「辞める際に欠勤を利用したい」
退職に際して欠勤を活用する際の注意点について解説します。
有給を使い切った後に欠勤で退職する際の注意点
退職時の有給消化で退職日までに有給の日数が足りない場合、残り日数を欠勤にして退職することは可能です。
ただし、欠勤は万能ではありません。
詳しくは「退職日まで欠勤するなら体調不良か退職代行のみで出社拒否は避けよう」の記事でもお伝えしていますが、退職まで欠勤を活用する際の大枠として押さえておくべきは以下となります。
1.有給を使い切った後に欠勤を利用してクビになる可能性
欠勤=即クビにはなりませんが、
- 普段から欠勤が多すぎる(※)
- 勤務態度に問題があり指摘しても改善されない
(※)目安として通常勤務の8割未満しか勤務が出来ない場合
という場合、労働者として会社に対する責務を果たしていないと判断されて退職する前にクビにされる可能性があります。
そのため、普段から欠勤を多用している方は欠勤を利用した退職をする前に、クビになってしまわないか?を会社側に確認した方が良いです。
2.欠勤扱いで退職した際は給料が減額される
欠勤は業務不履行の状態を指すので欠勤すると給料が支払われません。欠勤した日の分が差し引かれます。
ノーワーク・ノーペイの原則
(賃金の支払)
労働基準法24条
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法24条にて労働者への賃金に対する原則が規定されていますが、労働基準法24条はノーワーク・ノーペイの原則とも呼ばれており、労働者が労働を提供していない場合、つまり欠勤により働いていない場合、会社側はその部分についての賃金を支払う義務はないという原則があります。
月給が満額ではなくなることも
退職日までの残り日数を消化する際に欠勤を用いると、欠勤期間分は会社からの給与が差し引かれることになります。
よって、有給を使い切った後に欠勤すると月給を満額で得られなくなる可能性は予め理解しておきましょう。
3.欠勤は法的な定義が無い
欠勤に対して法的な定義は存在していませんので、欠勤への理解は労働者の会社に対する労働提供義務の不履行として判断されます。
つまり、「会社に求められる仕事ができなかった」という扱いです。
この解釈をどう捉えるか?は所属する会社ごとに異なるので、欠勤に関する社内のルールがあるようでしたら予め確認しておきましょう。
4.無断欠勤によるバックレ退職は避ける
欠勤にも普通の欠勤(事前に会社に伝える)と無断欠勤があり、無断欠勤をして退職すると民法709条による不法行為に該当してしまいます。
(不法行為による損害賠償)
民法709条
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
不法行為なので会社側は無断退職した本人を訴えることも可能。場合によっては損害賠償を請求することもできます。
欠勤を利用して退職する場合は無断欠勤にならないよう、必ず事前に会社に欠勤相談をしてください。
無断欠勤と退職について詳しくは以下の記事をご参考になさってください。
5.体調不良や子供の問題など、やむを得ない際に使う
欠勤は休む際の最終手段となるのでやむを得ない時に利用する制度と考えておいた方が良いです。
「有給を使い切った、でも体調不良で休む必要がある」「有給は使い切ったけど子供の看病で休みたい」など、どうしようもない事情があるときに相談すると会社側も一定の理解を示してくれやすいものです。
そのため、決して欠勤は乱発せず、どうしようもない事情がある時の最終手段として申し出てください。
伝えにくい時は退職代行に相談する
- 退職時に欠勤を使いたいが伝えにくい
- でも、会社に行かずに辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
あなたに代わり、会社に欠勤を申し出た上で退職処理を進めてくれます。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、欠勤の申し出以外にも希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれます。
そのため、あなたが
- 退職時に欠勤の相談を切り出すのは難しい
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
欠勤の利用は法的な規則がないので、会社によっては扱いが難しい面もあります。ですが、どうしてもの際は選択肢になることも事実です。
事情があって会社に行かずに辞めたい、その際に欠勤しか選択肢がないという時は会社に相談した上で欠勤を利用した退職を検討してみてください。
そして、もし会社側との話がつかないようであれば退職代行の利用も選択肢として用意しておきましょう。