妊娠がわかり、つわりなどの妊娠初期症状の影響もあるため仕事を辞めようとする際の適切な伝え方、および妊娠した際に円満に退職するための注意点について解説します。
妊娠で仕事を辞めたいと思うのは甘えではありません。ご自身とおなかの赤ちゃんの健康を第一に動き出しましょう。
本記事のまとめ
- 結論:妊娠やつわり症状などを理由に退職することは甘えではない
- 出産に影響が出ないように辞めることも選択肢に
- 辞める際は円満退社を心がける
- 辞めさせてもらえない時・自分で退職を切り出せない時は労働組合が運営し、弁護士監修体制もある退職代行トリケシに相談する
妊娠やつわりの影響などで退職する際の際の伝え方
妊娠で仕事を辞める場合、一身上の都合など曖昧な理由ではなく「妊娠をした」という事実を伝えた方が相手にも理解がされやすいです。また、妊娠によってつわりや体調不良等が起こることで仕事に影響が出てしまい、周囲に迷惑をかけたくないことを前提に伝えてください。
理由が会社を思ってのことならばとげの無い伝え方になり会社側にも納得してもらいやすいです。
伝え方の例
妊娠がわかり出産に専念したいため、このまま仕事を続けていくことが難しく○月いっぱいで退職させていただきたいと考えています。
【参考】妊娠を理由にした退職が言いづらい方は多い
妊娠4週目なのですが、退職することをいつ頃 人事の方へ伝えたらいいですか? 入社時に、退職する時は一ヶ月前に報告と言われましたが、まだ妊娠初期で、胎嚢も確認出来ていないのと、もしかしたら流産してしまう可能性を考えると GW明けくらいがいいのかなとか、考えますが 報告は早い方がいいのかなとも思います。
妊娠初期の退職について。 – 4月に入社したばかりの新入社員で3ヶ月の試用… – Yahoo!知恵袋
妊娠初期に仕事を辞める悩みは知恵袋でも見られる
現在妊娠中なのですが、いまの会社を退職したいと考えています。
わたしは、育休の手当て金がほしいので、
育休中に退職しようと思っているのですが、
以前上司に育休中に退職する人が多くて
困っていると聞きました。
そして、復帰後のことをよく考えてどうするか考えてほしいと言われました。私は最初からそのつもりでいたので、
現在妊娠中なのですが、いまの会社を退職したいと考えています。… – Yahoo!知恵袋
退職しづらいなと思ったのですが、
育休中に退職するのはどう思いますか?
今辞めたいと思っているなら退職するという方向で話を進める方がいいのでしょうか?
妊娠中、仕事が休みにくいです。
妊娠中、仕事が休みにくいです。15週の妊婦です。今の会社での… – Yahoo!知恵袋
15週の妊婦です。
今の会社での私の立場は新人です。派遣社員です。
入社してすぐ妊娠がわかり、これは更新もできす退職になってしまうだろうと思っていたところ、頑張ってほしいと言われ更新できることになりました。今仕事がなくなると経済的にもきつくなるので、大変ありがたいことです。
妊娠したことを会社に伝えにくい時点で異常な職場と思いますが、こうした現場が少なくないのもまた事実です。
職場で妊娠報告をして退職する際の言い方や注意点
「妊娠したから」という自分都合目線だけで伝えると、半ば強引で身勝手な辞め方と誤解されることがあります。
マタハラに発展しないよう注意
伝え方次第では相手にネガティブな印象を与えてしまい、職場での妊娠報告の言い方一つでマタハラ(妊婦に対して行われる嫌がらせを指す)が起こる可能性もあります。
その為、そうならないよう会社への迷惑を避けることを思っての退職であることを前提に伝えましょう。
パートが妊娠で仕事を辞める際も伝え方は同じ
「パートの場合はどうすれば~、」などと雇用形態を踏まえて退職の伝え方に悩む方も少なくありませんが、基本的には正社員・パート問わず伝え方は原則同じです。
辞めるタイミングは妊娠の状況次第
詳しくは後述の「【大事】妊娠で仕事を辞めたいと思うことは甘えじゃない」をご覧いただきたいのですが、つわりや体調不良などが原因で仕事に影響が出てしまうと判断した時が退職のタイミングです。
妊娠超初期でさほど影響も感じない状況ならまだしも、勤務に影響が出ている、もしくはおなかの赤ちゃんへの影響が懸念される状況であれば絶対に無理は禁物。
ご自身とおなかの赤ちゃんの安全を第一に辞めるタイミングを検討してください。
下手に辞める言い訳をするより素直に伝えよう
妊娠で辞める際は下手に理由をつけるよりも「妊娠しました、出産に集中したいので辞めさせてください」と素直に伝えてください。素直に伝えることが一番説得力があり、相手も理解してくれやすいです。
退職時の注意点
【大事】妊娠で仕事を辞めたいと思うことは甘えじゃない
妊娠するとホルモンバランスの影響で体と心に変化が訪れます。
吐き気やつわりなどの妊娠特有の症状を始め、ストレスを感じやすく必要以上に周囲にあたってしまうこともあります。
こうした体と心の変化があると仕事を落ち着いてこなすことは難しく、借りに頑張りすぎると周囲に迷惑をかけてしまうこともあります。
そのため、妊娠を機に仕事を辞めたいと思うことは甘えではなく、人としてごく自然なことと言えます。
妊娠で仕事を辞める際の理由は体調問題
PRTIMESにある株式会社ゼネラルリンクの【赤ちゃんの部屋調べ】によると、妊娠で仕事を辞める際の理由としてつわりによる体調不良が22.5%、ついで立ち仕事や外出の多い業務が20.6%、重い物など力を使う業務が16.4%と続きました。
つまり、体調に影響が出るから物理的に仕事の継続が難しくなり退職を申し出る方が多いということになります。
妊娠の際、仕事を辞めてよかったと感じる人は多い
私は仕事をしてたら、こんなミス沢山してそうだよ。仕事辞めて妊娠してよかったよ。皆さんにご迷惑をおかけするところだったな。
— aliceecila🎶☺︎12y& 5m (@aliceaj7cls2) June 25, 2022
妊娠は自分の体の変化だけでなく、おなかの赤ちゃんに対する影響もあります。その為、無理するよりも辞めて妊娠に専念した方が良いと思うのは自然なこと。
円満退社を心がける
妊娠とは言え、それを理由に自分勝手に辞めようとすると周囲からは反感を買うことになります。「急な話で申し訳ございません」と会社側にお詫びを伝えつつ退職を伝え、できる限り周囲からの反感を買わないよう円満退職になるよう心がけてください。
妊娠したことでの退職が甘いことなのか?が気になる方は、以下の記事もご参考になさってください。
やむを得ない理由を元に合意退職を相談する
(やむを得ない事由による雇用の解除)
民法第628条
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
民法第628条より、やむを得ない事由が発生した場合は会社と労働者、双方の合意に基づき即日退職が成立します。
なお、やむを得ない事由としては怪我・病気、家族の介護、出産などによりどうしても勤務が出来ない場合が該当します。
妊娠の状況にもよりますが、既に勤務するのが難しい状況であればその旨を会社に伝えて合意退職を第一に考えてください。ご自身はもちろんお腹の赤ちゃんの健康を最優先にしてください。
引き継ぎに関して
まだ引き継ぎができる余裕がある状況であれば、会社と決めた退職日までの中で有給消化などの期間を調整し、退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
【補足】引き継ぎは義務ではないし、拒否もできる
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、事情があってどうしても対応が難しい時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。
妊娠で仕事を辞めたいけどお金がないと心配な方へ
失業後の生活費対策として失業手当がありますが、失業手当は通常3ヶ月しか受け取ることが出来ません
そこで失業手当とは別に失業中の方の支援を目的とした「給付金(社会保険給付金サポート)」という国の制度があるので申請しておきましょう。給付金なら最大28ヶ月に渡って給付してもらえる可能性があります。
以下の条件に該当する方は給付金対象となるので申請してしまいましょう。
【条件】
- 社会保険に1年以上加入している
- 退職日が本日から『14日以上、90日未満』
- 年齢が20歳~54歳
- 現時点で次の転職先が決まっていない
一般的には給付金制度はまだ知られていないことが多いので不明な点もあるかもしれませんが、少しでも該当しそうと思えたら「自分が該当するのか?」と一度問合せてみてください。それが一番確実です。(すでに退職してしまっている人でも対象になります。)
退職後の生活費に対する不安を少しでも無くすためにも退職時は必ず申請しておくことをおすすめします。
辞めにくい職場にいる場合
事情がどうあれ、簡単に辞めさせてくれない、もしくはそもそも辞めにくい雰囲気がある会社に勤めている方が辞める場合は法律と第三者機関への相談を退職時に活用してください。
法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。また、退職の申し入れ(退職届の提出)をすれば2週間で退職が成立します。
就業規則よりも法律が優先される
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などがあっても(例えば辞める半年前に申告しないとダメ、など)就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
- どうしても今の職場を辞めたい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 簡単に辞めさせてくれない
- 退職を切り出すとトラブルになる可能性がある
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営し、弁護士監修体制もある退職代行トリケシに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 簡単に辞めさせてくれない
- 退職を切り出すとトラブルになる可能性がある
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
マタハラなどを気にして妊娠を伝えにくいと感じる方もいますが、妊娠時はご自身とお腹の赤ちゃんの健康が最優先。その為、隠すことなく、且つ妊娠が発覚次第できるだけ早い段階で会社に伝えてください。
ご自身の体を第一にすることはもちろんですが、その上でできる限りの円満退職を心がけて引き継ぎや挨拶など対応すれば大きな問題になることはありません。
無事に出産できるよう、無理のない範囲で退職処理を進めてください。