電気工事士を辞めたいと感じた時にトラブルを避けて退職する手順、および退職時の注意点について解説します。
電気工事士を辞めたいという人は少なくない
私は22歳の電気工事士見習いです。
ですが1年も経ってないのに会社を辞めたいです。高校の求人から地元の工場に就職したのですがこのままの現状にあまり満足出来なかった事や、電気工事士という業種に関心があったので就職2年目の年に第1種電気工事士、第2種電気工事士、中型自動車免許を取得し、キリの良いと思った満3年で工場を辞めて電気工事会社に就職しました。
私は22歳の電気工事士見習いです。 – ですが1年も経ってないの… – Yahoo!知恵袋
ですが、普通の形(求人に応募し採用を頂いた)で就職したわけではなく、父親が建設業でその知り合いからの紹介で入社させて頂いた身です。(履歴書を提出し簡単な面接があっただけです。社長は初めから私を採用してくれるつもりだったみたいです。)
私のメインの教育担当は社長の息子達(2人でほぼ同じ年代です)なのですが、辞めたいと思う原因はこの社長の息子の兄にあります。
気分屋で目下の相手には平気で嫌味を言う人です。
電気工事士に対してガラが悪い人と感じる人も
電気工事士の離職率
電気工事士だけを調査したデータはありませんが、平成30年に開示された「電気保安人材の中長期的な確保に向けた課題と対応の方向性について」によると電気工事業界の高卒・大卒の就職3年後離職率は20~40%となっており、他の全産業の離職率の平均値よりやや高い、となっています。
【大事】人間関係は退職に影響する
厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要」の「転職入職者が前職を辞めた理由」によると、前職を辞めた理由として「職場の人間関係が好ましくなかった」という理由が一定の割合を示しています。
職場の人間関係が影響して気持ちが持たなくなりそうなときは以下の記事もご参考になさってください。
自分の身の安全を第一に考えた方が良い
辞めたい理由は個々によって異なりますが、いまの職場に居続けるのが難しいという状態にも拘わらず我慢して働き続けることだけは避けてください。
辞めたいのに辞められない状況は強いストレスがかかり、状況が続くとうつ病や適応障害など精神疾患にかかるリスクがあります。
会社は責任をとってくれない
うつや適応障害などの精神疾患にかかると仕事だけではなくその後のご自身の人生やプライベートに影響します。
病気の回復には時間がかかり、勤務が出来なくなるだけでなく、就職活動や社会復帰にも影響します。ですが、ご自身のプライベートを会社が守ってくれることはありません。
そのため、うつや適応障害になる可能性があるなら我慢していまの職場に留まることなく、退職を最優先に動いてください。社会的なダメージを負うリスクを背負ってまで今の会社で我慢する必要はありません。
一番大事なことはご自身の身の安全です。
うつになる前に退職した方が良い理由について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
電気工事士を辞める前に知っておくべきこと
バックレだけは避けた方が良い
バックレや無断欠勤による退職は認められておりません。その為、バックレを行うと「違法行為」となり労働者に対して損害賠償請求や懲戒解雇を与えられる危険があります。
中でも懲戒解雇になると以下の問題が起こります。
- 本来貰えるはずだった退職金の一部または全部不支給
- 転職時にマイナスな印象を与えることになる
また、懲戒解雇になると就職活動時に相手先に伝えなければ経歴詐称になるので必ず伝える必要があります。
つまり、懲戒解雇になるとその事実が必ず転職先にはバレますので就職活動においてご自身の印象が悪くなり不利益しかありません。
その為、辞める際はリスクが大きいバックレではなく、法に則って確実に・安全に辞めましょう。
電気工事士を辞める際の退職理由は一身上の都合で良い
原則として法的には退職理由を用意する必要はありません。そのため、言わなくとも退職はできますし、言う場合は必ずしも本音で退職理由を伝える必要もありません。極論ですが退職理由が嘘であっても問題はありません。
どうしても退職理由を伝える必要がある場合は「一身上の都合」でも構いません。
損害賠償は原則気にする必要は無い
(賠償予定の禁止)
労働基準法第16条
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
原則として損害賠償ありきの労働契約を結ぶことは法律で禁止されています。そのため、退職することに対して損害賠償を義務付けることは出来ません。
損害賠償は第三者が見ても辞めることで会社に多大な悪影響を残したときに検討されます。例えば退職時に多くの同僚を一緒に引き抜いて辞めた、退職時に会社のインサイダー情報を公開した、などが該当しますが、ただ退職するだけであれば会社に多大な悪影響を残したとは認められにくいので原則として退職時の損害賠償は気にする必要はありません。
電気工事をすぐ辞める際の手順
法に則って辞める
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法第627条
民法第627条により退職の自由は労働者の権利として定められています。
仮に会社から引き止められたとしても会社には強制力はないので、退職が出来ないということはありません。
雇用先によっては特殊な雇用契約書を結んでいる・特殊な就業規則になっている(辞める3ヶ月前に申告する必要がある、など)、などの可能性もありますが就業規則よりも法律が優先されますので退職の意思を伝えれば(=退職届を提出する)必ず退職が成立し、2週間で退職が成立します。
- どうしても今の職場に居続けるのが難しい
というご状況であれば法に則って「退職届を提出する」という具体的な退職の意思を示して辞めてしまいましょう。
退職届を受け取ってもらえない場合
事情があり退職届を直接渡すことが出来ない、もしくは相談したのに受け取ってもらえない場合は配達記録付き内容証明郵便で退職届を郵送してください。
会社側に退職届が届けられたことが証明できるため退職の意思を伝えた証拠になります。
また他にも
- 退職の旨を記載したメールを送る
- 録音しながら口頭で伝える
等の手段を用いて退職の意思(解約の申入れ)を伝えるのも有効です。
口頭で伝えることもできますが、中には「言った・言わない」とうやむやにされる可能性もあるため、退職届をはじめとして何かしらの証拠を残して伝えた方が確実です。
なお、会社側が退職拒否をしてきた場合「在職強要」となり違法行為に該当しますので会社の要請を受諾する必要はありません。詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
違法性を指摘して辞める
雇用形態問わず、共通して可能な選択肢て押して「違法性」を指摘した退職の手順があります。
会社が違法な対応をしている場合、違法性を指摘して会社から即離れてしまいましょう。
労働条件に相違がある場合
(労働条件の明示)
労働基準法第15条
第十五条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
② 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③ 前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労働基準法第15条より、労働条件の相違は即時に契約解除(即日退職)が認められています。
入社時に会社からもらった労働条件通知書と異なる労働条件・仕事内容であればその旨を会社に伝えて即日退職してしまいましょう。
労働条件の相違と退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
ハラスメント被害を受けている場合
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
労働契約法 | e-Gov法令検索
ハラスメントは労働者の心と体の安全に影響がある行為であり、ハラスメントが起こる職場ということは労働契約法5条で定められた使用者である会社側が労働者の生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができる環境を用意できていない職場、となります。つまり、労働契約法5条に反している状況(違法な状況)ということです。
加えて、ハラスメントはハラスメント防止法(正式名称:改正労働施策総合推進法)違反にも該当します。
いずれの場合でも法律に反した状況であることに違いは無いので、会社側には「身の安全が保障されないため」と伝えてご自身の退職処理を進めましょう。
ハラスメント被害による退職について詳しくは以下の記事もご参考になさってください。
どうしてもの際は退職代行に相談する
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という方であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
確実に退職が成立します。
退職代行はお手持ちのスマホから電話やLINE(メールでも可)か相談が可能。希望があれば相談したその日から代行業者が動き出してくれます。
代行業者が動き出した瞬間からあなたは職場に行くことも連絡する必要も無くなるので、早ければ相談した即日から会社に行かなくても良い状態になれます。
具体的には、
- 確実に退職が成立する
- 法律に則って退職処理するので法的なトラブルがない
- 自分で対応する必要が無いので退職にまつわるストレスが無い
等があり、希望者には有給消化や未払いの交渉もしてくれますので退職代行費を支払う以上の利用メリットがあります。
そのため、あなたが
- 退職を自分で切り出すのは難しい
- 退職相談をしたのに辞めさせてくれない
- でも、どうしても辞めたい
という状況であれば労働組合が運営する退職代行サービスに相談して辞めてしまいましょう。
まとめ
電気工事士は業務内容自体は素晴らしいものである一方、現場特有の雰囲気に適応できるかどうか?は個々人による面があります。
どうしても勤務の継続が難しい、と感じた時に無理をしても良いことは何一つありません。
ご自身の心身がボロボロにならないよう、いざという時はご自身の身を守るために「退職」という選択肢も用意しておきましょう。