上司に対して拒絶反応が出てしまうほど嫌いな場合、その状況を放置しておくとご自身の心身を害することになります。
そこで本記事では、嫌な上司が職場に居る際にあらかじめ試してみて欲しいご自身の身を守るための対策案について解説します。
上司が嫌いで拒絶反応が出るなら放置はマズい
職場の上司が嫌いで身体的に拒絶反応(拒否反応)が出るレベルなら放置はマズいです。早急に対処しないとご自身の心身が潰れます。
例えばハラスメントが酷い・議論にならない・感情的になる・無視される、などが常態化しているとうつや適応障害などの精神疾患になる可能性もあります。
拒否反応まで出る状態は決して軽く見ることはできません。ご自身の健康を害する状況であり仕事云々を考えている場合ではないほどの危険な状態だと認識した方が良いでしょう。
嫌いな人への拒絶反応で泣くか震えがあるレベルの場合
嫌いな上司に会う、もしくは嫌いな上司のことを考えるだけでも泣いてしまうのであれば、あなたの体と心がSOSのサインを出している状況。
また、泣いてしまうだけでなく吐き気や頭痛、動悸、震えなどの拒絶反応も起こったときは回避性パーソナリティ障害であることを疑ってください。
回避性パーソナリティ障害は、拒絶、批判、または屈辱を受けるリスクのある社会的状況や交流を回避することを特徴とします。
回避性パーソナリティ障害(AVPD) – 10. 心の健康問題 – MSDマニュアル家庭版
回避性パーソナリティ障害になると対処法として認知行動療法、他の精神療法、抗不安薬や抗うつ薬が有益とされていることからうつ病に近しい状態にある、と理解した方が良いです。
嫌いな人への拒絶反応は病気の症状と考える
つまり、拒絶反応が起こったら精神的なものだからと楽観視せず、ご自身が「病気にかかっている」と考えて真摯に対策する必要がある状態であると思ってください。
そのまま放置してしまうと家に帰っても不安がぬぐえない、仕事のことを考えると震えてしまう、などプライベートにも影響が出てしまい更に症状が悪化してしまいます。
そのため、拒絶反応が起こったら早々に心療内科や精神科等に早々に診てもらいましょう。
ネチネチ上司が相手だとうつになりやすい
特にネチネチと嫌味を言い続ける上司に当たってしまうと、毎日ネチネチ言われ続けることで精神的に疲労してうつになりやすいもの。
一見すると身体的な暴力が無いので理解されにくいですが、言葉の暴力を毎日浴び続ければ精神的にまいってしまいます。
上司に対して拒否反応が出ているなら休もう
決して今の状態で我慢し続けてはいけません。体に拒否反応がでている場合、「休む」か「辞める」かしていまの状況を強制的にでも変えなければ回復は見込めません。
上司に対して拒絶反応が出るほど気持ちが追い込まれているときは以下の記事もご参考になさってください
参考記事:仕事に行きたくないと拒否反応が出たら異動や退職を検討した方が良い
診断書を用意する
なお、メンタルトラブルは周囲に理解してもらうのが難しいため、心療内科の医師(もしくは勤め先の産業医)に診断してもらい医学的にご自身の状態を証明してください。
また、診断結果から鬱や適応障害などと判断され、且ついまの職場環境に原因があることがわかったら診断書を用意してもらいましょう。診断書があれば退職や休職の正当性を証明することができるので退職や休職が成立します。
【重要】うつや適応障害になっても会社は責任をとらない
鬱になることはあなたの責任ではないのであなた自身は何も悪くありません。ですが、うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、再就職・社会復帰への不安を感じ続けることにもなりますが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、鬱になる可能性を感じたなら我慢していまの職場に留まることなく、異動や退職を最優先に検討してください。鬱になるリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。
うつになる前に退職した方が良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
多くの会社で職場の人間関係トラブルがある
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が男女、年齢問わず一定の割合を示しています。
そのため、人間関係トラブルは多くの会社に存在しており、悩んでいる人も多いということになります。
だからこそ拒否反応状態に対しては漫然と放置せずに対策すべき。
具体的には以下を試してみてください。
上司が嫌いでうつになる前に試して欲しい対策案
1.上司よりも立場の上の人か人事部に相談する
本来、問題があれば直属の上司に相談するものですが、直属の上司が問題の原因となっている場合は更に上の上司に相談してください。もしそれが難しい場合は人事部に相談しましょう。
どうして嫌いなのか?その原因は何か?を客観的に相談相手に伝えることで解決に繋げます。
2.ハラスメント被害を受けている際の相談先
パワハラ・セクハラ・いじめなどハラスメントの被害を受けている場合は「1.」と同様、更に上の上司もしくは人事部に相談してください。
個別に相談の時間を設けてもらい、具体的にいつからどの様な被害を受けているのか?を伝えて問題解決に繋げます。
3.外部機関に相談する
社内の人間に相談するのが難しい時は社外の相談窓口に助けを求めましょう。
問題解決に向けて第三者機関が悩みに対するアドバイスをしてくれます。
4.正直に気持ちを伝える
いまあなたが思っていることを正直に伝えましょう。周囲の目が届かない場所に呼び出し、一対一で伝えてください。
なお、「正直に伝えるのも嫌」というぐらい気持ちが追い込まれているときは無理する必要はありません。代わりにメールで正直な気持ちを書き記して送ってください。
なお、正直に伝えることで相手の気持ちを逆なでしてしまうこともありますので、「最悪の場合は喧嘩する可能性もある」と決意してから伝えた方が良いでしょう。
どうしても上司と揉めてしまったときは以下の記事もご参考になさってください。
5.有給で休む
どうしても耐えられない時は物理的に距離を置いて気持ちを休める期間を設けてください。
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。また、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生します。
業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、
有給休暇の付与日数|厚生労働省
一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければな
りません(労働基準法第39条)。
そのため、有給を申請して休みをもらい上司と会わない時間を作って気持ちを整えてください。
有給を申請したけど取得が難しいと言われ時の対策について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
6.休職で休む
有給とは別に休職を申し出ることも可能です。
休職は自分だけの時間を確保して休みを取得できるだけでなく、条件にもよりますが休職中に傷病手当金も申請しておけば働いていなくても給与が入ります。(傷病手当金の1日あたりの支給額は、標準報酬日額の2/3です。)
なお、「会社に行けなくなった時の退職する方法と出勤困難症への対策」でも解説しましたが、休職を成立させやすくするためには心療内科から診断書を用意してもらいましょう。
7.運動する
数多くの研究が、有酸素運動はうつ病や不安気分の改善に有効だと報告しています。 有酸素運動は強度や時間をコントロールしやすく、運動の実施という点から有利です。 運動強度が高いほうが抑うつ症状はより軽減する傾向がありますが、低強度であって も効果があります。
運動によるうつ病・うつ状態の予防に関する基礎知識
ストレスで気が滅入っている際は運動をすることで気分が和らぐことが研究でわかっています。
ウォーキングや軽めのランニングであっても一定の効果を実感出来ますので、鬱屈とした気持ちを抱え込まないよう、嫌なことがあっても運動をして気持ちを整えてみてください。
【対策】どうしてもの場合は会社を辞める
【注意】バックレ・無断欠勤による即日退職は違法なので控える
民法第627条があるため、一部の条件を除き原則として即日退職は認められていません。そのため、いくら上司が嫌だからといってもバックレや無断欠勤による即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
以上のことからバックレや無断欠勤は退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。
そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えてください。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
1.法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
退職は最短で退職の2週間前から辞める旨を申告しておけば退職が成立し、会社側には労働者の退職を拒否する権限はありません。
仮に雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
そのため、「どうしても辞めたい」というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を直接渡す以外の形で辞める意思表示をする場合
- 配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送する
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を明確に伝えましょう。
上述した民法に従い、解約の申入れの日から2週間経過すると退職が成立します。
2.違法性を指摘して辞める
もし嫌な上司からハラスメント被害を受けているなら労働契約法5条違反、及びハラスメント防止法違反に該当します。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
そのため、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.労働基準監督署に相談する
法に則って退職を申し出ても辞めさせてくれない場合、労働基準監督署に相談という手段もあります。
相談内容をもとに労働基準法違反と認められた場合、会社へ指導や是正勧告をしてもらうことが出来ます。
ただし、労働基準監督署はその立場からあくまで指導や是正勧告となり、個人のトラブル解決をかならず保証してくれるわけではありませんし、相談するにも用意する資料が多岐に渡ります。
そのため、
- 指導を受けたが一向に是正されない(退職が出来ない)
- 労働基準監督署に用意する資料を集めるのが大変
という方は以下の方法を検討してください。
4.どうしてもの場合は退職代行に相談する
- 自分から退職を切り出せない
- 嫌な上司と話もしたくない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- 切り出したとしても辞めさせてもらえない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
どうしても会わない相手はいます。それが上司なら職場環境はかなり苦しいものかと思います。
その為、精神的に疲弊して追い込まれないよう事前に対策やご自身にとっての逃げ道を用意しておいてください。
一番に考えるべきは会社や職場環境では無くご自身の心身の安全です。
相談先があるならまずは相談して対応を検討し、どうしても相談しようがないし、現場の環境も変わりようがない、という事であれば退職を検討してください。