正社員を1年で辞めても良いのか?と不安視される方に向けて、
- むしろ1年でやめた方が良い条件
- 退職時の注意点
について解説します。
無理に辞める必要はありませんが、条件次第では退職や転職という選択肢を活用した方が好ましいこともありますよ。
正社員を1年で辞めるのがアリな条件
職場の人間関係に問題がある
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として
- 職場の人間関係が好ましくなかった
が男女問わずに一定の割合を占めています。
普段から同じ時間を過ごす周囲の人間と合わなければストレスが増え、精神的に苦しくなり仕事もできません。
残念ながら職場の人間関係はすぐに変わるものではないのでその状態が続くと考えるのが現実的。仮に我慢し続けても辞めるのは時間の問題ですので、人間関係トラブルを抱えている場合は我慢過ぎて精神的なトラブルを抱えてしまう前に退職を検討した方が良いです。
いじめやハラスメントがある
人間関係トラブルの延長ですがいじめやハラスメントがある職場も辞めた方が良いでしょう。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無く、且ついじめやハラスメントは我慢し続けると時間の問題でうつ病や適応障害など心の病を引き起こしてご自身の心身を壊してしまいます。
心の病にかかると仕事ができなくなり現場に迷惑をかけるだけでなく、ご自身のプライベートにも影響してしまいます。
以上のことからいじめやハラスメントがある職場は早期に退職した方が良く、実際に被害合われている場合は会社側に「身の安全が保障されないので」と伝えて退職処理を進めてください。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
労働条件の相違
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より労働条件の相違は違法行為とされています。
入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、希望の仕事が出来ていないことになりますので退職して本来望む仕事につき直した方がご自身のためです。
労働条件が異なる際はまずは会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらうように働きかけてください。もし、sれでも聞き入れてもらえない場合は即日退職してしまいましょう。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
給料の未払い
(賃金の支払)
労働基準法第24条
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法第24条では、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない、と規定されています。 従って、働いた分はその全額が支給されなければなりません。
それにも拘わらず給与の未払いが続いているということは「違法行為を行う会社」もしくは「資金繰りが苦しい会社」と考えられます。
いずれの場合においても労働者として勤務するには不安が大きい職場と言えますので、退職して別の職場に身を移した方がご自身にとっても安全と言えます。
やりたいことが見つかった
新卒ですが1週間ほど経って辞めたいです。
新卒ですが1週間ほど経って辞めたいです。本当はやりたいことがあったので… ? Yahoo!知恵袋
本当はやりたいことがあったのですが、親に猛反対されてけちょんけちょんに言われ、就職しました。
ですが、やはりどーしてもやりたく、仕事にも集
中でしません。
やりたいことができない状態が続くとストレスが積み重なるだけで仕事のパフォーマンスにも明らかな悪影響を及ぼします。
社内の異動や新規事業立ち上げなどのチャレンジでやりたいことができるならまだしも、そうで無い場合は早々に今の職場に見切りをつけて本当にやりたいことができる会社に転職した方が良いです。
年齢制限という現実と向き合う
転職は年齢を重ねるとともに求人数が減って厳しくなるだけでなく、年齢制限という現実もあります。そのため、やりたくもない職場でダラダラとしているといざ転職しようとしたときに条件が合わずに転職できなくなるリスクもあります。
ご自身の希望が通らない職場環境で無理に勤務し続けてご自身の貴重な時間を無駄に浪費さないように注意してください。
勤務の継続が難しい(やむを得ない事由)
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
やむを得ない事由が発生した場合、民法第628条より会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
勤務の継続が物理的に難しいのであれば会社側も相談に応じるしかありませんので、やむを得ない事由が発生した際は早々に会社に相談して退職処理を進めてください。
他にも、以下のケースがやむを得ない事由と判断されます。
【やむを得ない事由の例】
- 契約外の仕事をさせられる
- 使用者が労働者の生命・身体に危険を及ぼす労働を命じた
- 派遣先の上司からパワハラやモラハラを受けている
- 賃金不払いなどの重要な債務不履行が発生した
- 労働者自身が負傷・疾病・心身の障害などにより就業不能に陥った
- 親や家族の介護が必要になった
- 家族の転勤などにより急な引っ越しが決まった
- 業務内容が法令に違反している
- 両親や子供の病気、または介護
など
過重労働を強いられている
過重労働の一般的な認識としては、長時間にわたる時間外労働や不規則な勤務、度重なる休日労働等により身体・精神的に強い負荷がかかる労働となります。
「働かせ過ぎで労働者の心身に無理をさせている職場」とイメージしていただければ良いでしょう。
法定の労働時間、休憩、休日
労働時間・休日 – 厚生労働省
使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。
労働基準法第32条、および労働基準法第35条、により使用者(会社側)は労働者に対して勤務する時間を制限しています。
また、労働基準法第36条では時間外労働は45時間、年間360時間以内と定められています。
以上の法的な制限を越えた労働時間を強いられている場合は過重労働と判断しても良く、働き過ぎの職場環境はご自身の心身を壊す原因になるため、身の安全を踏まえても退職を検討した方が良いでしょう。
働き過ぎの弊害について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
新卒の場合は第二新卒として扱われる
新卒が1年以内に退職した場合、転職時は「第二新卒」として扱われます。
若手であり、一定の社会経験もある、という第二新卒は転職市場でも人気があります。
決して転職が簡単とは言いませんが、いざ転職活動をしてみると思った以上に応募先やチャンスがあることに気づくでしょう。
1年以内という早期退職であっても転職活動では必ずしもネガティブに捉える必要はありません。
僕自身も第二新卒として転職活動をしましたが、非常にスムーズに転職先は決まりました。(活動期間は1、2ヶ月ぐらいでした)
1年で辞めることのデメリット
転職時に辞めやすいのでは?という印象を持たれる
採用側からすると早期退職者に対して「すぐに辞めるのでは?」を懸念するのは自然なことです。
実際は本人側からすると退職癖なども無く、求める環境に行きたいという理由での転職になるわけですから、転職活動時にはその旨を伝えてください。
曖昧な転職理由は避ける
退職理由として前職の愚痴やネガティブな発言は避け、転職して実現したいことがある旨を明確に伝え相手にポジティブな印象を与えましょう。その上で、採用された後は長く勤務したい旨も併せて伝えてください。
辞めた理由と転職したい理由に筋が通っていれば相手も納得してくれます。
前職で身につけたスキルやアピールポイントが少ない
1年未満での退職であると前職での経験は少ないためアピール材料に不安が残ります。
元々特定の業界に長く渡り歩いている方であれば、これまでのキャリアを元にご自身ができるスキルを伝えてください。一方、新卒であればスキルよりも転職理由ややる気を相手に伝えるようにして、前職での経験の少なさをカバーしながら転職活動を進めてください。
実際は1年に限らず1ヶ月で退職・転職をすることも少なくありません。前職での就業期間に不安がある方は以下の記事も併せてご参考になさってください。
正社員を1年だけで辞めようとする人は少なくない
正社員1年未満ですが転職しようか悩んでいます。
正社員1年未満ですが転職しようか悩んでいます。 – コロナ渦で… – Yahoo!知恵袋
コロナ渦で焦って決めたこともあり、一部条件が違い、苛立っています。ただ年齢もアラフォーで次が受かる保証もありません。更に今までしっかり年数を積んだ職場がなく経歴も汚れております。
正社員を1年半で辞める方も
仕事を1年半で辞めるのと2年で辞めるのは、印象はだいぶ違いますか?
仕事を1年半で辞めるのと2年で辞めるのは、印象はだいぶ違いますか?正社員… – Yahoo!知恵袋
正社員として一年半勤めた会社を辞めるんですけど、失業保険ってもらえるんでしょうか?
正社員として一年半勤めた会社を辞めるんですけど、失業保険ってもらえるんで… – Yahoo!知恵袋
このように1年(もしくは1年前後)で辞める人は少なくありません。
主な退職理由
「職場の人間関係に問題がある」でもお伝えしたように、令和3年雇用動向調査結果の概要では前職を辞めた理由として
- 職場の人間関係が好ましくなかった
が男女問わずに一定の割合を占めています。
他にも詳しく掘り下げると
- 仕事の内容に興味を持てなかった
- 労働時間、休日等の労働条件が悪かった
なども同様に一定の割合を占めていることが確認できます。
加えて、PRTIMESの「【入社後すぐに転職した理由ランキング】経験者383人アンケート調査」でも会社を辞めた理由に
- 人間関係への不満
- 求人内容との相違
- 仕事内容への不満
- 社風に馴染めない
- 労働環境への不満
- 職場環境が悪い
など、人間関係や労働環境に対する理由が挙げられていることが分かっています。
以上のことから人間関係を筆頭に、職場環境や仕事内容がご自身に合わない場合、退職を検討することが多いと言えます。
そのため、ご自身の現状として人間関係や仕事内容などに不満を感じているのなら辞めたいと思われるのも自然なことと言えます。
退職を検討される場合、以下の目安も併せてご参考になさってください。
早期退職する際の注意点
辞める意思を崩さない
「辞めようか悩んでいます」といった姿勢や伝え方だと上司に引き留められてしまい退職がしにくくなります。
その為、退職の相談をする際は退職を決意していることを前提に伝えてください。
引き留めには応じない
退職時は引き留めが入りやすいものですが本気で退職を心に決めているなら決して引き留めには応じないこと。
仮に引き留め条件として待遇の改善が約束されていたとしても実行されるかどうかは保障されませんし、無かったことにされることもあります。
また、仮に残ったとしての周囲からは「辞めたがっている人」として見られるので勤務していても心が休まることがありません。
以上のことから本気で退職を決めているなら引き留めに応じることなく、そのまま退職処理を進めましょう。
退職理由の用意
前提として退職時に退職の理由を用意することに対して法的な義務はありません。よって、退職理由もなく辞めてしまっても問題はありません。ただし、一般的な流れとして辞める際は退職理由を聞かれることが多く無視するのは難しいと思います。
退職理由をどうしても伝えないといけない場合、困ったら「一身上の都合」で対処してください。なお、それだけでは相手が納得せず食い下がってきてしまう際は会社側ではどうしても対処できないことを理由として用意してください。
【退職理由の例】
- 新しいチャレンジをしたいが今の会社ではそれが出来ない
- 家族の問題(結婚、実家に変える、家業を引き継ぐ、親の介護、など)
会社への不満を伝えない
辞める際に会社への不平・不満を挙げると心証が悪くなりトラブルの原因になります。
心証を損ね、万が一にも感情的なやりとりになってしまうと円満退社が出来なくなるか、退職交渉自体が進まなくなる可能性もあります。
その為、不平・不満を伝えることは避けた方が良いです。
また、「不満を解消するから会社に残って欲しい」と引き留める口実を相手に与えてしまい、結果として辞めにくくなることもあります。
以上の理由から、退職理由を伝える際は会社への不平・不満は避けてください。
転職先は伝えない
退職時に転職先の会社名を伝えると、万が一にもトラブルの原因になるため転職先は伝えないようにしましょう。
中には空気も読まずにグイグイ聞いてくる面倒な人もいますが、しつこく聞かれてどうしてもの際は
- プライベートな事なので
- 先方から情報開示をしないでほしいと言われているのでお伝えができない、申し訳ない
などと返してその場を切り上げてください。
退職時に転職先を伝えないことについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
バックレは避けた方が良い
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
正社員の退職は基本的には民法第627条が原則となりますが、バックレは民法第627条に反した退職行為となるためうと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので今後の転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
以上のことからバックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。
辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
引き継ぎを行う
会社と取り決めた退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし引き継ぎが間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
【補足】引き継ぎは義務ではない
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。
退職時の引き継ぎについて詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
繁忙期は避ける
繁忙期に退職の時期が重なると会社側にも影響が出てしまいます。また、繁忙期周辺での退職を希望すると繁忙期を見越して退職の引き止めや退職申告を取り扱ってもらえない、などが起こる可能性もあります。
その為、出来る限り繁忙期は避け、閑散期に退職できるよう日程を調整してください。
事情がありどうしてもの場合は仕方がありませんが、そうで無ければできる限り会社の繁忙期は避けて退職処理を進めた方が良いでしょう。
退職時に会社から必要な書類を受け取る
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 扶養控除等(異動)申告書
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 給与振込先届
- 健康診断書
など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうように伝えましょう。
退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。
基本的には退職後にご自宅に郵送されてきますが、しばらく待っても届かない場合は会社に確認の連絡を入れてください。
備品は返却する
スマホ、PC、制服、社章など会社から借りているものは必ず返却しましょう。
まとめて直接返却しても良いですし、それが難しければまとめたものを郵送で会社に送っても問題ありません。
私物を回収しておく
私物が残っていると会社側が誤って破棄してしまう可能性がありますので、辞める前に私物は持ち帰った方が無難です。
どうしても残ってしまう場合は会社側に私物の郵送(着払いの方が良いでしょう)を伝えてください。
自分だけの文具、マグカップ、社内で使うブランケットやカーディガン類、スリッパ、リップクリームなど小物類、この辺りは会社で利用される私物で多いものといえます。
年末調整をしない場合は源泉徴収票をもらって確定申告
会社に勤務中の方であれば勤務中は給料から自動的に税金が引かれていますが、退職してすぐに転職が決まらない場合は毎月の税金を自分で収める必要があります。
中途退職したまま再就職しない場合は年末調整を受けられないため所得税は納め過ぎの状態になります。
納め過ぎの所得税は、翌年になってから確定申告をすれば還付を受けられます。確定申告には退職後にもらえる源泉徴収票が必要なので無くさないように注意しましょう。
なお、申告は退職した翌年以降5年以内であれば行うことができますが、長引くと忘れがちになるため申告に必要な添付書類がそろい次第早めに申告をしてしまうことをおすすめします。
年金や社会保険の扱い
年金や社会保険は役所に行って手続きをします。
年金は厚生年金から国民年金へ、社会保険は退職した職場の社会保険から国民健康保険に変更になります。
役所での手続きには年金手帳、離職票、職場の社会保険の資格喪失日がわかる書類などが必要になるので退職時は必ず受け取ってください。
住民税の扱い
住民税は退職する時期によって納め方が変わりますので、以下を参考になさってください。
- 1月1日~5月31日までに退職した場合は退職月の給料や退職金から5月分までの住民税を一括で徴収
- 6月1日~12月31日までに退職した場合は退職月の翌月からは自分で納付
転職エージェントに相談だけはしておく
退職後にスムーズに転職活動ができるよう事前に転職エージェントに登録だけはしておきましょう。
新入社員の方が転職するなら「第二新卒(新卒入社で2~3年)」として見られるため、第二新卒に特化したキャリアスタートに登録しておくとご自身に合った転職先を探しやすいです。
【第二新卒に強い転職エージェント】
キャリアを再設計したい時はキャリアコーチングに相談する
- 自分だけのキャリア形成を再検討したい
- もっと自分にあった働き方を再検討したい
- 転職以外の選択肢もあるのではないか?
など、より幅広い視点で今後のご自身のキャリアを検討したい場合はキャリアコーチングに相談してみるのがおすすめ。
キャリアコーチングは就職支援ではなくあなただけのキャリア形成をするにはどうすればいいか?をサポートしてくれる支援サービス。学校や親では教えてくれない、転職・就職だけでは無い別の選択肢(独立・フリーランスなど)も含めたあなた自身にとって最適なキャリア構築の仕方を一緒になって考えてくれます。
変化が急激な時代です。
価値観や働き方などが多用に広がる中で、
- 本当に自分がやりたいこと
- 本当に自分にあったキャリア形成
をいま一度再検討する事は非常に理にかなっています。
- 会社勤めだと「違う」気がする
- 今の内に自分だけのキャリアを再検討したい
という方はキャリアコーチングに相談してご自身の今後のキャリア形成に活かしてください。
出来る限りの円満退社を
短期間で辞めてしまうとしてもそれまでにお世話になったことには違いありません。また、短期間で辞めてしまうことで会社側にある程度の負担をしいてしまったことも事実です。
「辞めるからどうでもいい」ではなく、「短期間での退職となり申し訳ございません。」「短い間ではありましたがありがとうございました。」など謝罪と感謝の意を伝えて最期まで円満退社を心がけてください。
トラブル無く退職する手順
法に則って辞める
民法第627条より、退職の自由は法で定められた労働者の権利であり、会社側には労働者の退職を拒否する権限はありません。
その為、法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して退職処理をすすめてください。
なお、中には就業規則により「退職は3ヶ月前に申請する」などと規定されていることもありますが就業規則には法的な絶対の効力があるわけでは無く、労働者側に対する会社からのお願い扱いとなります。
就業規則に従って辞めることに問題がない場合は従っても構いませんが、
- 辞めるまでの期間が長すぎて不都合
- 次の転職先との都合がある
など、早期に辞めなければならない場合は民法第627条に従って2週間で退職をしていただいて構いません。就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
退職届を渡す別の方法として
退職届を受け取ってもらえない、もしくは事情があって直接手渡すのが難しい場合(怪我・病気で会社に行くことが出来ない、など)は退職届を内容証明郵便で会社に送ってください。
配達記録が残り会社側に届いた(=退職の意思を会社に伝えた)ことが証拠として残ります。
有給を消化して辞める
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。また、退職すると有給の権利は消滅してしまいます。よって、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。
なお、有給の権利は
- 入社から6ヶ月間継続して働いている
- 労働日のうち8割以上出勤している
以上を満たしていれば10日間の有給休暇の権利が発生します。
勤務が1年間と短期間であっても有給の権利は発生していますので、辞める際は忘れずに有給を消化して退職しましょう。
どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
正社員を1年で辞めること自体は良いことでも悪いことでもなく、労働者の権利であり且つ選択肢の1つでしかありません。
大事なことは今の職場環境で苦しい思い・希望にそぐわない思いをしていないかどうか?です。
希望に沿った業務が出来ているなら無理に退職を検討することはありませんが、希望とは違い苦しい思いを続けているなら環境をより良いものに変えるべく退職や転職を検討してみてください。