仕事に行きたくないと拒否反応が出た時に何をすべきか?について解説します。
仕事に行きたくないと拒否反応が出たらどうする?
「仕事に行きたくない」「家にいたい」と思うようになり、会社のことを考えるだけで拒否反応が出るようになってきた
自分から出ている拒否反応のサインを確認する
【体のサイン】
- 食欲不振
- 眠れない
- だるい
- 疲れやすい
- 頭痛・肩こり
- 動悸
- めまい
- 口が乾きやすい
- 便秘やゲリ
- 吐き気
- 手が震える
- 立ち眩み
- 円形脱毛症
【心のサイン】
- ボーっとする
- イライラしやすい
- 不安がぬぐえない
- どうでもよくなる
- 何もしたくない
- 何かに追い詰められている(脅迫感や焦り)
- 自己肯定感が下がる
【仕事上のサイン】
- ミスが増える
- 遅刻する
- 電話が鳴ると怖い
- 言葉が出ない
拒否反応が出てきたと思ったら、念のためご自身の反応タイプを確認してください。上記にまとめた反応が出ていたら仕事に対する拒否反応と言えます。
拒否反応は身を守るためのサイン
拒否反応は仕事事態に対する拒否反応、もしくは職場にいる嫌な人に対する拒絶反応、いずれかに関与した症状となりますが、いずれの理由にせよ拒絶反応が出ているということは「これ以上無理をしてはいけない」という体からのSOSのサインとお考えください。
休む
拒否反応が出るほどに仕事に行きたくない、何もしたくない等と感じる場合、無理に出勤してはいけません。すぐに会社に連絡を入れて休みにしましょう。
拒否反応は精神的な問題ですが、精神的な問題は相手に理解されにくいため「具合が悪いので、急で申し訳ございませんが休ませてください。これから病院に向かいます。」などと伝えておくと良いでしょう
会社に休みを伝えたら最寄りの心療内科で診てもらってください。
診断書
会社があなたにとって精神的な問題を引き起こす原因となっている場合、その証明として診断書を用意してもらってください。
仕事に行きたくない気持ちが大きくなり、うつの診断までされたら完全にドクターストップ。ご自身の体と心を休めることを最優先しましょう。
診断書があれば職場環境があなたの体調不良に影響を与えていることを証明できますので、休職申請や異動・退職時に役立てることが出来ます。
なお、診断書は自分から要請する必要がありますので、診てもらう際は先生に診断書を書いてもらうよう伝えてください。
寝る
精神的な問題はその原因の1つとして睡眠との関係があることがわかっています。
そのため、気持ちを落ち着かせるためにも寝てください。もし眠れなくとも目を閉じてベッドに横になるだけでも構いません。
有給を取得する
精神的な問題は気持ちの持ちようで解決する話ではありません。そのため、物理的に今の職場から距離をおいて自分だけの落ち着ける環境を整える必要があります。
そこで、有給を利用して休みを取得しましょう。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。また、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生します。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、
有給休暇の付与日数|厚生労働省
一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければな
りません(労働基準法第39条)。
休職
有給とは別に休職を申し出ることも可能です。
休職は自分だけの時間を確保して休みを取得できるだけでなく、条件にもよりますが休職中に傷病手当金も申請しておけば働いていなくても給与が入ります。(傷病手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬日額の2/3です。)
なお、「会社に行けなくなった時の退職する方法と出勤困難症への対策」でも解説しましたが、休職を成立させやすくするためには心療内科から診断書を用意してもらいましょう。
【補足】傷病手当金の申請
休職中は給与が止まってしまうので傷病手当金を申請しておきましょう。なお有給を使うと傷病手当金の対象外になるので、傷病手当金の場合は休職扱いにしてもらいましょう。
運動する
数多くの研究が、有酸素運動はうつ病や不安気分の改善に有効だと報告しています。 有酸素運動は強度や時間をコントロールしやすく、運動の実施という点から有利です。 運動強度が高いほうが抑うつ症状はより軽減する傾向がありますが、低強度であって も効果があります。
精神的な問題に対して運動が高い効果を持つことは研究でわかっています。
強度の高い運動をする必要はありません。軽めのウォーキングやランニングでも十分ですので、心の問題が出た時は気持ちを抱え込まないよう運動をすることで気持ちを整えてみてください。
上司に相談
休息をとって落ち着いたら上司に相談してください。
この場合、下手に隠そうとすると相談にならないため
- 会社に行きたくない
- 行こうとすると拒否反応が出る
- 病院でも診てもらった
などと正直に伝えましょう。
- 原因が職場の何にあるのか?
- それは解決できる問題なのか?
- 難しい時はどうするか?
- もっと休む期間を設けるべきか?
など、現状に対する会社としての対応がどこまで可能なのか?を相談し、今後の着地点を用意しましょう。
行きたくない原因が上司の場合は以下の記事をご参考になさってください。
外部機関に相談する
社内の人間に相談するのが難しい時は社外の相談窓口に助けを求めましょう。
問題解決に向けて第三者機関が悩みに対するアドバイスをしてくれます。
異動
部署異動ができる規模の会社であれば異動により物理的にいまの職場環境を変えるという選択肢もあります。
異動することで現在の職場とまったく関りが無くなるならあなたにとっての環境改善に繋がります。
ただし、異動制度が無い、異動しても前の職場と関りが続く、となれば異動ではなく退職を選択した方が良いです。
退職
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められており、会社にはその権利を拒否する力はありません。会社に居続けることが難しいとなれば退職してしまいましょう。
原則として退職は社内規定に従い退職処理を進めたほうが好ましいですが、どうしても耐えられない・すぐにでも辞めたいという時は民法に従って14日で辞めてしまいましょう。仮に社内規則で「辞める1、2ヶ月前に退職申請する」などと規定があったとしても民法が優先されるので14日で退職は成立します。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
また、場合によっては民法第628条によりやむを得ない事由と判断され、会社と労働者の双方合意による即日退職になるケースもあります。
どうしても辞めたいほどの状況になった時は、無事退職処理を進める際に以下の記事もご参考になさってください。
拒否反応が起こる原因
人間関係
職場の人間関係は労働者にとっての強いストレスになります。
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が一定の割合を示しています。
人間誰しも相性があるので「どうしても一緒に居たくない」という人が職場にいると職場に行きたくない理由になり得ます。
ハラスメント
厚生労働省が運営する「あかるい職場応援団」によると年々パワハラの被害が増えていることが確認されています。
ハラスメントの影響で職場環境に我慢できず会社を思うと拒否反応が起こることは十分に考えられます。
ハラスメントは違法行為
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
なお、ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、ハラスメント被害を受けているなら我慢する必要はありません。会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメントで会社に行きたくないと感じた時の対策についてより詳しくは、以下の記事もご参考になさってください。
仕事内容
仕事内容が自分に合わないことで強いストレスを感じることがあります。
この場合、今の職場で我慢していても問題は解決しません。異動や転職、キャリアコーチングなどによってご自身に合った職場環境に身を置くようにしてください。
労働条件の相違であれば違法
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
入社時に会社から受け取った雇用契約書と実際の現場での労働条件・仕事内容が異なる場合、労働基準法第十五条違反に該当します。
希望しない業務を行うことで精神的なストレスを感じることは少なくありません。
入社当時に定められていた雇用契約書と実際の労働条件が異なる場合、その旨を会社に伝えて労働環境や業務内容を是正してもらいましょう。そして、聞き入れてもらえない場合は即日退職により別の転職先を探すことも検討に入れてください。
過労・長時間労働
残業や休日出勤などの長時間勤務は体をむしばむ原因になります。
「休みなしで働く人が持つリスクと今の状況を打破するためにすべきこと」でも解説していますが、働き過ぎは健康被害に繋がります。
働き過ぎにより睡眠時間の確保が困難になるとメンタルヘルスの不調にも影響し、うつ病・適応障害などの原因にもなります。
ストレスや恐怖
職場環境・仕事内容・お客様、あらゆる可能性がありますが仕事を通じてストレスや恐怖を感じていると仕事に行きたくなくなります。
特に「逃げ道」を用意出来ないと気持ちが追い込まれてしまいストレスが増加します。仕事に悩みに対して相談先が無い人はストレスや恐怖が自身に溜まりやすいと言えます。
どうしても我慢できない時の退職の手順
【重要】うつや適応障害になっても会社は責任をとらない
先に理解してもらいたいのが会社に行きたくない状態で我慢し続け、うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
ですが、ご自身のプライベート、つまりその後のあなたの人生を会社が守ってくれることはありません。つまり、精神疾患になるとあなただけが損をしてしまうだけだけになります。
鬱になるリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありませんので、鬱になる可能性を感じたなら我慢していまの職場に留まることなく休職・異動・退職を最優先に検討してください。
うつになる前に退職した方が良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
バックレは避ける
拒否反応を起こすほどに辛い状況だからといっても、残念ながら日本の法律では原則として無断欠勤・バックレは認められていません。
無断欠勤やバックレを行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があり、中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝える義務があるので転職時にマイナスな印象を与えることになる
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、労働者側にメリットはありません。
辛い状況でこのような提案をするのは酷だとも思ってはいるのですが、バックレにはリスクが多いので、会社を辞める際は必ず退職の旨を職場に伝えてください。
法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
派遣・契約社員の場合
派遣や契約社員という期間の定めのある雇用(有期雇用契約)の場合、原則として契約期間満了を持って退職が成立します。
退職期間終了のタイミングであればまだしも、契約途中で辞める際は以下の条件に該当する必要があります。
- 勤務期間が1年以上経過していれば労働者側の希望で即日退職が可能(労働基準法137条)
- やむを得ない事由を会社に伝えて退職(民法第628条、病気や怪我、家族の問題などで働くことが出来ないなどの場合)
- 労働条件の相違による即日退職(労働基準法第15条)
- ハラスメント被害による退職(労働契約法5条、パワハラ防止対策義務化)
どの条件に該当するか?ご状況に合わせて派遣元に連絡して辞めさせてもらいましょう。
パート・バイトの場合
パートやバイトの場合は契約内容によります。具体的には契約内容に労働契約が期間の定めがあるか無いか?によります。
期間の定めが無い場合は正社員の辞め方を、期間の定めがある場合は派遣・契約社員の辞め方となりますので、労働条件通知書の内容を踏まえて判断しましょう。
退職代行に相談する
- 自分から切り出すのが怖い
- でも、もう耐えられないからどうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
仕事に行きたくないからと拒否反応まであらわれるようになったら異常事態です。我慢して良いわけがありません。
まずは休みの連絡を入れてすぐに会社に行かない状態に資、その後もしばらくは休み期間を用意して落ち着いてきたら今後のことについてじっくり考えてください。
会社は今の職場だけではありません。他にもあなたにあった活躍ができる職場はありますので、今の職場に留まることにこだわらず広く別の可能性を探っていきましょう。