仕事がトラブル続きで辞めたいと感じることはよくあるものです。そんなときは、問題を自分で解決することができるかどうかを判断し、且つそもそも自分が何を求めているのかを明確にした上で対処法を探っていくことが大切です。
そこで本記事では仕事がトラブル続きで辞めたい時の対処法について解説します。
仕事がトラブル続きで辞めたい時の対処法
トラブルの原因を把握する
トラブル続きだと心身共に疲弊してしまい冷静な判断ができてない可能性があるので、まずは冷静に現状理解をしてください。そのためにも今の状況を言語化してみましょう。
仕事で不満だったことや嫌なことを紙やスマホのメモ帳などに書き出すことで、現状理解と辞めたい理由が明確化されます。感情論での判断ではなく、論理的に不満や嫌なことを整理することで本当に辞めたい理由を見つけ、その上で辞めるか続けるか?を判断します。
カタルシス効果を狙う
なお、言語化することで心が軽くなることを心理学では「カタルシス効果」といいます。
カタルシス効果は不安や不満、イライラや悲しみなどネガティブな感情を口に出すと苦痛が緩和され、安心感を得られる現象のことで、自己完結で得られるのはもちろん、他者との交流によっても得ることが可能です。
トラブルの原因を言語化することでネガティブな現状を冷静に理解する際にぴったりの手法と言えます。
自分で解決できるか?できないか?を見極める
言語化することで自分で解決できるか?できないか?を見極めてください。
a.自身で乗り越える場合
自分で解決できるものは自己解決を探ります。仮にスキルが足りないのであればその分のスキルを磨き乗り越えることでこの先も対処できるようになり、再発を防ぐことが出来ます。
b.上司や同僚に相談する場合
自分で解決できないものについては自分で抱え込んでいてもそれ以上の進展はありません。その他、上司や先輩などのサポートを求めてトラブル解決に繋げていきましょう。
c.外部の人間に相談する場合
信頼できる社外の友人やSNSなどを介して知り合った自分の業界に強い人など、外部の人間に相談するのも選択肢になります。
なお、相談内容が労務問題に関わる場合は厚生労働の相談窓口に相談してみましょう。
仕事がトラブル続きで悩む人は多い
トラブル続きで疲れたと感じる人も
【大事】職場環境は退職に影響する
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「仕事の内容に興味を持てなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」という理由が一定の割合を示しています。
人間関係や労働環境が合わなければ強いストレスがかかるので、その影響で辞めたくなるのは自然なこと、ということです。
トラブル続きの場合、今の職場環境が御自身と合っていない可能性もあります。そのため、今後について検討する際は以下の記事を併せて参考になさってください。
仕事がトラブルばかりで解決見込みがない時の選択肢
バックレは避ける
どれだけトラブル続きで嫌な職場だったとしてもバックレだけは避けてください。
バックレによる退職は認められていないため、バックレを行うと違法行為と扱われて労働者であるあなたに対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
バックレは労働者にとってデメリットが大きすぎます。そのため、どうしても辞めたい時は法に則って確実に・安全に辞めましょう。
異動を申し出る
部署異動ができる規模の会社であれば異動により物理的にいまの職場環境を変える、という選択肢もあります。
異動することで現在の職場とまったく関りが無くなるなら心機一転でより改善された環境で働くこともできるでしょう。
ただし、異動制度が無い、異動しても前の職場と関りが続く、となれば環境が変わらない可能性が高いので異動ではなく退職を選択した方が良いです。
退職を申し出る
- どうやっても職場環境が改善しない
- ハラスメント被害に遭っている
という場合は退職を申し出て次の環境に目を向けていきましょう。
民法第627条に基づき辞める
原則として退職は社内規定に従い退職処理を進めたほうが好ましいですが、どうしても耐えられない・すぐにでも辞めたいという時は民法に従って14日という早期で辞めてしまいましょう。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められており、会社にはその権利を拒否する力はありません。
仮に社内規則で「辞める1、2ヶ月前に退職申請する」などと規定があったとしても民法が優先されるので14日で退職は成立します。
労働契約法5条に基づき辞める
ハラスメント被害にあっている場合はご自身の身の安全を第一に早々に退職処理を進めてください。
あまりにも公平性の無い仕事量を割り振られること、業務上のミスについて周囲に人がいるところで叱責されたり見せしめ的扱いを受ける、などはパワハラ6種型に該当する職場のパワーハラスメントとして認められることもあります。
加えて、ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、労働契約法5条に基づき使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない、となります。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職を相談しても辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職を相談しても辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
仕事がトラブル続きで辞めたいと思っている時は、感情的にならずまずは一旦冷静になってから原因を特定することから始めてください。
その上で、自分で解決できるものか?上司・先輩・家族・友人など周囲に相談して対処するものか?を判断し、且つ続けるか?辞めるか?を決めていきましょう。
仕事がトラブル続きで辞めたい時によくある悩み【Q&A】
- Q仮に辞めた場合、損害賠償請求される可能性はある?
- A
(賠償予定の禁止)
労働基準法第16条
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、退職したこと対して損害賠償を義務付けることは出来ません。
損害賠償は第三者が見ても辞めることで会社に多大な悪影響を残したときに検討されます。例えば退職時に多くの同僚を一緒に引き抜いて辞めた、退職時に会社のインサイダー情報を後悔した、バックレによる無断欠勤の退職などが該当します。
こうしたことがなく、正規に退職の申し出をしての退職処理であれば退職時の損害賠償は気にする必要はありません。
- Q辞めようにも引き継ぎが終わっていない時は?
- A
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
- Q会社から借りたものはどうすれば?
- A
スマホ、PC、制服、社章など会社から借りている備品はかならず返却してください。返却しないとあとでアレコレ言われる可能性があるので綺麗に辞めにくくなります。直接渡しにいくか、それが難しい時は備品をまとめて会社に郵送すれば問題ありません。
また、備品とは別に私物も会社に残さないように予め回収しておきましょう。どうしても残ってしまう場合は着払いの郵送で送ってもらうよう会社側に伝えてください。
- Q揉めて辞めたら給与はどうなる?
- A
(賃金の支払)
労働基準法第24条
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。労働基準法第24条では、賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない、と規定されています。従って、働いた分はその全額が支給されなければなりません。
よって、どの様に辞めたとしても勤務分は給与を受け取れるのが労働者の義務であり、仮に未払いを言われたとしても正当な権利として請求することが可能です。
- Q有給は消化できる?
- A
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。よって、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。仮に拒否されたとしても法で認められた権利である以上は会社の要請に従う必要はありません。正当な権利として有給消化が可能です。