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薬機法の表現の言い換え例を理解して適切なメディア運営を心がけよう

仕事柄、触れる機会が多い「薬機法(旧薬事法)」。

違反にならないための表現やそもそも薬機法の存在意義とは?などを解説したよ。

うちやま
うちやま

仕事柄、どうしても理解が必要だから自分へのメモ帳としてまとめてみた。

厳密には専門の法律家の方に相談すべきだけど、本記事を読んだことで「薬機法って意識するのが必要だよね」って少なからず思ってくれるきっかけになれば幸いです。


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薬機法(旧薬事法)の表現の言い換え例をリストアップ

詳しくは「薬機法の対象領域・ジャンル」で解説しますが薬機法は4つから分類されています。

中でも僕のようなwebサイトを運営するタイプの方向けに特化して解説していくので、特に注力すべきと考えられる「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」に関してお伝えします。

医薬部外品の場合 – NGワードとOKワードの例

医薬部外品は完全な医薬品ではないものの、ただの化粧品と比べて事実としての証明があれば多少の効能効果が表現できるものもあります。

ただし、急激な変化は認められておらず「緩やかな変化」であることが基本です。

NGOK
口臭が無くなる口臭予防
シミ・そばかすが消えるシミ・そばかす予防/シミ・そばかすが目立たなくなる
多汗症が無くなる制汗スプレーを吹きかけるとサラサラに!
毛を太くする効果がある育毛促進をする効果がある
薄毛がふさふさになる薄毛対策をしよう
白髪染めが簡単にできます白髪を染めることができます
優しくカラーリングできます優しい色にカラーリングできます
くせ毛がストレートの髪質になるくせ毛を伸ばしてストレートヘアに
髪質を根本から変化させるクシどおりの良い髪へ

化粧品の場合 – NGワードとOKワードの例

NGOK
肝斑の予防に効果的しみやそばかすを防ぎ、肌を美しく見せる(※1)
ぬるだけで美白になります!マッサージしながらぬりこめばOK!
肌が弱い方でも使えるやさしい石鹸きめ細やかなやさしい泡が特徴の石鹸
ひどいニキビが治る皮膚を清潔な状態に保つ/健やかに保つ(※2)
(商品名)を使うと肌が白くなる明るい肌を演出する/○○の働きがありシミそばかすを防ぐ(薬用化粧品)(※3)
美白シミ、ソバカスを隠す/肌のシミを見えにくくする/いつもより明るい肌を演出(※4)
エイジングケア美しく年齢を重ねたい方におすすめの化粧水(※4)

解釈の補足

(※1)「肝斑」は特定の疾患名で表記自体がNG。「しみ・そばかす」などに言い換えつつ、「効果的→肌を美しく見せる」に変える。

(※2)「病名+治る」表現は基本的にNG。薬用化粧品であり、且つ「皮膚の殺菌効果」や「肌荒れを改善する」などが実際に認められていれば効能・効果の表現は使用できるが、一般化粧品であればNG。

(※3)「肌が白くなる」という変化を表現する場合、メイクによる変化であれば一般化粧品でも表現可能ですが、メイクではなく商品を使用することで肌が白くなる」の意味であれば、その働きが証明されている薬用化粧品しか表現が認められていません。

(※4)「美白」と「エンジングケア」は薬機法において言葉自体が使用NG。意味合いを伝えたいときは別の言葉に置き換える必要があります。

医療機器の場合 – NGワードとOKワードの例

NGOK
着用するだけで筋力アップ!なりたい自分になるために着用する(※5)
成長ホルモンが分泌されて体調が良くなるいきいきとした毎日のために身体全体のトレーニングをする(※5)
カラコンを使えば黒目を盛って目力をアップカラコンを使うと瞳孔の色を変えることが出来る(※6)
目にやさしいカラコンです優しい色のカラコンです(※6)
ドライアイの人にも効果的ですソフトなレンズなのでつけやすいです(※6)

解釈の補足

(※5)筋力アップや成長ホルモンは身体の構造に影響や変化を与える表現なので薬機法対象。身体の構造に影響するもので、且つ体に変化を想起させる表現は効能効果の表現とみなされるので薬機法に抵触します。

(※6)身体の部位に対する効能効果を想起させるのでNG。道具を使ってきれいにする・道具を使った結果としての変化が見える、という旨であれば可能。

(※7)おからクッキーが明らか食品から外れているため、脂肪燃焼など摂取したことでの変化を想起させる表現はNG。

(※8)「脂肪分の含有量」の意味に取られればOK、「体脂肪」「血中脂肪」の意味に取られればNG。

(※9)脂肪という体内の要素を変化させる表現は効能効果を想起させるのでNG

(※10)内臓脂肪を落とす→体の変化にあたる表現である以上、効能効果を想起させる表現はNG。代わりにシャープやキレイという表現に変える必要がある。

(※11)便秘という症状に対して効能効果があるように想起させる表現はNG

(※12)「食後」「服用」は医薬品を連想させてしまうため表現はNG。あわせて「1日●回」「1回●錠」などの用法用量などもNG表現になります。

(※13)身体の変化による効能効果を想起させる表現はNG。(症状)をイメージさせる別の表現を「・・・」に使うことで薬機法には抵触しない表現を演出しつつ相手に目的を伝えます。

薬機法で可能な言い回し

「医薬部外品」で可能な言い回し

承認された効能効果が明瞭に別記されていれば以下はおおむね表現可能。

医薬部外品の種類 使用目的の範囲と
原則的な剤型
使用目的の範囲と
原則的な剤型
効能又は効果の範囲
医薬部外品の種類使用目的主な剤型効能又は効果
1. 口中清涼剤吐き気その他の不快感の防止を目的とする内用剤である。丸剤。板状の剤型、トローチ剤、液剤。口臭、気分不快。
2. 腋臭防止剤体臭の防止を目的とする外用剤である。液剤、軟膏剤、エアゾール剤、散剤、チック様のもの。 わきが(腋臭) 、皮膚汗臭、制汗。 
3. てんか粉剤あせも、ただれ等の防止を目的とする外用剤である。 外用散布剤。 あせも、おしめ(おむつ)かぶれ、ただれ、股ずれ、かみそりまけ。 
4. 育毛剤(養毛剤)脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤である。液剤、エアゾール剤。育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛。
5. 除毛剤除毛を目的とする外用剤である。軟膏剤、エアゾール剤。除毛。
6. 染毛剤(脱色剤、脱染剤)毛髪の染色、脱色又は脱染を目的とする外用剤である。
毛髪を単に物理的に染毛するものは医薬部外品には該当しない。
粉末状、打型状、エアゾール、液状又はクリーム状等。染毛、脱色、脱染。
7. パーマネント・ウェーブ用剤毛髪のウェーブ等を目的とする外用剤である。液状、ねり状、クリーム状、エアゾール、粉末状、打型状の剤型。毛髪にウェーブをもたせ、保つ。くせ毛、ちぢれ毛又はウェーブ毛髪をのばし、保つ。
8. 衛生綿類衛生上の用に供されることが目的とされている綿類(紙綿類を含む)である。綿類、ガーゼ。生理処理用品については生理処理用、清浄用綿類については乳児の皮膚・口腔の清浄・清拭又は授乳時の乳首・乳房の清浄・清拭、目、局部、肛門の清浄・清拭
9. 浴用剤原則としてその使用法が浴槽中に投入して用いられる外用剤である。(浴用石鹸は浴用剤には該当しない。)散剤、顆粒剤、錠剤、軟カプセル剤、液剤。粉末状、粒状、打型状、カプセル、液状等。あせも、荒れ性、打ち身(うちみ)、くじき、肩の凝り(肩のこり)、神経痛、湿しん(しっしん)、しもやけ、痔、冷え性、腰痛、リウマチ、疲労回復、ひび、あかぎれ、産前産後の冷え性、にきび。
10.薬用化粧品(薬用石けんを含む)化粧品としての使用目的を併せて有する化粧品類似の剤型の外用剤である。液状、クリーム状、ゼリー状の剤型、固型、エアゾール剤。別掲(※下記「4.薬用化粧品の効能・効果の範囲」参照)
11.薬用歯みがき類化粧品としての使用目的を有する通常の歯みがきと類似の剤型の外用剤である。ペースト状、液状、液体、粉末状、固形、潤製。歯を白くする、口中を浄化する、口中を爽快にする、歯周炎(歯槽膿漏)の予防、歯肉炎の予防、歯石の沈着を防ぐ。むし歯を防ぐ。むし歯の発生及び進行の予防、口臭の防止、タバコのやに除去、歯がしみるのを防ぐ。
12.忌避剤はえ、蚊、のみ等の忌避を目的とする外用剤である。液状、チック様、クリーム状の剤型。エアゾール剤。蚊成虫、ブユ(ブヨ)、サシバエ、ノミ、イエダニ、トコジラミ(ナンキンムシ)等の忌避。
13.殺虫剤はえ、蚊、のみ等の駆除又は防止の目的を有するものである。マット、線香、粉剤、液剤、エアゾール剤、ペースト剤の剤型。殺虫。はえ、蚊、のみ等の衛生害虫の駆除又は防止。
14.殺そ剤ねずみの駆除又は防止の目的を有するものである。殺そ。ねずみの駆除、殺滅又は防止。
15.ソフトコンタクトレンズ用消毒剤ソフトコンタクトレンズの消毒を目的とするものである。ソフトコンタクトレンズの消毒。
引用:医薬部外品の広告における薬機法 | 健康食品・化粧品に関わる薬事法・景品表示法 | 薬事法広告研究所

薬用化粧品における可能な言い回し

以下はおおむね表現可能。

種類効能・効果
1.シャンプーふけ・かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。
毛髪・頭皮を清浄にする。
毛髪をすこやかに保つ。※
毛髪をしなやかにする。※
※二者択一
2.リンスふけ・かゆみを防ぐ。
毛髪・頭皮の汗臭を防ぐ。
毛髪の水分・脂肪を補い保つ。
裂毛・切毛・枝毛を防ぐ。
毛髪・頭皮をすこやかに保つ※
毛髪をしなやかにする。※
※二者択一
3.化粧水肌あれ・あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。
皮膚にうるおいを与える。
4.クリーム、乳液、ハンドクリーム、
化粧用油
肌あれ。あれ性。
あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを
防ぐ。
油性肌。
かみそりまけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をひきしめる。肌を清浄にする。肌を整える。
皮膚をすこやかに保つ。皮膚にうるおいを与える。
皮膚を保護する。皮膚の乾燥を防ぐ。
5.ひげそり用剤かみそりまけを防ぐ。
皮膚を保護し、ひげをそりやすくする。
6.日やけ止め剤日やけ・雪やけによる肌あれを防ぐ。
日やけ・雪やけを防ぐ。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
皮膚を保護する。
7.パック肌あれ。あれ性。
にきびを防ぐ。
油性肌。
日やけによるしみ・そばかすを防ぐ。(注1)
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ。
肌をなめらかにする。
皮膚を清浄にする。
8.薬用石けん
(洗顔料を含む)
<殺菌剤主剤>(消炎剤主剤をあわせて配合するものを含む)
皮膚の清浄・殺菌・消毒。
体臭・汗臭及びにきびを防ぐ。
<消炎剤主剤のもの>
皮膚の清浄、にきび・かみそりまけ及び肌あれを
防ぐ。
引用:医薬部外品の広告における薬機法 | 健康食品・化粧品に関わる薬事法・景品表示法 | 薬事法広告研究所

(注1)作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。
(注2)上記にかかわらず、化粧品の効能の範囲のみを標榜するものは、医薬部外品としては認められない。

「医療機器」で可能な言い回し

該当地域で認められた範疇で「治療」「予防」といった効果・効能を書くことができる。

薬機法に抵触しやすい表現やNGワードの境界線と考え方

基本的な考え方として「維持」「補う」は表現可能の範疇になりますが、「変化」「改善」は禁止。

「維持」「補う」

「健康を保つ」のほか、現状を維持するために必要な栄養を「補う」も表現として問題ありません。

「変化」「改善」

  • 「病気やケガの治療、予防を目的とした効能効果」
  • 「体の組織や機能を増強、増進させる効果効能」
  • 「医薬品的な効能効果の暗示」

以上を読み手に想起させる表現はすべてNGとなります。

成分名を使うだけなら問題なし

ビタミン、カルシウム、などの成分の名称を表示させるだけであれば問題はありません。

上記の表現範疇と組み合わせて「ビタミンを豊富に含んでいる」「不足しがちなビタミンを豊富に含んでいる」は可。ですが、「ビタミンを豊富に含んでおりガンの予防にもなります」は不可。

断定はしないからOKとは限らない

直接的な効果効能を断定しなければギリギリセーフ!といった理解をしている方も多いと思います。

うちやま
うちやま

実際、僕も調べるまではそう思ってました。汗

[旧来のイメージ]

  • 断定表現:○○サプリに配合される■■という成分によって、○○サプリを飲むとダイエット効果がある!
  • 断定しない表現:○○サプリには■■という成分が配合されているので飲むとダイエット効果が期待できる。

ですが、これはNGです

効果がある→期待できる、といった具合に表現を断定的にすれば良いわけではありません。

具体的な固有名詞や成分名を使い、読み手に効果効能を想起させる表現になっていたらすべてNGです。

上記例をNGではない範疇まで落とし込むなら以下の感じになります。

[修正後イメージ]

  • ○○サプリを飲んでます(ただ飲んでいる事実だけで効果効能を想起させない)
  • すっきりした毎日を過ごしてます。(効果効能や成分などの表現が無く、且つ効果効能・体の変化を読み手に想起させない)
  • ○○のパワー!(「■■という成分」の言い換え)
うちやま
うちやま

「断定」や「断定じゃない」の定義・解釈が人によって異なるので、一概に「断定じゃなければOKとは言えない」ということですね。

体験談や個人的な感想/会話だからOKとは限らない

こちらも調べるまでは僕はOKだと思ってたのですが、そうじゃなかった。

[旧来のイメージ]

  • 体験談:○○を使ったら1週間で5キロ痩せました!
  • 体験談:○○を使ったらニキビを防げました

これはNGです。

仮に本当のことであっても身体の変化や効果効能を読み手に想起させる表現は禁止です。

[修正後イメージ]

  • 体験談:○○を使っています。/すっきりしています!(ただ使っている事実だけで効果効能を想起させない)
  • 体験談:すっぴんを見せる自信があります(身体の疾患が変化や効果効能とは関係の無い表現)
うちやま
うちやま

ぼかした代替表現を使うイメージですね。

その他のぼかし方

  • 腰痛予防→もしかして腰の悩みをお持ちではありませんか?(問いかけにする)
  • 花粉症対策に役立つ→4月の悩みを持つあなたを応援する(応援・サポートにする)

断定表現を控えることが前提ですが、断定表現を控えれば何でも良いというわけではありません。

効果効能の裏付けが裏付けが行われていない分類において効果効能を読み手に想起させる表現の一切が禁止であるという解釈の方がより安全と考えられます。

例1、デトックスの言い換え

デトックス効果 → キャベツのパワー

例2、美白の言い換え

美白効果 → ファンデーションによりシミ、ソバカスを隠して肌を白く見せます

補足

効能効果として「美白」と謳うことはNGですが、メーキャップ効果としてなら可能。肌そのものの変化ではなく、メーキャップ効果で美白を演出したことが明確になる表現にします。

薬機法の表現のチェックの仕方

専門機関に相談する

法的な問題なので専門家に依頼してリーガルチェックをしてもらうのが一番適切な判断となります。

資金的に難しい場合はご自身で法的ルールを確認しつつ、以下のツールも組み合わせて表現のリスクを下げましょう。

薬機法の表現チェックツールを活用する

薬事法 広告表現チェックツール

COSME-DESIGN|薬事表現チェックツール

最近はSNSのチェックも厳しいので注意

SNS投稿に特化した薬事チェックサービス「I.P.C」

インフルエンサーのSNS投稿は企業や代理店がキャスティング費用を払って宣伝投稿を促すわけですから広告としてみなされます。

薬機法に関与する可能性のある化粧品や健康食品の案件をSNS投稿するときは、当然ですが薬機法を守る義務があります。

なお、インフルエンサーと呼ばれるレベルではなくとも広告にまつわる投稿はすべ薬機法の対象となるので、一般的なSNS利用者も対象となり扱いには注意が必要になります。

薬機法に関与する広告ガイドラインの確認・理解を深める

薬機法違反による罰則を理解する

現行法は、第66条、第68条に違反した場合、「2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金(または併科)」、第55条2項等に違反した場合は、「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金(または併科)」が科される。

また、2021年8月1日から施行される「虚偽・誇大広告による医療品・医療機器等の販売に対する課徴金制度の導入」が導入されると対象に対して課徴金が発生することになります。

課徴金=課徴金対象期間×対価合計額×4.5%

うちやま
うちやま

課徴金の割合はこの手の法案としてはかなり割高な基準。

お国の真剣度が伝わってきます。

薬機法改正法案の罰則補足

改正法案では、誇大広告等(薬機法66条1項違反)は課徴金対象となる違反行為とされており、課徴金額は、誇大広告等の対象製品の売上(最大3年分)の4.5%です 5。ただし、事業者が調査開始前に自主的に違反を申告した場合には、課徴金額が半分に減額されます。

売上に4.5%を乗じて計算された課徴金額が225万円未満であるとき、すなわち、対象製品の売上が5000万円未満の場合は課徴金の対象から除外されています。

医薬品等の広告や販促活動における表現上の留意点 – BUSINESS LAWYERS
うちやま
うちやま

売上の4.5%の処分というのが、抑止力になるのか?ならないのか?は今後の動きを注視する必要がありますね。

薬機法違反が影響してネガティブに波及する問題

懲役や罰金だけでなく、行政指導、製品回収・広告中止による損害、レピュテーションリスク(評判リスク・企業の評判へのダメージ)など、事業運営に大きな影響がでます。

よって、薬機法対象となる商品や広告を取り扱う個人・法人はリーガルチェック可能な知識を得る、もしくは外部専門家と連携して日頃からチェック体制やいざという時の対応スキームを必ず整備しておく必要があります。

薬機法の対象領域・ジャンル

医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器の4つが対象。

1、医薬品の定義

日本薬局方に収められている物

人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、
機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)

食品の定義 医薬品の定義 – 厚生労働省

医薬品の目的は病気の治療(対処)を目的とした薬となります。薬は副作用などのリスクが高く取り扱いの重要度によって第1~3類医薬品に分けられます。

(第1類:薬剤師のみ、第2・3類:薬剤師または登録販売者がいる場合のみ販売可能)

2、医薬部外品の定義

日本の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に定められた、医薬品と化粧品の中間的な分類で、人体に対する作用の緩やかなもので機械器具でないものである。 予防効果をうたったり、医薬品よりは緩和だが人体に何らかの改善効果をもたらすものがこれに含まれる。

Wikipedia

薬機法では以下の目的のための製品であると定義付けられている。

次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。

一  次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物(これらの使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの

 イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
 ロ あせも、ただれ等の防止
 ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛

二  人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(この使用目的のほかに、併せて前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物を除く。)であつて機械器具等でないもの

三  前項第二号又は第三号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く。)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

厚生労働省が許可した効果・効能に有効な成分が「一定の濃度」で配合されているものが該当。

治療ではなく防止・衛生を目的に作られているものになります。

対象例

ビタミン剤・薬用化粧品(美白効果・育毛効果・デオドランド・育毛剤)虫歯予防の歯磨き粉・制汗剤など。

医薬部外品の薬機法表現

「許可されたもの」であれば効能効果を謳っても良い

医薬部外品は「補う」「サポートする」ではなく認められた効能効果により予防・衛生が目的になります。

3、化粧品の定義

人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。ただし、これらの使用目的のほかに、第一項(医薬品の定義)第二号又は第三号に規定する用途に使用されることもあわせて目的とされている物及び医薬部外品を除く。

医薬品医療機器等法第2条第3項

洗浄・メイクアップ・スキンケア・ヘアケア等を目的に「人体に塗る・吹き付ける」等の方法で使用されるもので、機械器具ではないものを指します。

また、人体に対する作用が穏やかという前提があり、且つ作用が大きくて劇的に変わるもの(ヘアブリーチ等)や効果の為に副作用を伴うもの(ステロイド等)は化粧品ではないと考えられます。

肌・皮膚・まつ毛・爪などに塗ったり、機械を当てたりする商品は体の変化を謳う可能性が高く、薬機法に抵触しやすい。一般的な化粧品や美容家電などを取り扱い際に注意が必要になる。

対象例

コスメ商品、シャンプー、リンス、歯磨き製品

化粧品の薬機法表現

化粧品の薬機法は使用可能な表現が56個に限定されいるので、指定以外の表現で効能・効果を謳うことは出来ない。

1.別表第1に次の1項を加える。

(56) 乾燥による小ジワを目立たなくする。

別紙

別表第1

(1) 頭皮、毛髪を清浄にする。
(2) 香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える。
(3) 頭皮、毛髪をすこやかに保つ。
(4) 毛髪にはり、こしを与える。
(5) 頭皮、毛髪にうるおいを与える。
(6) 頭皮、毛髪のうるおいを保つ。
(7) 毛髪をしなやかにする。
(8) クシどおりをよくする。
(9) 毛髪のつやを保つ。
(10) 毛髪につやを与える。
(11) フケ、カユミがとれる。
(12) フケ、カユミを抑える。
(13) 毛髪の水分、油分を補い保つ。
(14) 裂毛、切毛、枝毛を防ぐ。
(15) 髪型を整え、保持する。
(16) 毛髪の帯電を防止する。
(17) (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
(18) (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
(19) 肌を整える。
(20) 肌のキメを整える。
(21) 皮膚をすこやかに保つ。
(22) 肌荒れを防ぐ。
(23) 肌をひきしめる。
(24) 皮膚にうるおいを与える。
(25) 皮膚の水分、油分を補い保つ。
(26) 皮膚の柔軟性を保つ。
(27) 皮膚を保護する。
(28) 皮膚の乾燥を防ぐ。
(29) 肌を柔らげる。
(30) 肌にはりを与える。
(31) 肌にツヤを与える。
(32) 肌を滑らかにする。
(33) ひげを剃りやすくする。
(34) ひげそり後の肌を整える。
(35) あせもを防ぐ(打粉)。
(36) 日やけを防ぐ。
(37) 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
(38) 芳香を与える。
(39) 爪を保護する。
(40) 爪をすこやかに保つ。
(41) 爪にうるおいを与える。
(42) 口唇の荒れを防ぐ。
(43) 口唇のキメを整える。
(44) 口唇にうるおいを与える。
(45) 口唇をすこやかにする。
(46) 口唇を保護する。口唇の乾燥を防ぐ。
(47) 口唇の乾燥によるカサツキを防ぐ。
(48) 口唇を滑らかにする。
(49) ムシ歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(50) 歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(51) 歯垢を除去する(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(52) 口中を浄化する(歯みがき類)。
(53) 口臭を防ぐ(歯みがき類)。
(54) 歯のやにを取る(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(55) 歯石の沈着を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯みがき類)。
(56) 乾燥による小ジワを目立たなくする。

注1) 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2) 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3) ( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

化粧品の効能の範囲の改正について(◆平成23年07月21日薬食発第721001号)|厚生労働省

なお、薬用化粧品に関しては医薬部外品になるので、医薬部外品の範囲で表現する必要があります。

4、医療機器の定義

人もしくは動物の疾病の診断、治療もしくは予防に使用され、または人もしくは動物の身体の構造もしくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等である。

ウィキペディア

医療機器の定義は、定義づけをしている国・地域の法令や規格によって異なり、一意ではないので注意が必要。

実質的な承認審査業務や安全対策業務は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構で行われます。なお、動物専用医療機器は農林水産省の所管となります。

対象例

電動マッサージ器、磁気治療器、絆創膏、眼鏡、コンタクトレンズ、AEDなど。

(非電動のマッサージ器や美顔器は該当せず、健康雑貨という扱い)

医療機器の薬機法表現

基本的に承認された効果効能の範囲内で表現することが求められる。

複数の効果効能の承認を受けた場合に、一部の効果効能を強調して表記することは禁止。

また、特定の病気のために専門的に作られた機器だと誤解を与える表現も禁止

医薬品・医薬部外品・医療機器として厚生労働省の認可が下りていても、その定義内から逸脱する訴求内容は薬機法の観点ではNG。

【補足】健康雑貨の広告表現

医療機器の定義に該当すると誤解させる表現は禁止
効果効能として、治療に当たるような表記や、身体の構造や機能に影響を及ぼすような表現は禁止
美容目的(身体構造や機能に影響は及ぼさない範疇において見栄えを美しくする行為、髪の毛を切る、など)であれば表現可能だが、効果効能を謳った表現は禁止。

突起物やテコの原理を用いて、ツボを刺激する非電動のマッサージ器は以下の表現が可能。

【指圧代用器の取り扱いについて】
昭和45年12月15日 薬発第1136号
各都道府県衛生主管部(局)長あて 厚生省薬務局長通知

単に突起物やてこ等を応用し背筋等にあてて指圧する器具類(電動式のものは除く。)は、次に揚げる範囲の効能、効果のみを標ぼうする場合に限り医療用具に該当しないものとして取扱うこととすること。したがって、今後これらの器具類については、薬事法の規定に基づく製造の承認、許可等を必要としないものであること。

ただし、次に揚げる範囲以外の効能、効果を標ぼうした場合は無承認、無許可の医療用具に該当するのでこの点十分留意され製造業者等に周知徹底されたいこと。

(1) あんま、指圧の代用(読みかえはしない。)
(2) 健康によい
(3) 血行をよくする
(4) 筋肉の疲れをとる
(5) 筋肉のこりをほぐす

指圧代用器の取扱いについて|東京都福祉保健局

【補足1】健康食品への考え方

  1. 健康食品
  2. 機能性食品
  3. サプリメント

以上の3つは「食品」に分類されるので薬機法の規制対象外になるが、これらの食品が医薬品と同等、もしくは同等以上の効果があると謳うと薬機法に抵触します。

健康食品は薬機法上の定義はなく、一般食品と同じ扱い(国が認めたトクホ、栄養機能食品、機能性表示食品は除く)になります。

よって、健康食品は「食品であるため、病気を治せるはずがない」というのが基本的な考え方になるので、健康食品においては「予防」や「治る」といった治療に役立つを判断される表現・医薬品的な効能や効果の標ぼうは禁止になります。

また、「病気や症状の予防目的」「体の部分を指しての機能の増進や増強」の標ぼうを明示、暗示した表現は「医薬品的な効能効果の標ぼう」と判断されるので同様に禁止。

「バストアップサプリ」のように、効果効能を標榜した広告をして販売すると、法律上、医薬品とみなされます。

結果、無免許での医薬品販売のみならず、未承認の医薬品広告を禁止する第68条違反になります。

こちらの罰則も、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が課されます。

実際の監視については、厚生労働省が各地方自治体に通知している「医薬品等適正広告基準」に基づいて運用されていますので、薬機法と合わせてキャッチアップし、広告作成に活かしましょう。

「薬機法(旧・薬事法)とは?」を丸ごと解説 | 薬事法ドットコム

他にもダイエット関連。

ダイエットに関連する広告への考え方は「ダイエットの基本は、摂取したエネルギー量よりも、多くのエネルギーを消費することであり、特定の成分を摂取するだけで痩せる、脂肪を燃焼させる等の広告表現はできない」となります。

つまり、「食べるだけ食べて、運動をしないで痩せる訳がない」「食事制限をしないで痩せるわけがない」「サプリだけ飲んで痩せることなんかあり得ない」「特定の成分摂取だけで痩せるわけがない」が前提になるので該当する表現は痩身効果の標ぼう表現となり禁止となります。

体験談について

体験談の内容がたとえ事実であっても効能効果を謳っているものを掲載することも禁止。

また、「都合の悪い部分を削除して良いところだけを残す」または「書き換えて掲載する」といったことも禁止。

健康食品の注意表現

【OK】

栄養補給、健康維持に関する言及はセーフ

例)

「栄養を補う」
「健康維持」
「体力を保つ」
「お肌を守る」

【NG】

(1)疾病の治療又は予防を目的とする効能効果

例)

「ガンが治った」
「ニキビが消える」
「肥満予防に効果」
「代謝アップ」
「痩せる」
「5キロダウン」
「発汗でデトックス効果」
「育毛効果がある」
「抜け毛を改善」
「便秘を解消」

(2)身体の組織機能の一般的増強、増進を主たる目的とする効能効果

例)

「筋力を高める」
「体力増強」
「食欲増進」
「視力強化」
「代謝促進」
「消化活動を盛んにする」
「肌を美しくする」
「見る見るうちに綺麗なクビレ」

(3)医薬品的な効能効果の暗示

○名前やキャッチフレーズが医薬品を思わせるもの

例)「トーレルシボウ」「バファルン」

○成分の説明に効果効能を含むもの

例)「血圧を下げると言われている○○成分を含み~」

成分自体の記載は問題ありません。ただし、文脈から効果効能を思わせるとNGです。

○製法の説明から効果効能があると受け取れるもの

例)「非加熱処理により○○成分の本来のパワーを引き出し~」

○起源や由来から効果効能を感じさせるもの

例)「中国で伝統的に秘薬として用いられてきた~」

○資料の引用、有識者の意見、体験者の声により効果を謳っているもの

例)「医学博士が肝機能を回復するかもしれないと語っており…」
「これを飲んで1ヶ月で5キロ痩せたと語るAさん」

薬機法の基準内で商品の魅力を表現するライティングのコツ | JetB株式会社
解釈・考え方の補足
  • 「トーレルシボウ」や「バファルン」は『脂肪が取れる』『バファリンに似ている』と読み手に想起させる。
  • 「成分の説明」に関しては成分名を含めた文章が効果効能の有無を読み手に想起させる。
  • 「製法の説明」に関しては製法名を含めた文章が効果効能の有無を読み手に想起させる。
  • 「起源や由来」に関しては起源や由来を含めた文章が効果効能の有無を読み手に想起させる。
  • 「資料の引用、有識者の意見、体験者の声」に関しては意見・体験談・引用元の情報を含めた文章が効果効能の有無を読み手に想起させる。

こうした考え方となります。

固有の名称・成分・製法・起源や由来・資料の引用、有識者の意見、体験者の声、といった情報を含めたコンテンツが読み手に対して効果効能を想起させる表現になっていたら基本的にはNGと考えた方が良さそうです。

薬機法とはどんな法律なのか?

薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)。

薬機法は、医薬品や医療機器だけでなく、医薬部外品、化粧品などの定義も定め、健康食品の規制にも活用されるため、該当商品を取り扱う際は、必ず把握しておくべき法律。

制定目的

  • 保健衛生上の危害の発生及び拡大の防止
  • 指定薬物の規制
  • 医薬品、医療機器及び再生医療等製品の研究開発の促進

以上を目的に製造・表示・販売・流通・広告などについて細かく定めた法律。

また、医薬品、医療機器等の品質と有効性および安全性を確保する為に存在する。

2014年に薬事法改正により名称が変更

薬機法はそれまでの薬事法が2014年(平成26年)11月に改定されて名称変更と共に施行された法律。

この改正は医薬品、医療機器等を取り巻く環境の変化、再生医療の実用化に向けた動きに対応するための措置。

[具体的な改正のポイント]

  • 医療機器の承認等についての医療機器の特性を踏まえた制度の創設
  • 再生医療等製品の新設
  • 安全性に関する規制の強化

薬機法の対象者

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器その他、健康食品、ヘルスケア業界へ参入、投資しようとしている方全般。
  • 商品の製造業者や販売業者(アフィリエイトで言う所の広告主)
  • 広告を掲載するメディア(ブロガー、アフィリエイター、Youtuber、インフルエンサー)

誇大広告の禁止(第66条)

何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

医薬品医療機器等法(抜粋) 東京都福祉保健局

「何人も」とあるように、禁止される誇大広告の主体は限定されず、製造業者や販売業者だけでなく、広告を掲載するメディアも違反対象となります。

個人的な見解として

解釈の仕方次第ですが「ASP」自体が『違反対象』とならないこともあるかもしれません。

つまり、一番に影響を受けるのは開発者と直接広告掲載しているメディア(アフィリエイター)という考え方です。(そういう解釈も出来そう、ってだけです。)

以上を踏まえると、もちろんASP側でもリーガルチェックやマナー対策として積極的に指摘は行っていますが、仮に指摘が無かったからと言ってご自身が摘発されてしまったとしてもASP側に文句は言えません。

ご自身のメディアである以上、ご自身の責任となるので、自己責任・メディア運営上のさらなる意識向上がこれから必要になる、と考えられます。

薬機法の表現が対象となる表示物・領域一覧

製品の容器、包装、添付文書などの表示物
製品のチラシ、パンフレット等
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、インターネットなどによる製品の広告
小冊子、書籍
会員誌、情報誌
聞、雑誌などの切り抜き、書籍や学術論文等の抜粋
代理店、販売店に教育用と称して配布される商品説明(関連)資料
使用経験者の感謝文、体験談集

基本的に「広告に関する全て」が対象になると考えましょう。

うちやま
うちやま

表現上、敢えて何も抵触しないといえるとしたらご近所さん同士の雑談ぐらいかな?と。

弊社のようにwebの世界で活動する方であれば「広告(アド広告など)」「SEO(ブログ作成)」「SNS(Twitter、Instagramなど)」「動画(Youtubeなど)」はすべてが対象になることを覚えておくと良いと思います。

なお、最近では「メルカリ」「ラクマ」などのフリーマーケットアプリ・オークションサイトを介した個人間の売買において薬機法に抵触するような表現が問題視されていますので、転売を行う個々人に対しても監視の目が向けられていると考えた方が良いでしょう。

改正薬機法、施行期日| 薬局三分類

  • 第1弾:2020年9月1日
  • 第2弾:2021年8月1日
  • 第3弾:2022年12月1日

第1弾:2020年9月1日

  • 先駆け審査指定制度・条件付き早期承認制度の法制化
  • AI等による技術革新などに対応した継続した改良を可能とする医療機器の承認制度の導入
  • QMS適合性調査の見直し
  • 薬剤師による継続的な薬剤使用状況の把握・服薬指導義務の法制化
  • テレビ電話等による服薬指導の導入
  • 医療品等行政評価・監視委員会の設置
  • 科学技術の発展を踏まえた採血の制限緩和
  • 薬監証明制度の法制化

第2弾:2021年8月1日

  • 添付文書の電子的提供の原則化
  • 製造方法等の変更に関する計画(PACMP)による承認事項の変更手続きの届出制への見直し
  • GMP適合性調査等の見直し
  • 地域連携薬局・専門医療機関連携薬局の導入
  • 製造販売業者・販売業者・薬局等の許可等業者の法令順守体制の整備
  • 虚偽・誇大広告による医療品・医療機器等の販売に対する課徴金制度の導入

第3弾:2022年12月1日

  • 包装等へのバーコード等表示の義務化

[バーコードの役割]

レジにバーコードを使用することによってチェックが早く正確になる。顧客にとって大きなメリットであったが、店にとっても在庫数や売上金額が直ちに把握できるという大きなメリット。

改正薬機法の内容

出典:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等 の一部を改正する法律案の概要|厚生労働省

  1. 医薬品、医療機器等をより安全・迅速・効率的に提供するための開発から市販後までの制度改善
  2. 住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができるようにするための薬剤師・薬局のあり方の見直し
  3. 信頼確保のための法令遵守体制等の整備
  4. その他

広告運営に携わる者としては特に「3. 」の理解が欠かせません。

3.信頼確保のための法令遵守体制等の整備

  • (1) 許可等業者に対する法令遵守体制の整備(業務監督体制の整備、経営陣と現場責任者の責任の明確化等)の義務付け
  • (2) 虚偽・誇大広告による医薬品等の販売に対する課徴金制度の創設
  • (3) 国内未承認の医薬品等の輸入に係る確認制度(薬監証明制度)の法制化、麻薬取締官等による捜査対象化
  • (4)医薬品として用いる覚せい剤原料について、医薬品として用いる麻薬と同様、自己の治療目的の携行輸入等の許可制度を導入

中でも(2) が広告運営に携わる者として理解が重要になるので(2) に焦点を当てていきますが、実際の国会答弁の議事録から虚偽広告やそれに伴う罰則・今後の考え方について一部抜粋させていただきました。

今般の医薬品医療機器法改正におきましては、高血圧治療薬における重大な虚偽・誇大広告違反が発生したことなどを契機として、虚偽・誇大広告に対して課徴金制度を導入することとしたと承知しております。

これまで、このような違反については、違法広告による売上高にかかわらず、一定の罰金刑しか科すことができなかったことから、違反事業者に対するペナルティーにも限界があったわけでございます。今般、この課徴金制度を導入し、また、消費者庁の景品表示法の三%の一・五倍の、利益率四・五%という高率の算定率とすることで、虚偽・誇大広告違反への抑止効果が見込まれることが期待されると考えております。

 誇大広告とはどのようなものがなるのかということでございます。薬機法第六十六条に誇大な記事を広告するという言葉が出てくるわけでありますけれども、この解釈としては、実際のものよりも優良であること、あるいは有利であるということを誤認させる広告のことだというふうに解釈をしているわけでございます。

 では、具体的にどういうものかということでございますけれども、例えば、医薬品等の長所を大げさに示す標榜を行うような場合、それから、例えば、グラフを並べて示して、しかし、グラフの目盛りが左側の表と右側の表とで実は違っておって、並べて見るとすごく効果があるように見えるけれども、目盛りをそろえるとそうでもないとか、あるいは、論文などから優位性を見せるデータを引用して広告をしているわけでありますが、ただ、これは、論文の中には優位性のあるデータと不利な情報と両方あるというような場合に、優位なデータだけを引用して広告をしているというようなことがこれまでの具体的な例としてございまして、こういうものは誇大な広告に該当するというふうに考えているところでございます。

 事柄の性質上、過不足ない形でこれが誇大に当たるということをかっちりと示すことはなかなか難しい分野でございますけれども、今申し上げたようなことを始めとしまして、先生御指摘のとおり、実際の誇大広告の違反事例を周知するといったようなことを丁寧に行いまして、製造販売業者の皆さんの理解を深めていただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。

課徴金導入の目的は、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めるものということでございます。

○加藤国務大臣 先ほどから答弁させていただいているように、課徴金制度の導入というのは、事業者による違反行為に対して経済的不利益を課すことによって、今回の場合は広告違反を行う動機を失わせ、広告規制の抑止力を高めることを目的としているということで、今回、算定率を四・五%としたものであります。

 一般的に、例えば景品表示法についての課徴金の算定率は三%でありますから、それと比べては随分高い水準になっている。また、一律にしているというのは、運用面、それからこうした制度をよく知っていただく、そういう点から四・五%という一律の率を課している、こういうことになっているわけであります。

○宮本委員 ですけれども、それでは、不法な広告をやってもうけても、もうけは残るということになるわけですよ、大量のもうけが。やはりそれを抑止するためには、独禁法と同じように、不当な利益は許さない、それ以上の課徴金を課すことによって抑止を図る。私は、せっかく課徴金制度を設けるんだったら、やはりそこまでやっていく必要があると思いますので、そこはぜひ今後も考え続けていっていただきたいというふうに思います。

 最後に、新たに虚偽、誇大な広告による医薬品等の販売への課徴金制度が創設されますが、製薬企業の極めて高い利益率にふさわしく課徴金は引き上げるべきであることを指摘し、討論といたします。

第200回国会 厚生労働委員会 第5号(令和元年11月13日(水曜日))

解釈の要約として

  • 違反事業者に対するペナルティーを強めたい
  • 広告違反を行う動機を失わせる
  • 広告規制の抑止力を高める
  • 優位なデータだけを引用するのは適切ではない
  • 今以上の課徴金も検討している

以上の狙いがあると考えられます。

これまで放任され過ぎてきた表現方法を厳しく律して以降、そのためには強い対策を講じていくぞ!という意思が感じられます。

なお、詳しくは議事録をご確認いただきたいのですが、必要以上に厳しくし過ぎて、逆にマーケットにマイナスな影響が出過ぎることの無いよう、対応していきたい旨もお話されています。

非常にデリケートなかじ取りが必要になりますが、今後の対応に期待したいところです。

薬機法表現に対する誤解と理解

薬機法と名誉棄損表現・過剰表現を混同しない

  • 薬機法に抵触している可能性があるから指摘される
  • 名誉棄損の可能性があるから指摘される

は別です。

特にネガティブキーワード関連はその類が多いので注意した方が良いです。(ネガティブKWと薬機法は必ずしも合致しないので別に考えたほうが良いよ、ってことです。)

うちやま
うちやま

言い方変えると、ネガティブキ―ワードなんて下品でリスクしかない方法を使わずとも成果を出せるスキルを身に着けるのが今の時代の適切な戦い方、ということ。

ASPや広告主の理解が100%というわけでは無い

ASPや広告主の方々が100%薬機法を理解しているのか?と言うと必ずしもとそうは言えません。つまり、相手も分かっていない中での指摘が繰り返されている可能性が十分にあります。

その結果、必要以上に表現を制限されることもあるでしょう。

よって、ある程度知識・裏付けを持った上で接しないとコンテンツメーカーであるアフィリエイターのコンテンツ作りに悪影響が出る可能性もあります。

こちらから言うべきは言うのがビジネスです。

その上で、相手の意見との着地点を見出していきましょう。

指摘されるのは指摘されやすいキーワードからアプローチしているから

商標であれば商品名単体や著名な2語キーワード、一般であれば該当ジャンルで著名な一般ワードなどのコンテンツを作っていると結果として薬機法に抵触しやすい表現を使わざるを得ないので、指摘されるコンテンツを作りやすい、と言えます。

よって、別のキーワードからのアプローチを検討するか、選定するキーワードを変えるつもりがないのであれば社内にリーガルチェックの体制を完備して対処しましょう。

【補足】薬機法と景品表示法

薬機法と景品表示法
出典:ECのミカタ

株式会社ブレインハーツによる景表法の処分の問題

アフィリエイトサイトの表示も景表法の規制の対象であることが、措置命令内において初めて明記された事案として2018年に注目を集めた事案です。

「roifleur」という名称で運営する通販サイトで、「グリーンシェイパー」(健食)、「恋白スキンソープ」(石けん)、「Smart Leg」(下着)を販売。「輝.com」という名称で運営する通販サイトで「アストロンα」「スリムイブ」(いずれも食品)を販売していた。
5商品すべてで「優良誤認」「有利誤認」を認定されている。

薬機法に関与するサイト運営を行っている方へ

特にアフィリエイターや企業メディアなどが該当になりますが「やらないとマズいです。」「捕まります。」、以上!

うちやま
うちやま

けっこうシャレにならない問題なんだよね。汗

薬機法違反の事例

2020年7月20日の「ステラ漢方」

大阪府警によると、逮捕されたのはステラ漢方の従業員である佐野宏樹容疑者(29)と、広告代理店2社(『KMウェブコンサルティング』の町田幸平容疑者(30)『ソウルドアウト』)、および委託先の制作会社(社名非公開)の代表・従業員ら6名を薬機法違反(未承認医薬品の広告)の疑いで逮捕

薬機法違反の経緯

2019年11月、同広告内容について情報提供があったことから捜査開始し、下記の疑いがあるとされ、逮捕に至りました。

出稿した、健康食品『肝パワーEプラス』の記事広告において「肝臓疾患の予防に効果がある」と宣伝し、広告内では捏造した体験談を掲載しました。

2020年3月の「グノシー事件」

ニュースアプリの大手「グノシー」の子会社が、架空の口コミを使った虚偽広告を配信したとして、薬機法違反の疑いで調査が入った事件。

「Gunosy(グノシー)」(東京都港区、竹谷祐哉最高経営責任者)の完全子会社「digwell(ディグウェル)」が虚偽広告を制作、配信していた問題で、「シミが消える」とうたっていた医薬部外品の化粧品などの広告について、東京都が医薬品医療機器法(薬機法)違反の疑いもあるとみて調査を始めた。

毎日新聞

これからの広告/メディア運営の考え方

薬事ジャンルを除外/撤退する

リーガルチェックが追いつかないなら薬事ジャンルからの撤退が好ましいといえます。

マーケット的にうま味があるので取り組みたい気持は十分にわかるのですが、「儲け」と「法律違反にならない」を天秤にかけたらどっちが重要か?は言うまでもありません。

広告は様々なジャンルが用意されています。

薬機法に抵触しないジャンルで人気のマーケットも多数あるので別ジャンルにアプローチするのもビジネス上の判断の1つと言えます。

薬事ジャンルに関与するならリーガルチェック必須

リーガルチェックまで徹底できるならやってOK。

人気のマーケットである以上、ビジネスチャンスは大きいですから積極的に取り組みましょう。

リーガルチェックの不要な領域からアプローチを検討する

自分の個人的な日記などから「この前、これ使ったけど個人的には良かった」といった紹介をするイメージ。

ひらたく言えば薬機法に抵触しないジャンルから、結果的に医療・美容・健康などの商品へつなげる流れです。

まとめ

薬機法違反の罰則は厳しいからメディア・広告運営者はガイドラインの理解を徹底しましょう。

これまでが無法地帯過ぎただけであり、ユーザー目線的には改善されてきてるわけですからポジティブに考える方が良いです。

良質な情報を丁寧に届けるという当たり前のことをやってきましょう。

本記事を見たことで「薬機法のそもそもの目的は何か?という理解」「薬機法違反による罰則がどうなるか?」「薬機法がいかに大事なのか?」などを意識するキッカケにしてもらえたら幸いです。


本気で薬事法対策をしたい方へ

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法に抵触しない表現スキルを身に付けることが出来ます



この機体の開発者
スミ入れがんばる
うちやま(内山智明)

新卒で入社したブラック企業で月の残業168時間、気合努力根性の精神論だけで詰められ、簡単に辞めさせてくれない毎日を過ごして退職するまでに苦労した経験がある。現在は株式会社BuildingBlockの代表となり、自身の経験を元に、会社を辞めたいのに辞められない・辞めると言い出しにくい人向けに退職や辞め方に関する情報発信を行う

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