「転職後のストレスのピークがきた」
「続けるべき?辞めるべき?」
転職後にストレスのピークを感じた際にどう判断・対処すべきか?について解説します。
転職後のストレスのピークは1ヶ月後に達することが多い
転職後の動きを見ていただくとわかるように、転職後にストレスを感じる人は少なくありません。
タイミングは人それぞれですが、一般的には転職して1ヶ月後にピークを感じる人が多いです。
転職は慣れるまで疲れるもの
職場のみならず不慣れな環境に身を置くとストレスを感じて疲れるのは自然なことですが、大事なことは『ストレスを感じる理由(原因)が何か?』になります。
原因がわからないままストレスを感じ続けると解決にならず、ひどい時はうつ病や適応障害などになる危険もあります。
そのため、転職先でのストレスを抱えた時は一度ストレスを感じる理由(原因)を棚卸ししてください。
転職したばかりでストレスがピークに達した時の対処法
「ストレス」と一言でいってもその内容は多岐に渡ります。
そのため、ご自身が感じているストレスの種類・理由を理解し、その上で対策を検討しましょう。
a.仕事に慣れていないが人間関係には問題が無い場合
転職後しばらくは職場のやり方に慣れるまで時間がかかるのは自然なことですから焦る必要はありません。
また、周囲の人間関係に問題が無ければ質問・相談によって徐々に環境に慣れていけば良いだけです。
中には「即戦力として入ったので、すぐに仕事ができないと」という人もいますが、実力があったとしても職場特有のやり方に慣れるまでは力を100%発揮できるわけではないので、焦って空回りしないよう徐々に慣らしていきましょう。
頑張り過ぎないで周囲への相談や運動を中心に心のケア
上手くできないことへのストレスは自分一人で頑張りすぎないで周囲への相談を繰り返して徐々に解決していきましょう。
また、ストレスに対しては定期的な運動(ウォーキング)なども効果的です
数多くの研究が、有酸素運動はうつ病や不安気分の改善に有効だと報告しています。 有酸素運動は強度や時間をコントロールしやすく、運動の実施という点から有利です。 運動強度が高いほうが抑うつ症状はより軽減する傾向がありますが、低強度であって も効果があります。
運動によるうつ病・うつ状態の予防に関する基礎知識
ストレスで気が滅入っている際は運動をすることで気分が和らぐことが研究でわかっています。
ウォーキングや軽めのランニングであっても一定の効果を実感出来ますので、鬱屈とした気持ちを抱え込まないよう、普段の生活に運動を取り入れて気持ちを整えていきましょう。
b.仕事には慣れたが人間関係には問題がある場合
人間関係に問題がある場合は話が変わります。
人間関係には「相性」がありますので、どうしても合わない人がいるのは仕方が無いことです。ですが、合わない人間関係はご自身に対して問題を引き起こします。
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が一定の割合を示しています。
つまり、職場の人間関係が合わなければ辞めたくなるほどの強いストレスがかかる、ということです。
例えば直属の上司と合わないとうつになるリスクもあります。
ストレスによる体調不良の責任はとってくれない
強いストレスがかかる状況が続くと体調不良をはじめ、うつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあります。その場合、仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく、その後の就職活動や社会復帰にも影響します。ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、うつや適応障害になる可能性があるなら我慢していまの職場に留まることなく、退職を最優先に動いてください。
社会的なダメージを負うリスクを背負ってまで今の職場で我慢する必要はなく、一番大事なことはご自身の身の安全です。
うつになる前に退職したことが良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
試用期間中の退職を検討した方が良いこともある
ご自身がストレスを感じている相手と和解することができるのか?問題のある相手とは、1度は話し合いの機会を持つことをおすすめします。
ですが、「それが難しい」もしくは「話し合いをしたけど溝が埋まらない」という際は割り切って職場を離れる選択肢も用意しましょう。
試用期間中の退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
転職後にしんどいと感じた時の退職手段
1.就業規則に則って辞める
辞める2ヶ月前に伝える、3ヶ月前に伝える、など会社特有の規定があるかと思いますので、原則は就業規則に従って退職手続きを進めましょう。
また、短期間勤務とは言え引き継ぎがあるなら引き継ぎ対応、もしくは引き継ぎマニュアルを用意しておきましょう。
2.労働条件に相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第十五条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
ストレスの理由が労働条件の相違にある場合、入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容の相違を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。
もし、聞き入れてもらえないようなら即日退職してしまい次のキャリアに切り替えた方が良いです。
3.ハラスメント被害を受けている場合
ストレスの理由が職場のハラスメント被害の場合、ご自身の身を守るためにも退職した方が良いです。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
4.合意退職の場合(民法第628条)
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
ストレスの理由が職場にあり、どうしても勤務の継続が難しいと感じた時はその旨を会社に伝えて合意退職を進めてください。
会社側としても勤務継続の意思が無い社員を長く留まらせることは会社の負担になることはわかっていますので、合意退職に応じてもらえることが少なくありません。
診断書を用意する
けがや病気はもちろん、「ハラスメント被害を受けている場合」でお伝えしたようにハラスメントを受けて精神的な問題を抱えてしまった場合は診断書を用意してドクターストップがかかったことを証明でれば会社に対して退職もやむを得ないと理解してもらいやすくなります。
口頭で伝えても納得してもらえない場合は診断書の用意も検討しましょう。
どうしてもの際は労働組合が運営する退職代行に依頼する
- 転職したばかりで退職を切り出しにくい
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 転職したばかりで退職を切り出しにくい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
転職後にストレスを感じるのは自然なことです。
不慣れな環境で辛くなるとすぐに辞めたいと思ってしまいがちですが、転職後のストレスは皆が通る道。そのため、で職場環境に不満が無ければ一旦気持ちを落ち着けて職場に慣れていく方が良いでしょう。
ですが、もしストレスの原因が人間関係やハラスメントなどにあるなら我慢する方がご自身にとって苦しくなるだけですので、その際は退職も視野に入れておきましょう。