情的には辞める理由として強力な印象がありますが、身内の不幸だからと言って退職の理由には必ずしもなりません。

身内の不幸があった。だとしたら、一旦は休んで気持ちを整えてください。落ち着いたら再度出勤してください。という理屈になります。なにも間違っていません。

次の転職先が決まった、は理由にならない

次に「次の転職先が決まったから」という理由を挙げてみましょう。なお、ここでもモラル的に良い・悪い、という感情論はここでは一旦無視して考えてください。

「次の転職先が決まったから」は一見すると正当性がありそうですが、あなたが次の職場が決まったことは現在の職場にとっては関係の無いことです。むしろ勝手に転職活動をして今の職場の業務や風紀を乱すことは迷惑行為でしかありません。

次の会社が決まったから今の職場を辞めないといけない、という法的な規則はありません。

その為、『内定した会社を辞めればいいじゃない』これが現在の職場の答えであり、感情論を抜きにした話としては一応成立はします。

【補足】退職の自由と職業選択の自由

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

民法第627条

民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。

日本国憲法(昭和21年憲法)第22条第1項においては、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択 の自由を有する。」 と規定されており、これは、職業選択の自由を保障しているものである。

日本国憲法第22条第1項|厚生労働省

また、職業選択の自由も労働者の権利として定められています。

以上のことから退職する・転職する、は労働者側の自由であり法に則って退職処理をすれば確実に辞めることができるのは間違いありません。

ですが、これらの法律が会社が絶対に退職を認めてくれる理由にはならない、ということです。

退職理由はある種の感情論、法律とは別次元の話になります。だからこそ、繰り返しになりますが法律があったとしてもそれが絶対に退職を認めてくれる理由にはならない、ということです。

数少ない絶対に辞められる退職理由・条件

正社員の場合

(やむを得ない事由による雇用の解除)
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

民法第628条

民法第628条により、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。

なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。

会社側があなたの事情を認めたら辞めることが成立しますが、一方で会社側が認めなければ労働者側がやむを得ない事由と思っていても辞める理由として会社が認めてくれないので退職は成立しません。

以上を踏まえた上で強制労働の禁止とドクターストップを加味します。

(強制労働の禁止)
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

労働基準法 第5条

労働基準法第5条より、使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。例えば怪我や病気、もしくは精神的な問題でどうしても勤務続行がむずしくなった場合はやむを得ない事由に該当します。

そして、その旨を医者に止められた場合。つまり、診断書を用意してもらいドクターストップをかけてもらうことで客観的に見て「働けない」ことを成立させた場合はやむを得ず勤務出来ないことが客観性を持って証明でき、その結果として強制労働の禁止を成立させることも出来ます。

以上のことから「やむを得ない事由」「強制労働の禁止」「ドクターストップ」をかけ合わせ、客観的に勤務が出来ないことを証明できれば絶対に辞められる理由としては成立します。

派遣・契約社員の場合

労働基準法137条

第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

労働基準法137条

派遣や契約社員は会社と有期雇用契約をしているので、原則として契約期間内は辞めることが出来ません。

ですが、労働基準法137条より勤務期間が1年以上経過している場合に限り労働者側の希望するタイミングでいつでも退職ができるため即時解約(即日退職)が成立します。つまり、1年を経過していれば理由を問わずに「今日で辞めます」と伝えても法律上は成立します。

契約を更新をしない

当然ですが、契約期間終了と共に契約を更新しなければ確実に退職が成立します。

パート・バイトの場合

パートやバイトの場合は契約内容によります。具体的には契約内容に労働契約が期間の定めがあるか無いか?によります。

期間の定めが無い場合は正社員の辞め方を、期間の定めがある場合は派遣・契約社員の辞め方となりますので、労働条件通知書の内容を踏まえて判断しましょう。

うちやま
うちやま

雇用形態ごとの辞め方について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

雇用形態の関係が無くできる手段

有給消化

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索

有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。

また、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生しますので雇用契約内容に関わらず有給の条件を満たしていれば誰でも有給を申請・消化することが可能です。

民法第627条で退職までに最短でも2週間が必要とされていますが、その期間は必ず勤務していなくてはいけないとは決められていません。

よって、退職の意思を伝えてからその後の2週間は有給で過ごして退職することで実質的な即日退職と同じ状況を作ることが出来ますし会社もその要請を拒否することが出来ません。また、有給が2週間以上残っている場合はそれだけ早くに実質的な退職状況を作り出すことが出来ます。

時季変更権は退職者には無効

有給に対して会社側にも「時季変更権(会社が労働者の有給取得日の時期をずらせる権利)」がありますが、時季変更権は退職予定日を超えた行使はできません。

つまり、有給消化後に退職してしまうということは、他の時季に有給休暇を与えることができないということになるため、時季変更権を行使することができず有給申請者の請求が通ります。

要するに、有給消化と同時に退職予定の方には会社からの時季変更権が成立しないということです。

よって、有給を利用すれば自分が辞めたいというタイミングで意図的に辞めることができます。

そもそも退職理由は無くても良い

退職理由の用意は法で規定されているわけではありません。その為、そもそも論ですが退職理由が無くても退職は出来ます。

極論、嘘をつこうがバレなければ問題にはなりませんし、退職そのものは民法第627条や労働基準法137条を満たせば確実に成立します。

退職理由は必須項目ではなく、簡単に退職を納得できない会社側の感情論にお付き合いするために用意するものです。その為、モラルがあり、話が通じる会社であれば退職理由を伝えた方が良い結果になりやすいですが、モラルが無く話の通じないブラック企業等では下手に理由を用意した方が逆に辞めにくくなることすらあります。

ご自身の職場環境や風土を鑑みて、必要とあらば用意する。下手に用意しない方が良いなら「一身上の都合」とだけ伝え、それ以降は法に基づき粛々と退職処理をするのが良いでしょう。

確実に退職が成立する方法

1.法に則って辞める

民法第627条があるように、退職は法で定められた労働者の権利であり最短で退職の2週間前から辞める旨を申告しておけば退職が成立します。また、会社側には労働者の退職を拒否する権限はありません。

雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。

その為、

  • どうしても今の職場を辞めさせてもらえない
  • でも、どうしても辞めたい

というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。

退職届を受け取ってもらえない場合

事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。

会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。

また他にも

  • 退職の旨を記載したメールを送る
  • 録音しながら口頭で伝える

等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。

口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。

うちやま
うちやま

なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

2.違法性を指摘して辞める

会社が違法な対応をしている場合、違法性を指摘して会社から即離れてしまいましょう。

労働条件に相違がある場合

(労働条件の明示)
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

労働基準法第15条

労働基準法第15条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。

入社時に会社からもらった労働条件通知書と異なる労働条件・仕事内容であればその旨を会社に伝えて即日退職してしまいましょう。

うちやま
うちやま

労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

ハラスメント被害を受けている場合

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

労働契約法 | e-Gov法令検索

ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。

加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。

いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。

うちやま
うちやま

ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。

3.どうしてもの際は退職代行に相談する

  • 退職を自分で切り出すのは難しい
  • 相談したのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

確実に退職が成立します。

退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。

代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。

具体的には、

  • 確実に退職が成立する
  • 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
  • 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い

等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。

そのため、あなたが

  • 退職を自分で切り出すのは難しい
  • 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
  • でも、どうしても辞めたい

という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。

※自分で退職を切り出すのが難しいという方だけが相談してください
労働組合が相談を受け付け!追加料金もありません



まとめ

良い・悪い、好き・嫌い、という感情論や価値観は一旦抜きにして、絶対に辞めれる退職理由を用意するのは実はそう簡単な話ではありません。

その為、どうしても辞めたいと考えている際は退職理由云々よりも「確実に退職が成立する条件」を用意した方が退職という目的は達成しやすくなります。

どうしてもの際は感情論よりも法的な強制力を利用して退職処理を進めてください。

この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

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