派遣を辞めたいけど気まずさを感じるので退職を申し出ることが難しい、という時の考え方と対処法について解説します。
派遣を辞めるのが気まずいと感じる人は多い
まだ一年しか経っていませんが、お世話になったのに辞めることは私から上司に言わずに、派遣会社から伝わると思うと気まずくて、、、
Yahoo!知恵袋
いつ伝わるかもわからないし、皆さんはどんな感じでしたか??
気まずくならなかったでしょうか
派遣社員として新しい派遣先で働いて2ヶ月が経ちました。少しずつ仕事も慣れてきた頃に同棲中の彼氏が転勤…
Yahoo!知恵袋
しかも今日伝えられて9月には引っ越さないといけない…
仕事を始めて覚えたところなのに辞めるのも気まずいけど1年半くらい同棲していて結婚も考えています。皆さんならどうしますか。
理由は個々人で異なるにせよ、派遣先の職場を辞める際に気まずさを感じる人は少なくありません。
派遣を辞めると言いづらいのは割り切るしかない
派遣だけに限りませんが、職場やグループを辞める・抜けるということは言いづらいものです。
これは「仕方のないこと」として割り切るしかありませんし、気まずくない辞め方は無いと考えた方が適切。退職時に労働者側ができることは、できる限りトラブルにならず、周囲に迷惑をかけないように辞めるだけしかありません。
自分のできるギリギリまで丁寧に対応したら、それ以上はどうしようもないこととして割り切って退職処理を進めてください。
なお、派遣を辞める際の過ごし方や注意点については以下を続けてご参考になさってください。
派遣を辞めるまでの過ごし方
派遣の更新をしないでも円満で辞められる退職理由
契約更新をせずに辞める理由を伝える相手は基本的には派遣会社となりますが、派遣先の職場でも伝えなくてはくてはいけないこともあります。
派遣先の職場に対しては「契約満了なので」「子育てのため」など誰もが傷つかない理由を伝えてください。派遣会社に対しては同様に無難な理由でも構いませんが、派遣先で感じた本音を伝えても構いません。ただし、感情論になると心証が悪くなるので、淡々と事実だけ伝えてるのが良いでしょう。
退職の申し出は派遣会社にする
退職の申し出は派遣会社にしてください。先に派遣先で漏らしてしまうと場が混乱する原因になります。
派遣元に相談後、お互いの確認が取れた上で派遣先にも契約満了の旨を伝えましょう。
契約期間を全うする
雇用期間が定められている派遣契約は契約期間を全うすることが原則。そのため、辞める際は契約更新のタイミングで「更新しない」と伝えて辞めましょう。
1ヶ月以上前には伝える
なお、退職の切り出しは早ければ早いほど好まれますが、マナーを踏まえた上で目安としては辞める1ヶ月前を目途にすると良いでしょう。
可能な限り繁忙期は避ける
繁忙期に退職の時期が重なると派遣先にも影響が出ます。契約更新のタイミングにもよりますが、どうしても契約満了のタイミングが繁忙期と重なり派遣先に影響がある場合は繁忙期の短期間だけ更新することも検討してみてください。
もちろん契約期間満了で辞めることが最優先されるので強制ではありませんので、繁忙期と契約満了時期が重なり、辞めざるを得ない状況であれば辞めていただいても問題はありません。
引き継ぎを行う
退職前にあなたがいない間にも業務が滞らないよう引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
辞める前に職場で挨拶を行う
本来の雇用主は派遣会社になるので派遣先で挨拶をしなくても問題はありません。
ですがが、円滑に辞めるのであれば退職が決まった際、および退職最終日に改めて退職の挨拶をしましょう。
すぐにでも辞めたいけれど気まずくて伝えられない場合
- 派遣先が合わないので辞めたい
- でも契約途中なので辞めにくい
という方は、勤務し続けてもご自身を消耗させてしまうだけなので、たとえ気まずくても退職を申し出た方が良いです。
「気まずいけど辞めたい」という時の辞め方としては以下を注意して退職処理を進めてください。
【大事】我慢してはいけない
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」という理由が一定の割合を示しています。
人間関係や労働環境が合わなければ辞めたくなるほどの強いストレスがかかる、ということです。
職場環境や人間関係が影響して気持ちが持たなくなりそうなときは以下の記事もご参考になさってください。
うつや適応障害になるリスクがある
いまの職場に居続けるのが難しいという状態にも拘わらず我慢して働き続けることだけは避けてください。辞めたいのに辞められない状況が続くとうつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあります。
会社は責任をとってくれない
うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく社会復帰にも影響します。ですが、ご自身の社会復帰やプライベートまでを会社が守ってくれることはありません。
そのため、うつや適応障害になる可能性があるなら我慢していまの職場に留まることなく、退職を最優先に動いてください。
うつになる前に退職したことが良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
バックレは避ける
派遣の契約途中で絶対に避けたいのがバックレです。
仮に辞めることに気まずさを感じていたとしてもバックレだけは避けてください。
原則としてバックレによる退職は認められていません。そのため、バックレを行うと違法行為となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
辞めるならまずは派遣元に相談し、法に則って辞めましょう。
派遣会社に相談して辞める
基本は「退職の申し出は派遣会社にする」でもお伝えしたように派遣会社に相談の連絡をしてください。
相談の上、辞め方・タイミングを協議します。
契約期間途中でも辞めることも可能
派遣は基本的に有期雇用契約(期限の定めのある契約)となるので、契約期間満了までの勤務が義務付けられますが、突発的なトラブルにより勤務の継続が難しくなった場合は例外的に派遣の契約期間途中でも退職できる事があります。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第六百二十八条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
有期雇用契約であっても、民法628条より「やむを得ない事由」がある場合は雇用解除が可能になります。
やむを得ない事由とは例えば以下が該当します。
【やむを得ない事由の例】
- 契約外の仕事をさせられる
- 使用者が労働者の生命・身体に危険を及ぼす労働を命じた
- 派遣先の上司からパワハラやモラハラを受けている
- 賃金不払いなどの重要な債務不履行が発生した
- 労働者自身が負傷・疾病・心身の障害などにより就業不能に陥った
- 親や家族の介護が必要になった
- 家族の転勤などにより急な引っ越しが決まった
- 業務内容が法令に違反している
- 両親や子供の病気、または介護など
など
派遣社員に正社員の退職届のような形式的な退職書類は存在しないので、辞めたいときは電話で「申し訳ないのですが派遣を辞めたいです。理由は○○○○です」と事情を伝えてください。派遣元に事情が理解されたら合意退職が成立します。
契約期間途中の退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
勤務期間が1年以上経過している場合
第百三十七条 期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が一年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第十四条第一項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成十五年法律第百四号)附則第三条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第六百二十八条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
労働基準法137条
派遣会社と有期雇用派遣として契約をしている状況であっても、労働基準法137条より勤務期間が1年以上経過している場合に限り労働者側の希望するタイミングでいつでも退職ができるため即時解約(即日退職)が成立します。つまり、1年を経過していれば「派遣を今日で辞めます」と伝えても法律上は成立します。
ただし、あくまでもこの規定は契約期間が1年を越える場合を想定したものであり、3ヶ月、半年という1年未満の契約を繰り返して累計1年という場合は適用外である点にご注意ください。
派遣を即日辞める方法について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
どうしても際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
派遣・正社員などの契約形態問わず対応してくれるのはもちろん、確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があります。
そのため、あなたが
- 自分から退職を切り出すのが難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
派遣に限らず退職を伝える際に気まずくなるのは自然なことです。そのため「そういうものだ」と割り切ってしまいましょう。退職時に不義理な対応をしない限りは相手側も悪く感じることはありませんので。
ですが、「どうしても辞めたいけど、辞めると言い出しにくい」という意味合いでの気まずさであれば話は別。本記事でお伝えしたように、我慢する必要はありませんのでまずは派遣元に相談して今後の対応を検討してみてください。