パワハラは仕事のストレスやメンタルヘルスに悪影響を及ぼすため、退職を余儀なくされる場合があります。しかし、退職するだけではなく、パワハラをしてきた上司に対して仕返しをすることも考えたいところ。
ただし、その際には注意点やリスクを押さえて、自身に危険が及ばないように行動する必要があります。
そこで本記事では、パワハラの証拠を収集する方法や退職後の仕返しの仕方について詳しく解説していきます。
パワハラで退職する際の仕返し方法と注意点
パワハラによって退職することになった人に向けて、パワハラ被害を受けた場合の対処法や注意点を解説します。
パワハラ被害を受けた場合の対処法
パワハラ被害を受けた場合、手段は多くあるのでできる限り早めに対処しましょう。
退職することが一番の対策になる
退職はパワハラ被害を受けた場合の一番の対策になります。なぜなら、辞めて職場が人手不足になる、辞めること自体が上司の評価を下げる、などあなたが退職することは上司や会社に影響が及ぶからです。
パワハラをしてくる上司との関係は修復することが困難であり、被害を受けた人が仕事を続けることが苦痛でしかありません。
退職すれば、その職場でのパワハラ被害は解決されるだけでなく、新しい職場で再出発することで新しい環境で自分自身を取り戻すことができますので、「退職することが一番の対策になる」と覚えておくと良いでしょう。
内部通報制度を利用する
企業内で違法行為や不正行為が行われた場合、社員が匿名で通報できるシステムである内部通報制度の利用はパワハラ被害を受けた場合に有効な手段の一つとなります。
内部通報制度を利用する場合、具体的にどのような被害があったのかを証拠(メールやチャットの履歴、証言者の証言、診断書など)を揃えて報告します。
ただし、内部通報をしたことが発覚した場合、自分自身に嫌がらせが行われる可能性もあるため、内部通報する際には匿名で報告したほうが良いでしょう。
労働組合に相談する
労働組合に相談することもパワハラ被害者にとっては有効な手段の1つ。
労働組合に相談することで、以下のようなメリットがあります。
・専門家のアドバイスが受けられる ・仲裁・調停が行われる場合がある ・会社側に対する抗議や要望ができる
労働組合は会社と社員の仲介役として社員の権利擁護に力を入れているので、パワハラ被害者にとっては安心感もあります。
労働組合は社員の団結力を重視しており、複数の社員が同時に被害を訴えることで効果的な抗議や要望ができることがあるので労働組合の担当者には具体的な事実を伝えて証拠を提示しましょう。
労働基準監督署に相談する
パワハラ被害を受けた場合、労働基準監督署に相談することも一つの選択肢になりますので一人で抱え込まずに相談してください。
労働基準監督署は労働者の権利を守るために設置された機関であり、パワハラ被害に対する相談も受け付けています。具体的には、パワハラ被害を受けたことを相談し、労働基準法に基づいた適切な対処を求めることができます。また、相談内容によっては調査や労働審判の申し立てを行うこともできます。
労働基準監督署への相談は個人情報は厳守されるため安心して相談することができます。また、相談や申し立てには費用がかかりません。
診断書を用意して被害を証明する
パワハラによって心身の健康に影響を受けた場合、診断書を用意することで被害を証明することができます。診断書は心療内科で診てもらうことで発行されます。
パワハラによるストレスが原因でうつ病や不眠症などの症状が現れた場合、症状の原因を明らかにするために心療内科で診断書をもらってください。
診断書をもらう際にはパワハラについて具体的に話し、診断書を発行してもらいましょう。被害の原因がパワハラにあることの証明になります。また、診断書を提出することでパワハラの被害があったことを証明できるため、内部通報制度や労働基準監督署に相談する際にも有力な証拠にもなります。
パワハラ被害を受けた際の注意点
パワハラ被害を受けると仕返しをしたくなる気持ちはわかりますが、感情的に行動すると状況を悪化させることになります。そのため、被害を受けた際の立ち回り方としては感情的に行動するよりも「証拠集め」に徹してください。
集めるべき証拠の例
被害の証拠を集める場合、パワハラ行為を証明する資料やメール、会話内容、診断書などを保存しておきましょう。
パワハラ上司をやっつける方法
パワハラ上司に対する仕返しする方法として法的手段を利用する、SNSや口コミサイトを利用する、相手に直接伝える、退職代行に相談するなどがあります。
しかし、報復行為には法的なリスクや費用がかかるだけでなく、精神的に負荷がかかることもあるので、実際に行動に移す前にこれらの懸念事項に対して予め注意しておく必要があります。
法的手段を利用する
パワハラ被害を受けた場合、法的手段を取ることも一つの選択肢です。具体的な法的手段としては、労働審判や訴訟などがあります。
参考:労働審判手続 | 裁判所
労働審判は労働基準監督署に申し立てた後に被害を受けた労働者と被害を与えた会社側が話し合う場です。専門の裁判官がいるため和解につながることがあります。
訴訟を起こす場合、訴訟費用や証拠の集め方などが問題になりますが、実際に裁判で勝訴すれば賠償金が支払われることがあります。ただし、法的手段を利用する場合は弁護士を雇う必要があるため、費用がかかることに加え手続きが複雑で時間がかかることも予め考慮しておきましょう。
SNSや口コミサイトを利用する
SNSや口コミサイトを利用してパワハラ被害に対する仕返しをする(具体的には、自分の経験を投稿して上司が会社外でも悪評を負うようにする、など。)ことも選択肢にはなります。
ただし、この方法にはいくつかの注意点があります。
まずは書き込みが真実に基づくことなのか?それを証明するものがあるのか?です。虚偽の情報を書き込むと、自分自身が法的な問題に巻き込まれる可能性があります。また、書き込みが過度に攻撃的な場合、逆に自分自身の評判を損ねることになり心理的な負担や次の転職先へのマイナスな影響が出ることもあります。
そのため、選択肢にはなるものの、積極的なせんたくしとは思わない方が良いでしょう。
相手に直接伝える
直接上司に直接伝えることも選択肢になります。まず、落ち着いて自分の気持ちを整理し、その上で上司と一対一で話をする場所を用意しましょう。相手が応じない場合には、メールや手紙で伝えることもできます。
話し合いの際は、相手に対して自分の気持ちや被害の内容を具体的に伝えてください。また、話し合いはお互いが理解し合うことが目的なので相手に対して攻撃的な言葉を使うのは避け、相手の言い分にも耳を傾けるスタンスで臨んでください。
退職代行に相談する
退職するにもパワハラをしてきた上司に対して自分から行動することにはリスクが伴うと感じる方は退職代行に相談して辞めてしまいましょう。
退職代行に依頼すると代行業者が本人と雇用元とのやり取りを代行してくれるため、本人が直接パワハラをしてきた上司と接触する必要がありません。
また、代行業者は本人の立場になって相談に乗ってくれますので相談内容に応じたアドバイスや具体的な手続きの代行をしてくれくれますので、本人が直接雇用元とやり取りする必要がなく不安やストレスを感じずに即日退職が可能です。
仕返しをする前に注意すべきこと
パワハラ上司に仕返しをする前に法的リスクや費用の問題、感情的なコントロール、暴言の控え方、バックレや仕事の放棄の問題など注意すべきことがあります。
感情的にならず冷静に会社を辞めることそれ自体が一番の仕返しになることだけは予め理解しておきましょう。
法的リスクや費用の問題
法的手段を利用する場合は、法律や条例に違反しているという明確な証拠が必要となります。また、裁判や訴訟を起こす場合は、それに必要な時間や費用がかかることがあります。そのため、自分自身で費用や時間をかけてでも実行すべきか?を予め検討・判断してください。
相手に対する感情のコントロール
上司に対してパワハラへの怒りを感じると思いますが、感情を爆発させることは避けるべきです。相手に感情をぶつけることで自分自身が傷つくだけでなく、相手にとっても報復をするキッカケを与えてしまいます。
感情的に暴言を吐かない
感情的になって相手に暴言を吐いてしまうことは、パワハラ被害者が陥りがちな失敗のひとつです。暴言を吐いても被害者の立場が強くなることはほとんどありません。むしろ、相手に攻撃されたと感じた上司がさらに攻撃的になることもあります。
自分が感情的になっていると気付いたら一度深呼吸をして冷静になりましょう。また、感情的な言動を避けるためにも、事前に周囲への相談をして気持ちを落ち着かせてください。
バックレや仕事の放棄は控える
退職時には辞める前に引き継ぎを完了させることが大切です。もし急に仕事を放棄したり、バックレたりすると、上司だけでなく周りの同僚にも迷惑をかけることになります。また、そのような行動をとると退職者としての印象が悪くなり円満退社が困難になることもあります。
例えば、プロジェクトに参加している場合は、プロジェクトの進行状況や未完了のタスク、引き継ぎが必要な情報などを関係者に伝えて退職の引き継ぎを済ませてください。
パワハラに対する報復が怖い時は無理しない
パワハラに対する報復が行われる可能性も0ではありません。場合によっては自分自身にとって非常に大きなリスクを伴うこともあります。(相手によっては法的手段を利用されることがあり、損害賠償請求や名誉毀損などの訴訟に発展する可能性もあります。)
そのため、報復を行う前には冷静に自分の状況を見つめ直しリスクと報酬を十分に考慮してください。その上で、パワハラに対する報復が怖いと感じた場合は無理をせずに自分の身を守るために退職することだけに専念しましょう。
まとめ
パワハラで退職する際にできる限りリスクを負わずに無事に仕返しを検討しつつ退職する為にも仕返しをする前に法的リスクや感情的なコントロールなどに注意しましょう。ですが、仕返しを考えるならあなたの退職自体が最も有効な仕返しだと考え下さい。
下手にアレコレとパワハラしてきた上司に手を出すよりも、ご自身の今後に向けて気持ちを切り替えてしまうことが一番効果的です。本記事を通じて、読者が冷静に状況を判断し、適切な対処法を選択できるように役立てていただければ幸いです。