職場や上司・社長に対して不満があり、「人手不足になってざまあみろ!」と言いたいぐらいうっぷんが溜まっている際、労働者側が今の職場に対してできる事は何か?について解説します。
人手不足で「ざまあみろ!」と感じさせたい方は多い
いじめやハラスメントに対する不満
人手不足で潰れればいいと思われる職場も少なくない
人手不足ではなく奴隷不足では?揶揄されることも
労働環境に対する不満も多い
【大事】労働環境や人間関係は労働者にとって重要な要素
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」「労働時間・休日等の労働条件が悪かった」「会社の将来が不安だった」という理由が一定の割合を示しています。
これらは辞めたくなるほどの理由、言い換えるとそれだけ過度なストレスを感じさせる理由とも言えます。
職場に対して「ざまあみろ」と言いたくなるほどうっぷんが溜まっているなら、こうした過度なストレスを感じるような環境にいる可能性が高く、労働環境や職場の人間関係などを軽視した職場は在職中の労働者から嫌悪されても仕方がないとも言えるでしょう。
人手不足は会社が悪いだけ
労働者側か?経営者側(もしくは人事側)か?によって判断が分かれますが、働く従業員側(労働者側)からすると人手不足は会社が悪いだけと言っても過言ではありません。
実際問題として人材不足は採用活動の問題ですので会社の問題であり、労働者側に非はありません。
人手不足のしわ寄せやストレスは労働者へ
人が少ない職場で長くい続けると、時間と共にそのしわ寄せが労働者側に降りかかってきます。
業務負担が増加し、働くことが辛いと感じるほどの状況になることも少なくありません。
万が一の際は、ご自身の身を守るためにもしわ寄せが来る前に退職や異動・転職を検討するのも選択肢になります。
人手不足の職場に残ることの危険性について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
人手不足を放置し続け得る経営者は無能
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
労働契約法5条により、使用者(会社側・経営者)は業務時に労働者の身体の安全を確保することが定められています。
人手不足を放置し、業務負担を一向に改善しないということは労働者の身体の安全を確保することを怠っていると言えます。そのため、慢性的に人手不足が続き、その状況が一向に改善されず問題が放置されるだけならその会社の経営者は無能と言えます。
人手不足の末路は職場崩壊へ
人手不足ということは業務が回らないということです。
職場の人手不足は崩壊に繋がるだけ
残された人に対する業務負担が増え、増えた業務に耐え切れずに更に人が辞めていく。その結果として会社からどんどん人が辞めていきます。
人手不足のツケは会社に回ってくる
人手不足問題を放置したツケは会社自身に回ってくることになり、遠くない将来に職場が崩壊し会社自体も倒産の危機に直面することになります。
これから潰れゆく職場で最期まで我慢して割を食ってしまう事だけは避けた方が良いでしょう。
人手不足と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
うっぷんを晴らしたいなら自分が退職すれば良いだけ
職場に対するうっぷんを晴らしたい時の一番の方法は自分が退職することです。
自分が退職することで人手不足の職場に更なる拍車がかかりますので、会社は更に負担を強いられることになります。
自分から手出しはしないこと
間違っても
- 手を出す
- 嫌がらせをする
など、法に反した直接的な行為だけは避けてください。逆にご自身に対して処分が科され、最悪の場合は賠償請求など大きな問題に発展する可能性があります。
またそこまで社会的な大事にならなかったとしても「退職予定者をいじめるヤメハラや退職時の嫌がらせから身を守る方法」でもお伝えしたように職場で逆恨みされてヤメハラの被害を受ける可能性もあります。
不満があっても手出しはしない、社会人としてのマナー、法的なルールだけは破らないようにしてください。
会社を辞める際の注意点
バックレは避ける
原則としてバックレによる退職は認められていません。
そのため、バックレによる即日退職を行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると転職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので転職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
他にも嫌がらせや呼び戻しなどの可能性もあり、バックレは退職行為に対するリターンとリスクを加味した際にリスクが大きすぎて帳尻が合わない行為と言えます。そのため、法に基づかない即日退職行為だけは控えた方が良いです。辞めるなら法に則って確実に・安全に辞めましょう。
基本は就業規則に則って辞める
職場の規定を元に退職の申し出をしてください。辞める2ヶ月前に伝える、3ヶ月前に伝える、など職場の特有の規定があるかと思いますので原則は社内規定に従って退職手続きを進めましょう。
なお、退職時は「退職願」ではなく『退職届』を会社側に渡してください。
退職願と退職届の違い
退職願は辞表の意思表明をあらわすもので、雇用者側の受理・承諾を求めます。雇用者との合意が必要となるのでこれを雇用者に受理・承諾してもらわなければ退職の効果は生じません。
退職届は労働契約の一方的な解約の意思、辞職の意思表示を表すもので、出してしまうと取り下げはできません。退職届の場合、雇用者に伝えたら雇用者の受理・承諾がなくとも、2週間の経過により、退職の効果が生じます。
退職願はそれ自身に法的な効力が生じないので退職願いが受理されないこと自体には違法性がありません。よって、退職を成立させたいときは「退職届」を会社側に提出してください。退職届であれば退職の意思を示したことになるので退職が成立します。
有給を消化して辞める
第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
労働基準法第三十九条|e-Gov法令検索
有給は労働者の権利として認められており会社はその権利を拒否することはできません。また、有給の権利は退職すると消滅してします。そのため、有給が残っている場合は必ず退職前に有給を消化してしまいましょう。
時季変更権は無効
退職時の有給に対して会社側から意義が出てくる可能性があり、その理由として時季変更権を主張してくるケースがあります。
会社が労働者の有給取得日の時期をずらせる権利を「時季変更権」と言いますが、時季変更権は退職予定日を超えた行使はできません。
有給消化後に退職してしまうということは、他の時季に有給休暇を与えることができないということになるため、時季変更権を行使することができず有給申請者の請求が通ります。要するに、有給消化と同時に退職予定の方には会社からの時季変更権が成立しないということです。
そのため、退職時に有給を利用する際に会社が何か言ってきたとしても原則として要請に応じる必要も義務もありません。
強制労働は違法行為なので従う義務は無い
(強制労働の禁止)
労働基準法 第5条
第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。
労働基準法第5条より、使用者(会社側)は労働者の意思に反した労働を強制してはいけないと定められています。
仮に退職時に簡単に辞めさせない嫌がらせ行為を受けた場合、労働基準法第5条に反することになるので違法。会社側の要請に従う必要はありませんので粛々と退職処理を進めてください。
引き継ぎは必須ではない
引き継ぎは法律で定められた規則や義務ではなく、お世話になった会社に対する気持ちとして行う業務です。
よって、引き継ぎを拒否することもできますし引き継ぎをしないことで罰則が発生することもありません。
円満退社や一般的なマナーとしては引き継ぎは行った方が良いですが、
- 事情があってどうしても対応が難しい
- どうしても会社に対して許せない気持ちがある
という時は引き継ぎ未対応でも退職は成立します。
引き継ぎをする場合
会社と決めた退職日までの中で有給消化などの期間を調整し、退職日までに間に合うよう引き継ぎを行います。もし間に合わない場合は後任の方にために引き継ぎ資料(引き継ぎマニュアル)を用意しておきましょう。
なお、引き継ぎ資料には以下を記載してください。
- 業務の社内での位置付け
- 業務の流れ(フローチャートなど)
- 業務に関わる社内外の関係者
- 過去に起こったトラブルやその対処法のノウハウ
- 顧客情報など必要なデータ
見ていただくとわかるように、業務や作業の繋がり・業務・作業に関わる関係者をそれぞれ明確化しておく資料になります。また、引き継ぎ資料は自分だけしかわからない言葉でまとめることなく、誰が見ても理解できる言葉でまとめてください。
備品は返却する
スマホ、PC、制服、社章など会社から借りているものは必ず返却しましょう。
まとめて直接返却しても良いですし、それが難しければまとめたものを郵送で会社に送っても問題ありません。
私物の回収
私物が残っていると会社側が誤って破棄してしまう可能性がありますので、辞める前に私物は持ち帰っておきましょう。
どうしても残ってしまう場合は着払いの郵送で送ってもらうよう会社側に伝えてください。
退職時に会社から必要な書類を受け取る
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳
- 源泉徴収票
- 離職票
- 扶養控除等(異動)申告書
- 健康保険被扶養者(異動)届
- 給与振込先届
- 健康診断書
など、退職時に必要な書類を会社から郵送してもらうように伝えましょう。
退職後の失業手当の申請、次の会社に入社する際の手続きなどで必要になります。
基本的には退職後にご自宅に郵送されてきますが、しばらく待っても届かない場合は会社に確認の連絡を入れてください。
簡単に辞めさせてくれない時でも確実に退職できる方法
1.法に則って2週間で辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば必ず退職が成立します。
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
2.違法性を指摘して辞める
雇用形態問わず、共通して可能な選択肢て押して「違法性」を指摘した退職の手順があります。
会社が違法な対応をしている場合、違法性を指摘して会社から即離れてしまいましょう。
労働条件に相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
入社時に会社からもらった労働条件通知書と異なる労働条件・仕事内容であればその旨を会社に伝えて即日退職してしまいましょう。
ハラスメント被害を受けている場合
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
3.どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
「ざまあみろ」と相手に思わせたいと思うことは必ずしも綺麗なお話ではありませんが、言い換えるとそう思わせてしまうぐらい不満を抱えさせた会社側にも問題がある、ということです。
どうしても我慢できなくなった際は、感情的になってバックレや無断欠勤などをすることだけは避け、労働者側が無駄な問題を起こさないよう注意しながら、退職や転職を介して職場を離れてしまいましょう。