知恵袋やSNSでも多い有給休暇が残ったまま退職した場合の悩みに対する正しい理解、対処法について解説します。
知恵袋でよく見る有給休暇が残ったまま退職した場合の悩み
有給が30日ほど残っていますが、消化しきれないまま退職日になってしまう予定です。
就業規則を見ましたが、その辺に関する規定はありませんでした。これは会社から私に何か言わなければ、買取も何もなく退職になるのでしょうか?
有給が30日ほど残っていますが、消化しきれないまま退職日になってしまう予定… – Yahoo!知恵袋
今月末に退職します。
今月末に退職します。有給休暇を残したまま退職は可能ですか? – 有休休暇を残… – Yahoo!知恵袋
有給休暇を残したまま退職は可能ですか?
有給休暇を取りたくても人手不足で1回も使えないまま退職する場合は有給はお金として買い上げて貰えるのでしょうか?
有給休暇を取りたくても人手不足で1回も使えないまま退職する場合は有給はお金と… – Yahoo!知恵袋
ちなみに有給は10日ほど残ってます
SNSでも有給未消化の悩みは多い
そもそも有給を取得させない会社もいまだに少なくないので、辞めるまでの有給消化で悩む人が多いのも致し方が無い面もあります。
有給の取得に難がある場合は以下の記事もご参考になさってください。
有給休暇が残ったまま辞めるとどうなる?
有給の権利が残っていたまま辞めると権利は消滅します。
そのため、辞める前に有給消化を済まさないことには労働者側からすると「せっかくの権利なのにもったいない」となります。
有給休暇の消化は法で定められた権利
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。よって、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。
なお、有給は正社員だけの権利ではなく正社員、派遣、パート問わず条件を満たせば有給という権利が皆一様に発生しますので雇用契約内容に関わらず有給の条件を満たしていれば誰でも有給を申請・消化することが可能です。
退職に有給消化できないと言われたとしても従う必要はない
有給は原則として労働者側の裁量で権利を行使することが出来ます。よって、仮に退職時に「有給消化を認めない」と会社側から言われたとしても従う必要はなく、拒否が出来ます。
有給の拒否に対する対策について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
急な退職になり仕方なしに残った有給休暇を買い取ることはある
原則としては有給休暇の買取りは労働基準法で禁止されている行為。そのため、絶対に買い取ってもらえるわけではありません。
ただし、「労働基準法を上回る日数の有給休暇が付与されており、退職時に使い切れていない」という特殊な事情がある場合に限り残った休暇を会社が買い上げることは認められています。
そのため、買取を前提として考えるのではなく、基本的には「有給は消化するもの」として理解しておきましょう。
辞めること前提であれば時季変更権に従う必要は無い
有給に対して会社側にも「時季変更権(会社が労働者の有給取得日の時期をずらせる権利)」がありますが、有給消化と同時に退職予定の労働者に対しては会社からの時季変更権は成立しません。
時季変更権は退職予定日を超えた行使はできないため、有給消化後に退職してしまうということは他の時季に有給休暇を与えることができないということになり、時季変更権を行使することができなくなります。よって、有給申請者の請求が通ります。
つまり、有給を利用すれば自分が辞めたいというタイミングで意図的に辞めることができます。
有給と退職処理について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
引き継ぎは義務ではないし、拒否もできる
退職時の有給消化に対しては「引き継ぎ」という問題が付いて回ることが多く、引き継ぎが出来なければ有給を認めないという職場も少なくありません。
ですが、引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。つまり、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
一方、有給は労働者の権利として法で定められています。
つまり、「有給の行使」と「引き継ぎ」に対しては有給の行使の方が強制力があるので仮に引き継ぎが出来ていない場合であっても有給消化をさせることは可能です。
もちろん円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応で有給行使をしても退職は成立します。
損害賠償を心配する必要はない
(賠償予定の禁止)
労働基準法第16条
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、有給を認めてくれない会社で強引に有給の権利を行使して退職したとしても損害賠償を義務付けることは出来ません。
損害賠償は第三者が見ても辞めることで会社に多大な悪影響を残したときに検討されます。例えば退職時に多くの同僚を一緒に引き抜いて辞めた、退職時に会社のインサイダー情報を公開した、などが該当します。
そのため、ただ権利を行使して有給を消化し退職するだけであれば会社に多大な悪影響を残したとは認められにくいので原則として退職時の損害賠償は気にする必要はありません。
どうしても際は退職代行に相談する
- 有給を切り出して退職するのが難しい
- でも、泣き寝入りをしたくない
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
労働組合であれば有給消化や未払いの交渉もしてくれ、その上で確実に退職が成立します。
実質の即日退職も可能
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 有給消化や未払いの交渉
等があります。
そのため、あなたが
- 有給を切り出して退職するのが難しい
- でも、泣き寝入りをしたくない
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
有給を取得しにくいと感じる人は少なくありませんが、有給は労働者の権利ですので権利を行使することに遠慮する必要はありません。
泣き寝入りする必要もありませんので、有給の権利をお持ちであれば退職前に有給消化をしてしまいましょう。
もしご自身で有給と退職の処理が難しい時は労働組合が運営する退職代行サービスを間に介してスムーズな退職処理を進めてください。